読みたいと思ったきっかけ
橘玲氏の著作が出たら基本的には購入するようにしている。
今回も例に漏れず著者買い。
内容
目次
目次は以下のとおりとなっている。
はじめに | : | あんな大人になるんじゃないぞ |
ステージ1 | : | なにかを選べば、別のなにかをあきらめなければならない |
ステージ2 | : | お金はどのように増えていくのか |
ステージ3 | : | 楽しいことはすぐに慣れてしまう |
ステージ4 | : | 人生で大事なことはすべてギャンブルが教えてくれる |
ステージ5 | : | 時間には値段がある |
ステージ6 | : | 市場でお金を生み出すには |
ステージ7 | : | はたらくってどういうこと? |
ステージ8 | : | ハックする |
特別ステージ | : | 人生で役に立つ7つの法則 |
あとがき |
内容
わたしの気になった箇所について記載する。
はじめに(あんな大人になるんじゃないぞ)
■そして、市場経済の残酷な世界では、1+1=2だという現実をちゃんと受け入れることができないひとは、カモとしていいように扱われ、失敗を繰り返し、なにももうまくいかなくなって、いつのまにか消えていくのです。逆にいうと、1+1=2だという事実をもとに未来を考えることができるだけで、経済的に不合理なライバルに大きな差をつけられます。もちろん、10歳でこの知識をもっていれば必ず成功できる、とはいえません。ただ、「他人と同じように長い列に並ぶ人生」にはならないことは約束できます。
■これらのゲームを子どもが理解するには、「人生の資源(お金や時間)は有限である」ということを、自分で体験している必要があります。そのためには、子どもにはおこづかいの範囲内で、現金で買い物をさせるようにしましょう。クレジットカードやスマホのアプリの支払いでは、このいちばん大事なルールがわからなくなってしまいます。
ステージ1(なにかを選べば、別のなにかをあきらめなければならない)
■人生というゲームを攻略するときに、最初に学ばなければならないのは、「どんなゲームにも、与えられた条件と決められたルールがあり、勝手に変えることはできない」という約束事です。
■でもそんなことをすると、パパやママは二度と君の約束を借用しなくなるでしょう。
■いちどズルをすると、「どうせまたズルするにちがいない」と思われて、誰からも相手にしてもらえなくなります。それとは逆に、きちんと約束を守ると、次も守ってもらえると思われます。これが「信用」です。
■親子や夫婦、恋人や友だち同士など、愛情や友情のような「かけがえのないもの」に値段をつけると、神聖なものが汚されたように感じます。もしお金で買えるなら、それは「ほんとうに大切なもの(ブライスレス)」ではないのです。
■このゲームで百円玉を使うのは、時間もお金と同じ「資源」だということを学ぶためです。しかも、お金はがんばれば増やすことができますが、時間はどんなことをしても1日24時間を超えて増やすことができません。
■子どもが友だちといつも一緒にいたがるのは、それが「友だち」であることを証明する唯一の方法だからです。友だちと共有する時間が減ると、別の友だちに乗り換えられたり、友だち集団から外されてしまいます。友だち集団では、誰と遊んで誰と遊ばないかの時間資源を操作することで、(友だちかどうかの)境界を決めています。親は、この「友だちの力学」を理解する必要があります。そうすれば、どれほど説教しても、友だちと遊ぶために塾や勉強を拒否する理由がわかるでしょう(解決はできないとしても)。
ステージ2(お金はどのように増えていくのか)
■「限界効用が通減するまでは、お金が増えれば増えるほど、幸福度はぐんぐん上がっていく」
ステージ3(楽しいことはすぐに慣れてしまう)
■最初の20%は、「努力は報われる」のです。しかし、努力の限界効用はここから透減していきます。達成度が80%を超えると、「努力は(なかなか)報われなくなる」のです。
ステージ4(人生で大事なことはすべてギャンブルが教えてくれる)
※特になし
ステージ5(時間には値段がある)
■金利とは、「いまのお金」と「未来のお金」の差です。金利(時間の値段)=「いまのお金(現在価値)」「未来のお金(将来価値)
■・金利が低い=時間の値段が安い
・金利が高い=時間の値段が高い
という法則を覚えておきましょう。
■有名になればなるほど、仕事でかかわる人数が増えるので、必ず約束を守らなければならないのです。すべての成功したひとに共通する性格はただひとつ、堅実性がきわめて高いことです。これを簡単にいうと、「未来の自分を大切にしたほうが、人生はうまくいく」になります。
ステージ6(市場でお金を生み出すには)
■これが、この本で伝えたいもっとも大事なメッセージです。なお、この本では詳しく触れませんが、株式投資で「インデックスファンドが有利」といわれるのもここから説明できます。インデックスファンドは、株式市場に上場するたくさんの会社で構成されています。つまり、市場全体をまるごと買っているのです。市場取引がウイン-ウインのゲームで、そこからゆたかさが生み出されるのなら、長期で見れば、市場全体に投資するインデックスファンドがもっとも経済合理的な投資法になるのは当然なのです。
■わたしたちは毎日、市場でお金と商品やサービスを交換しています。では、それ以外に交換するものはないのでしょうか。じつは、お金では計算できないけれど、交換すると大きな価値を生む大事なものが2つあります。それは、「アイデア(知識)」と「ネットワーク(人)」です。
ステージ7(はたらくってどういうこと?)
