宮台真司

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読書レビュー:『指導者の不条理』(菊澤研宗)

それを実践理性によって損得計算の結果を価値判断するにより、失敗を回避するのが本書の薦めるところであり、そこに「人間としての尊厳、気品、そして真摯さがあり、リーダーとしての権威が生まれる」としている。 まさに誰もが薄々は感じている部分であり、だからこそ人は利他的だったり、倫理的な振る舞いを尊ぶ。 しかし、言うまでもなくこれが難しい。 実践理性を加味した「重層的なマネジメント」を推奨することで組織の失敗を回避しようとするわけだが、結局はまずはリーダーが実践理性を用いてそういった価値判断を実施していく必要が出てくる。 そうなってくると個人としての生き方や考え方など根本的な部分での刷新が要求されるように思う。 このあたりになると宮台真司氏の活動や主張のように草の根運動ではないが、社会全体として個人の考え方や行動を変えていく取り組みを行っていかねば改善できないようにも感じる。 組織が人間の集合体であり、その人間は社会の中で育まれることを考えれば、当たり前の話なのかもしれないが、根本的な解決には相当な時間が掛かるようにも思えてくる。もちろん人の考えや行動が一気に変わることができればこの限りではないだろうけれども、それはハードルが高いように思われる。 即効的な解決が難しいとはいえ、個人の損得計算がもたらす弊害について、歴史的な事例を引き合いに出しながら知ることができるし、これにより実践理性としての他人本位でない自分本位の価値観を構築することの重要性を認識するきっかけになる。 章立てなどの本の作りもわかりやすく、ロジックも明快なので読みやすいので、ぜひ一読して欲しい。
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2022年印象に残った書籍ランキング(2022年No.1の本)

こうやって印象に残った3冊を見てみると去年と同じで、割と著者が有名な書籍に偏っているように思う。著名な著者の書籍を買いがちな自分がいけないのであるけれど。 2023年こそ、もう少し硬めの本を読みたいし、小説も読みたい。 なるべく自分の普段読まない書籍に手をのばすように意識的になっていきたいところ。 そうやって普段触れない書籍に触れることで自分自身の幅を広げていかねば。
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読書レビュー:『神なき時代の日本蘇生プラン』(宮台真司/藤井聡)

天皇論について詳しく知っているわけでもないが、レファレンスポイントとしての天皇、というのは妙に納得してしまった。 日本人の価値基準点を提供していたのが天皇であるとなれば、一般的に宗教による規範もなく、社会もない状況の日本が存続できていたことを上手く説明できる。 まともな社会、まともな個人を創出するために、天皇の機能やプラットフォームに関するマクロな視点からも、また虫を捕まえたり、焚き火をしたりといったミクロの視点からも語られており、どのトピックも参考になる。 宮台真司氏の著作を初めて読む方にも、対談本なので読みやすいためオススメできる。 ちなみに、宮台真司氏と藤井聡氏の対談はTOKYO MXのYouTubeチャンネルでも見られる。
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読書レビュー:『こども性教育 (おそい・はやい・ひくい・たかい No.113)』(宮台真司/岡崎勝)

宮台氏のような人物が中心になったコミュニティのなかで経験し、模倣(ミメーシス)し、行動していくしか成長の余地はない。 結局人間としての総合力の問題であって、ひとかどの人物の凄みのようなものに直接触れることでしか啓蒙されることはないのかもしれない。 そうしたひとかどの人物は希少で、なかなかお目にかかれないことを考えると、「まともな」大人になることは運に恵まれた一部の特権になっていくのかもしれない。(もう既にそうなっているかもしれないが) 自分としてはまずは自分の子どもに対しての振る舞いを注意しつつ、人間としての総合力、凄みが出るように経験値を積み上げていく努力をしていくしかない。 ハウツー的に即効性がないし、事後性が高いけど、そこにベットする他に方法はないように思う。
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読書レビュー:『経営リーダーのための社会システム論』(宮台真司/野田智義)

前述のとおり講義録であるため非常に読みやすい。宮台真司氏の著作を読んだことがない人でもとっつきやすく、そのうえ氏のあらかたの思考の方向性や考え方を学ぶことができるので、宮台真司氏入門として非常にオススメできる。 また個人や家族、社会や共同体の再建(そもそも再建する必要があるかも含めて)に興味がある人にも薦められる。 SFの世界のような話がテクノロジーの進展によって本当に現実のものになっているということを知るためにも本書は最適だと感じる。 本書の英語版も出版することが計画されているようなので、英語版が出たらそれも買って勉強してみたいところ。
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読書レビュー:『子育て指南書 ウンコのおじさん』(宮台真司)

もういい大人になってしまった自分が損得勘定に基づいて行動する劣化した人から脱却することは困難であろうが、自分の子どもにはせめて損得勘定ではなく動機付けに基づいて行動できるように成長してもらいたいところ。 もちろん自分だけを棚上げするわけではなく、自分もできるところから損得勘定の奴隷から自分自身を解放できるように行動し、経験を積まなければならない。 経済的合理的に動くこと、コスパ良く生きることが称賛され、そうでない行動を取る人物を蔑むような状況であるからこそ、逆張りではないが、そういった価値観から抜け出して動機付けに基づいた信頼ベースの関係を構築できる人を目指しながら、子育てや仕事をしていかなければ。
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