読みたいと思ったきっかけ
著者買い。これまでも古屋氏の著作を2冊読んでいる。
内容
目次
目次は以下のとおりとなっている。
はじめに | : | 変わってしまった世界で |
Chapter1 | : | 会社はあなたを育ててくれない |
Chapter2 | : | 「選択できる」ことは幸か不幸か |
Chapter3 | : | 自分らしさと成長を両立するために |
Chapter4 | : | 三年いても温まらない |
Chapter5 | : | 巨人の肩の上に乗る |
Chapter6 | : | スモールステップを刻む |
Chapter7 | : | 「キャンペーン」の集合をつくる |
Chapter8 | : | ”合理性”を超えるために |
Chapter9 | : | 「組織との新しい関係」を築く |
Chapter10 | : | 「新しい安定」を実現する働きかたのデザイン |
おわりに |
内容
わたしの気になった箇所について記載する。
はじめに(変わってしまった世界で)
※特になし
Chapter1(会社はあなたを育ててくれない)
■他人に関心がない、本を読まない、そつはないが妙にさめている、他人の目を気にする、安定志向、教養がない、マナーがない、指示待ちだ……。既視感を感じないでしょうか。現在においても、ほとんど同じ内容の「若者論」を目にすることが多々あると感じませんか。
■そして、ここでどうしても生じてしまう差こそが、「不安」や「焦り」の源だと考えます。「可処分時間をどう使っていくのか問題」が、本人の問題”として生じてしまっている。ゆるい職場となった企業社会ではどうしてもこの問題と付き合っていかざるを得ないということだけ、覚えておいてください。新しい発想で働きかたをデザインをするうえで、大きなポイントとなります。
Chapter2(「選択できる」ことは幸か不幸か)
■会社任せ・運任せの際には顕在化しなかったような様々なことを、若手自身が選ばなてはならなくなる。私はこれはある種、とても残酷なことだと感じるのです。これまでの若手は選ぶ必要すらなかった、また、その結果は全て「会社のせい」にできたのですから。
Chapter3(自分らしさと成長を両立するために)
■ありのままで働こうとすれば、「なにもの」かになるためには遠まわりになるかもしれません。「なにもの」かになろうと思い社会の最前線で必死に働きながら、自分が良いと感じたものを大事にし続けるのは難しいかもしれません。
■わかっていただけたと思いますが、この両者がいきなり両立することはまず難しいでしょう。重要なのは、一つ目に、あなたは今「ありのまま」でいることと「なにものか」になることのどちらを優先したいか、二つ目に、あなたの今の「ありのまま」と「なにものか」の充足度は何パーセントずつくらいかを把握することです。この2点の質問への答えを、まずは心の中で考えてみてください。これが働きかたのデザインの起点となります。
Chapter4(三年いても温まらない)
■私は、働きかたのデザインにも普遍の原則があると考えています。それは「1万時間の法則」や「最低必要努力量」(MER、Minimum Efot Reguirement)と呼ばれるものです。
Chapter5(巨人の肩の上に乗る)
■また、プロテアン・キャリア論で私が特に重要だと考えるのは、「キャリアの成功は心理的成功である」と明確に定義したことです。組織で地位を上げる・より高い給料を得ることよりも、自身が豊かな職業人生を送っているという自由や成長といった実感こそが成功の最重要要素だとします。
■併せて大久保は35歳からは「山決め」の時期である、このために入職初期の経験が極めて重要であると指摘しました。
Chapter6(スモールステップを刻む)
■つまり、日本の社会人は就職直後に最も能動的なキャリア形成の姿勢を持っているが、普通に過ごしていると、段々とキャリアに関する行動や情報取得をしなくなっていく、ということです。
■背景にあるのはどういった状況でしょうか。職場にも慣れ、職業人生における先行きやキャリア・ラダーが徐々に明らかになっていくなかで、情報取得の必要性が消失し、同時に行動を起こすことの意義を見出せなくなっていくことがあるのではないかと思います。いわば”会社への過剰適応”です。
■私はキャリア形成においてマインドセットや認識などではなく、認識を作ることとなる「行動」や「経験」自体に注目し、その意味を客観視できないかと研究しています。
■古代ローマに「目的地のない船には追い風は吹かない」という意味の言葉があるそうです。何か目的を持ったときに初めて、単なる情報は自分にとって意味のある”情報”になります。その”情報”の中から、自分にとって必要なカギとなるきっかけを探す作業は、少ない時間、少ない労力でたくさんの見返りを期待できるのです。
Chapter7(「キャンペーン」の集合をつくる)
※特になし
Chapter8(”合理性”を超えるために)
