情報と注意の反比例

日々の生活

楠木建氏の『室内生活 スローで過剰な読書論』のなかに次のような話が出てくる。

ノーベル経済学賞を受賞したハーバード・サイモンは、「インフォメーション(情報)」と「アテンション(注意)」を対にして考えるべきだ、という。なぜならば、この二つはトレードオフの関係にあるからだ。「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」という名言を彼は残している。

『室内生活 スローで過剰な読書論』
読書レビュー:『室内生活 スローで過剰な読書論』(楠木建)
各種の雑誌や新聞などで掲載された書評や本に関する文章が1冊にまとめられたのが本書であり、そのため一つの書籍に対する文章は長くても10ページくらい(対談のものはもう少し長いが)となっている。 全体では500ページ以上ありだいぶ分厚く感じるが、どこから読んでもいいので取っつきやすい。 楠木建氏がビジネスの競争戦略を専門としていることもあり、ビジネス書や企業、組織に関する書籍が多いが、それ以外の政治、経済、哲学、小説などの分野に関する書籍に対しての文章もある。 どの文章を読んでも面白いし、読んでいて苦痛でない。この分厚さでも次から次へと読めてしまう。 「文章がうまい」という言葉に収斂されてしまうのだが、読ませる文章を書くのが上手いと感じてしまう。 色々な書籍が紹介されているので、それらを読みたくなってしまう。既に何冊か読みたい本をリストアップしており、買うかどうか迷っている・・・。 面白い書籍を探すために読むのも良し、経営やビジネスにおけるヒントを掴むために読むのも良し、文章自体を楽しむのも良し。どんな使い方もできる。 一つ一つが長くないのでスキマ時間に読むにもピッタリ。紙の本だと分厚くて持ち運びが大変ではあるが。 自分は気が向いたときにパラパラめくるようの本として、取り出しやすい位置(積読タワー上部)に置いておこうと思う。

これだけ情報が溢れれば、一つ一つの情報に対する注意は当然ながら減少していく。

人間の持ち時間は限られているし、注意力も有限であるから当然の帰結ではあるのだが、確かにそのとおりだと感じる。

卑近な例でいえば、受験勉強でも英語勉強でも参考書や問題集が増えれば増えるほど出来が良くなくなる傾向が強いように思う。(実体験として)

これも色々な参考書や問題集というインフォメーションは増える一方で、その一つ一つに対してのアテンションは散漫になる結果だといえる。

わたしは、受験生時代は大量の参考書や問題集を集めていたし、今でも英語関連の書籍はどんどん購入してしまう。

そうやって情報だけを集めた結果、一つ一つの書籍に書いてあることへの注意力が落ち、結局なにも身につかないで終わるということを何度となく繰り返してきている。

対照的に成功とまではいえないが、簿記2級に関してはテキストの手を広げすぎなかったことで合格(ボーダージャストだったが)できたことの要因になっているようにも感じる。

自分でいうと読書に関しても、どんどんと新たな書籍を購入していくので、インフォメーションは加速度的に増加しているが、アテンションという自分の資源が一定であることを考慮すると、あまり多くの書籍を購入したところで身につくものは多くないのかもしれない。

昔のように本一冊を暗証するか、書き写すかしないと次に移れない、といった縛りがあったほうが知識は血肉化しやすいのは納得がいくところ。

スマートフォンをいじるのも、ただただ情報量を増大させるだけであることを考えれば、なるべくスマートフォンを触らずに情報をシャットアウトしたほうが好ましいのかもしれない。

デジタル・デトックスが人口に膾炙してきたが、注意力の回復も期待できそう。

ただ、こうなってくると、どの情報を自分の頭に入れ込むか、その情報の選別作業が必要になってくる。この目利き作業をどうするか。。。

ここを他者に委ねると、また他者依存・レビュー依存になりそうではあるが・・・。

他者のレビューに依存した買い物(自分で考えるのが怖い?)
さらにいえば、レビューをチェックしたうえで比較検討すれば、まだ良いほうで、「誰々がオススメしているから買う」といった段階になると、ほとんど何も考えずに購入しているに近い。 そのレビューしている人自身への「信頼」があるからこそ成り立つわけであるが、このマインドセットになるといよいよ考えを放棄しているように思えてくる。 商品の購入だけでなく、科学技術の働きなどあらゆる場面において、この「信頼」が世の中を成り立たせているので、何もモノを買うときだけの話ではないけれど。 ということで、自分自身の目利きの感覚を磨くうえでも、もう少し自分自身で実物を見たり、調べたりしたうえで買い物するようにしていきたい。 といっても言うは易く行うは難しで、失敗した買い物を避けようとすると、結局は人のレビューを見たくなってしまう。。。この衝動は意外と抑えがたい。 人が薦めるからといった理由から買ったりするわけでなく、よく吟味し、丁寧に買い物する姿勢を貫けるようにしたい。

いずれにしてもまずは意識的に情報を絞ることから始めてみようと思う。

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