■このように、「行動(お手伝いをする)」とその「結果(おこづかいをもらったり、罰金を払ったりする)」を「見える化」するのは、よい習慣を身につける効果的な方法です(これは「行動分析学」という学間で研究されています)。
■勉強のゲーム化には、次の2つが重要だとわかっています。
①努力が報われる
どんなにがんばっても攻略できないゲーム(無理ゲー)や、あまりに簡単すぎるゲームはすぐにやる気がなくなってしまいます。みんなを夢中にするゲームは、いまのキャラクターのレベルですこしがんばれば攻略できる課題を出すことで、プレイヤーのやる気を維持するようにつくられています。
②報酬がある
ゲームでは、敵をしたり、あるレベルをクリアすると、ポイントやお金が増えるなど、必ず報酬が用意されています。そもそもわたしたちは、報酬がないことをやろうとは思いません。
■いまはまだわからないでしょうが、大学を卒業する頃には、あるいは、遅くとも30歳くらいまでには、自分のスペシャルを決めなくてはなりません。専門が決まったら、あとはそれに全力投球します。すると、ライバルとの差がすこしずつ開いていって、それが実績として、複利で積み上がっていくのです。
■入社してしばらくたてば、「あいつは思ったより仕事ができる」とか、「エリートのくせにぜんぜん使えないな」という評判が、会社のなかでつくられていきます。学歴よりも、一緒に働いた上司や先輩、同像からの評判のほうが、ずっと正確に人的資本を予測できます。
■ビジネスで成功できるかどうかは、分業の仕組みを上手につくれるかどうかでほぼ決まってしまいます。1人でできることには、限界があるのです。このことは、「人的資本がどれほど大きくても、分業のパワーを使えないと、お金持ちにはなれない(成功できない)」ことを教えてくれます。
■誰もが自由に分業ができる労働市場では、能力競争で一番にならなくても、比較優位を活かすことで、みんながはたらいて富をつくることができるようになるのです。
ステージ8(ハックする)
※特になし
特別ステージ(人生で役に立つ7つの法則)
■失敗が恥ずかしいのは、「できるはずだ」とみんなが思っていることが、できないときです。だから、子どもが失敗しても、誰もバカにしたりしません。子どもはそもそも、いろんなことに失敗するのが当たり前だからです。だとすれば、子どものときや若いときに、たくさんの失敗をしたほうが人生はずっとうまくいくでしょう。
■アメリカではいま、恵まれすぎた子どもたちのうつ病が大きな社会問題になっています。適度なハンディキャップがあるほうが人生の幸福度は高いのです。「お金持ちの家に生まれたらどんなに幸せだろう」とうらやましく思うときもあるかもしれませんが、じつは君のほうが恵まれているのです。
あとがき(日本人は合理性を憎んでいる。だからこそ、合理的に生きることが成功法則になる)
※特になし
コメント
橘玲氏のこれまでの著作での主張をコンパクトにわかりやすくまとめられている。
まさしくエッセンスが凝縮されているので、この世の中がどういったゲームのルールで動いているのかを理解するにはうってつけの本に思う。
この本の「はじめに」に紹介される「合理的に考える」ということの事例に、「深夜の空港でのタクシー待ち」と「スーパーでの自動レジの行列」がある。
この事例は如何に世の中で「合理的に考える」ことができている人が多くないかを物語っているが、自分自身のことを考えてみたとき、意外と自分も非合理な行動を取っているかもしれない。。。
これが何故なのかと考えてみると「考えるのが面倒」というのが大きい気がする。
「合理的に考える」というのにコストを掛けるくらいであれば、非合理であってもコストを掛けずにいる。
これは現状維持バイアスなどもあるのかわからないが、とにかく「考えたくない」という人は結構多いように思う。それはもちろん自分自身も例外ではないが。
まあそれで本人が満足しているのであれば問題ないわけだが、一方で時として「合理的に考える」人を「ずるい」とか「卑怯」と呼んだりする。
スーパーの事例でいえば有人レジに並んでいないなら、わざわざ自動レジを使う必要はないわけだが、それを「ずるい」と感じる言う人もいる。
いや、かくいう自分もたまにそういう感情に捕らわれることがある。
これが橘玲氏が『シンプルで合理的な人生設計』にて書いていた「日本社会では、コロナ禍の対応で露呈したように、政府から個人まで「合理性」を嫌うひとがものすごく多い。日本人は合理性を憎んでいる」というのにつながるのだろう。
「合理的に考える」ということをOSとしてインストールするためにも、本書は有効であると思う。
わたしも自分自身の子どもが大きくなったらこの書籍を読んでほしいと思うし、日々の生活の中でも「合理的に考える」ことが「普通」になるように、本書を参考にして会話していきたい。
一言学び
人生というゲームを攻略するときに、最初に学ばなければならないのは、「どんなゲームにも、与えられた条件と決められたルールがあり、勝手に変えることはできない」という約束事です。
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