読書レビュー:『すべては「好き嫌い」から始まる 仕事を自由にする思考法』(楠木建)
一般論としても子どもに品格があるとは言えないように思うが、まさしくそれは「欲望に対して行為が早い」がゆえであり、それが品格の定義と逆だからだろう。
これは自分自身も気をつけねばならないこと。「欲しい」と思ったときに一息置いて、もう一度その必要性を考えてみると、不要であるという結論になることも結構ある。
がつがつしないで、ゆっくりと欲望に向き合う。そんな泰然とした構えで日々過ごすことで、ちょっとは「品格」ある大人に近づけるかもしれない。
読書レビュー:『中学受験のリアル』(宮本さおり)
自分自身ができなかったことに対して、子どもを使ってリベンジする感覚。
これだけは避けねばとは思っているのだが、ついつい頭をもたげてくる。
これは勉強に限らず、英語、スポーツ、音楽など、何にでも通じる話ではあるが。
本書にも記載があるが、子どもが「自分らしさや自分の価値観、信念をもって自分で決めたことに従う」ことができるようにすること。自律できるようにすること。そこが目指すところだとは感じる。
まあこれは言うは易く行うは難しなのは重々承知しているが、肝に銘じておくべきことだと思う。
子どもの性格や適性を見極めながら、どの選択肢を選ぶのか、どういった順序で進めるのかを検討し、子どもに助言していく。あくまでサポートとして。
ついつい受験となると、トップ校のスーパーエリートの話を想像してしまい、そこに加わり戦うことを夢見がちであるが、それだけが受験でないと気づかせてくれる1冊。
読書レビュー:『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む 採用の問題解決』(北野唯我)
わたしとしては「人や組織は、ロマンとソロバンで動く」という部分が印象に残った。
基本的にはソロバンが重要になってくるとは思うが、ソロバンという軸だけだと天井はなく、それが数値ゆえに永久に比較競争からは避けられない。
そういうときこそロマンが必要になる。その会社や事業のミッションやビジョン、企業イメージによってどれだけその仕事に納得感が得られるか。
ソロバンだけでなくロマンとの両輪が必要であると再認識した。
読書レビュー:『ワーク・イズ・ライフ 宇宙一チャラい仕事論』(近藤康太郎)
本書のなかでいうと「はじめに」の冒頭に書かれている「なぜ生きているか?なぜもなにもない。朝、起きちゃったからだよ」というフレーズが印象深い。
一生命体である自分がなぜ生きているのか。そこに特に深い意味などない。
中学生くらいから幾度となく考え始めてきた(いる)この疑問への回答をシンプルにまとめているように思う。
ぶっきらぼうなこの言い回しも、疑問の深遠さと対比的で良い。
とりあえず自分も朝起き続ける限りは精一杯生きていこう。(こう字面にすると少し重たいか・・・)
読書レビュー:『永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」』(早坂隆)
実際のところどうだったか判断がつかないところもあるが、仮に本書のとおりだとすれば「皇道派の青年将校たちの眼からすると、永田は『腐敗した軍中央の象徴』のように映った」というのは、本人がそう思っていないととしても、周囲にはそう見えてしまうという可能性は十分にあるといえる。
特に偉くなればなるほど、なかなか本人と直接話す機会もないだろうし、そういう状況下で周辺情報から誤って解釈してしまうのは避けがたいことなのかもしれない。
下の者の身としては、周辺情報だけですぐに判断しないことが重要だと感じる。これは何においても当てはまることだが、一方の情報だけではなく、もう片方(反対意見や反論)の情報にも接して検証することが肝要ということだろう。
これをきっかけにして、陸軍に関する色々な書籍にもう少し目を通していきたいところ。
読書レビュー:『「好き嫌い」と才能』(楠木建)
もう一点、「経営の本質は多様性よりも統合」というのも示唆に富む。
これは経営だけではなくチームレベルのマネジメントにおいても重要であるように思う。
多様性やダイバーシティの名のもとに、統合することを怠っていてはチームとして機能不全になる確率は高くなる。
リベラル化していくなかで「静かなる退職」というスタンスもあるところ、統合のためのハードルは上がっている気もするが、一義的にまとめあげることが肝要であることに変わりはない。
そんななかでこの統合を如何に実施していくか。課題として認識しておく必要がありそう。
読書レビュー:『文章は、「転」。 〈自分の言葉〉で書く技術』(近藤康太郎)
読みたいと思ったきっかけ
近藤康太郎氏の著作ということで著者買い。
文章は、「転」。 〈自分の言葉〉で書く技術/近藤康太郎【1000円以上送料無料】価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/11/4時点)
内容
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読書レビュー:『「好き嫌い」と経営』(楠木建)
根本にあるのは人間的な魅力、それは個別具体的なスキルや能力を総合したものではなく、要素に還元できない総体としてあるもの。
この対話に出てくるのは一線級の経営者の方々であり、少なくとも何かしらチャームがあるから組織を率いてこられたと考えられるし、対談のなかでもそのチャームの片鱗が見えるような気もする。
何かのファンになったり好きになったりすると、外野から「信者」と罵られるのをよく目にするが、人を「心酔」させて率いるということに鑑みれば、それは原理上、避けられないように思う。そうじゃないとファンも獲得できないし、人は付いてこない。
読書レビュー:『貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」』(鈴木大介)
もし自由意思がなく、自由な行動ができていないとしたら、自己責任の前提がそもそもないことになる。そして前提がなければ自己責任とも言えなくなる。
とはいえ、そういう風に見る人も、接する人も少ないのが現状だろうし、実際に自分自身がそういう風な見方をできるかも自信がない。
ただ、自分が「不自由な脳」になってしまう可能性も十分にあり得る話だし、こういった視点を持っておくことは重要だろう。その意味でも本書の内容を把握しておくことは有意義であると思う。
一点、「不自由な脳」や「脳性疲労」が医学的にどういった状態なのか、その原因や対処法、治療法などがあるかなども記載されていれば、よりわかりやすかったように感じた。(原因がわからないと不安になる自分の悪しき習性のせいかもしれないが)
読了して明るい気分になったり、スカッとするものではないが、本書を読むことで新たな視点を得られるのは間違いない。
読書レビュー:『ホワイトカラー消滅 私たちは働き方をどう変えるべきか』(冨山和彦)
この読み書き能力を鍛える作業は、回避しようと思えば意外と回避できてしまうので、意識的に取り組まないといけない。
なるべく長い文章を読み、そしてなるべく多く文章を書いていかないといけない。
本書にも記載があるが、資料といえばPPTで作成することが多いが、PPTのフォーマットは「誤魔化しが利く」ので、なるべくWordベースの文章で書いていかねばならない。
こう考えると、基本的な教育内容ある読み書きというのは大人になってからもずっと影響することを考えると、改めてそこに真剣に取り組むことの重要性も感じるし、自分の子どもに対しても読み書きの能力だけは一定水準でも担保してあげねば、と思ってしまった。
とはいえ子どものことよりも、まずは自分自身。濫読し、どんどん書いていこう。