■各種のキャリア理論や企業で唱えられてきた”キャリア自律”、そして内発的動機づけや”Will”の重要性。しかしそれと真逆なものとして、実は仕事に対して反感や諦めといった気持ちが存在している。
■ライフキャリアの形成とその満足感に関して、「仕事に対してある種割り切って付き合う」「熱意はないが仕事をするのだ」というスタンスが一括りに悪い影響を持つとは言えないのです。
■「そもそもつらいもの」的な自分の仕事の見方やスタイルを貫くために、成果を挙げたいと思っている。やる気があるとかないとかではなく結果で見てほしい。仕事に「興味があるかないか」には本質的に関心はないが、それだけにむしろ結果や成果を重視したい。ある種の逆説的な”成果主義が、回答者たちの意見からは顔を出しています。
■私は、「熱意は仕事に必要ない」ということを伝えたいのではなく、「熱意が持てるか持てないかが、決して仕事の全てではない」ということをみなさんに認識していただきたいのです。
Chapter9(「組織との新しい関係」を築く)
■外を知っているから辞めるのではなく、外を知らないから辞めるのです。外の環境と接した経験があることが、在職の理由を増やし深くしていく。このことは、今後の企業の組織戦略にとっても重要なポイントです。
■私は、この性質、つまり在職がキャリア選択ではないことが、現代のライフキャリア形成に大きな脆弱性を生んでいると考えます。人は理由を考えるプロセスを通じて、動機や意味、優先順位を発見していきます。「なぜその会社にいるのか」という理由を考えるプロセスがなければ、組織から得たいものは明確にならず、組織との対話の動機も得あれず、乏しくなる機会をただ待っていることが最適解のように感じられてしまいます。
Chapter10(「新しい安定」を実現する働きかたのデザイン)
■このように、過去の意味づけによって、過去を変える。これがあなたのキャリアに「近道」をもたらします。すでに行ったことがある経験によって必要な1万時間を”上積み”したり、獲得にドライブをかけられること、これが「近道」をつくるということです。現在によって過去を変えるのです。
■この原則を逆に考えれば、焦りを感じるのは、その人と自分が近いからです。何かあなたが努力をしてきて、焦りを感じる相手が変わってきている・増えてきていると感じたことはありませんか。その変化こそが、自分の段階が変化している証拠に他ならないのです。遠い人が近い人になったということは(対象となる人があなたに近づいてきていない限り)、それ以外に理由がないのですから。
おわりに
■もうひとつ”王さん”の話をさせてください。陽明学の開祖である王陽明という哲学者のことです。その王さんに弟子のひとりがこう言いました。「毎日仕事に追い回されて、とても忙しくて学問している暇がありません」王さんはこれに対して、「誰が、毎日の仕事を離れて学問をしろと君に言ったのか。毎日の仕事から学ぶのが本当なのだ。日常の仕事のすべてがそのまま学問なのだ」この王さんの話は、「事上磨錬」という、実践によってこそ学ぼう、という考え方として知られています。
コメント
これまでの著作と同様に、日本における労働環境や会社や個人の考え方がわかりやすく解説されている。
「『可処分時間をどう使っていくのか問題』が、本人の問題”として生じてしまっている」という指摘はまさしくで、考える時間があるからこそ悩みが生じる。
仕事に時間を取られてしまえば考える時間や余裕もなくなる。残業規制などで余裕が出たことによって悩みが生じるという、環境が良くなったことによる新たな悩みが生じている。
これは仕事における可処分時間にフォーカスした話だが、家庭ができることでそこに時間を使うことを強いられることもまた可処分時間を少なからず減らす。
だからこそ、家庭を持つとそういった悩みを考えずに「現状維持でいいか」となるのかもしれない。もちろん年齢的な問題もあると思うが。
本書のなかで白眉は、「熱意が持てるか持てないかが、決して仕事の全てではない」という点。
仕事に熱意をそこまで感じていないからこそ、逆に結果を出すことに意識を向ける。
この姿勢は学ぶべきものがあった。
かくいう自分自身もあまり仕事に熱意を持っているタイプではない。それゆえに成果を出すことにより集中する必要性を感じた。
「熱意が持てるか持てないかが、決して仕事の全てではない」という指摘はその通りで、熱意を持って取り組めればそれに越したことはないが、必ずしもそうでない人もいる。
だからこそ熱意以外の軸、判断基準のなかでもとりわけ重要な成果にコミットすることが肝要になってくる。
終身雇用を前提とした年功序列型のシステムのなかであれば、自分自身のキャリアを考えずに済んだ。
何も考えないで済んだことで、脳への負荷が回避できたわけだが、もうそういう風に回避はできない可能性が高い。
そのなかでどうやって自分自身は仕事に取り組み、振る舞い、行動につなげるか。
30半ばに差し掛かった自分も逃げずに真剣に考えないといけない。
一言学び
熱意が持てるか持てないかが、決して仕事の全てではない。
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