読書レビュー:『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』(ピョートル・フェリクス・グジバチ)

読書

読みたいと思ったきっかけ

つい先日、海外の人と話すときに話題に困ってしまうことがあった。

いわゆるスモールトークというもののコツが掴めるかと思い購入した。


内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

はじめに 日本人は「雑談」を世間話や無駄話と考えている
第1章 ここが違う!「世界」の雑談と「日本」の雑談
第2章 グーグルの強さの秘密を知る!強いチームをつくる「社内雑談力」の極意
第3章 どうすれば結果が出せるのか?武器としてのビジネスの雑談
第4章 何を話すべきではないのか?こんな雑談は危ない!6つのNGポイント
おわりに リモートワークの増加が雑談の重要性を浮き彫りにした

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

・自己開示とは、プライベートな情報を含めて、自分の「思い」や「考え方」などを相手に素直に伝えることです。自己開示をすると、相手に「自分がどんな人物なのか?」を知ってもらえますから、警戒心を解きやすくなり、お互いの心理的な距離を縮めることができます。

・外国人としてだけでなく、人材育成コンサルタントの立場から見ても、日本のビジネスマンには「自己認識」と「自己開示」が圧倒的に足りていないと思います。

・欧米の一流のビジネスマンは、しっかりと事前準備をして雑談に臨んでいます。IRレポートなどを読み込んで相手先の会社の経営状態や業績の実績、今後の見通しを知っておくことは当然ですが、SNSで近況を検索したり、同僚や友人、知人を通じて、「相手はどんな人なのか?」という情報を徹底的に調べた上で対峙しています。事前に「武器」を準備して、雑談のストーリーを描いているのです。

・日本では、フランス人が英語で話しかけられるのを嫌っていることは知られていますが、イギリスは例外として、ヨーロッパの人の大半は英語の会話を嫌います。母国語ではない言語で会話をすることは、きちんと意思の疎通ができるのか不安があり、話題や知識、質問も制限されますから、仮に英語が話せるとしても、できるだけ避けたい気持ちがあるのです。

・新入社員や仕事ができないビジネスマンには、名刺交換を終えると名刺ばかりに注目して、相手の表情やその日の様子をまったく確認しない人が少なくありません。

・僕は「人間の魅力は雑談に基づいている」と考えています。相手と良好な関係を作っていくためには、相手を知り、自分を知ってもらうことが重要ですが、それこそが雑談の重要な役目なのです。

・なぜ日本人が雑談で天気の話をするのかといえば、お互いに共通する話題であるだけでなく、リスクが低いからです。「今日は暑いですね」と言われて怒り出すような人はいませんが、相手の本音を聞き出すこともないのです。

・日本のビジネスマンが愚痴をこぼして「ガス抜き」しているのに対して、海外のビジネスマンは雑談を通して可能性や解決策を探しています。良し悪しを判断するのではなく、その違いを知っておくだけでも、これからの働き方の参考になるのではないでしょうか。

・「貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。本日は詳しい資料やスライドを準備しておりますが、すぐにプレゼンを始めてもよろしいでしょうか?何か新しい課題があるとか、違う方向性が見えたということであれば、先にお聞かせください」

・海外のビジネスマンが雑談を通して実践している3つのアプローチ法を紹介します。①お互いの共通の「趣味」を見つける、②お互いに共通する「体験」や「考え方」を共有する、③相手にとって「必要不可欠」な存在になる

・ラポールを作るための「3原則」は次のようになります。①相手が「何を大切にしているか?」を知る、②相手が「何を正しいと思っているか?」を知る、③相手が「何を求めているか?」を知る

・リベラルアーツを身につけるには相当な時間がかかりますが、「質問力」を身につけることは意外に短時間でできます。教養が追いつかないと感じているならば、質問力を高めることで、相手と会話のキャッチボールをすることも選択肢のひとつです。

・英語であれば、「It may be a tricky question」(奇をてらった質問かもしれませんが)という表現が一般的です。

・これは意外な落とし穴ですが、雑談には「予習」(事前準備)が欠かせないだけでなく、しっかりと「復習」(振り返り)をしておくことも重要です。

・いきなりファクトベースの話を持ち出すと、相手が気分を害することがあるのです。「商社マンとして、何を大切にしているのですか?とか、「銀行マンの仕事の醍醐味は、どのあたりにありますか?」という質問であれば、そのリスクはゼロです。

・雑談の目的は、お互いの心理的安全性を高めてラポールを作り、生産性を向上させて、アウトプットを高めることにあります。お互いが心理的安全性を感じて、ラポールを作れている状況であれば、無理に雑談をする必要はなくなります。

・ビジネスの場における雑談では、どんな話をする場合でも、次の4つのポイントを常に意識することが大切です。①相手を驚かせないレベルの「自己開示」をして、自分という人間を知ってもらう、②好奇心を持って、相手の「人間性」や「人となり」を知ろうとする、③「信頼関係」の構築が目的であることを忘れない、④相手と「ラポール」を作れているか、客観的な目で観察しながら話す

コメント

スモールトークにおいて、どういった話題が適しており、その具体的な事例が多く載っているものかと思ったら、そういった構成の書籍ではなかった(NGトピックは明示されていたりするが)。

雑談、スモールトークを通してどうやって良い関係性を作るか。そこにフォーカスした本といえる。

自分自身、あまり雑談が得意ではなく、この本にも書かれているとおり、当たり障りのない天気の話をよくしてしまう。

また自分のことを話すのも苦手で、自己開示も積極的に実施しないことも考えると、この本に従えば典型的な雑談下手ビジネスマンといえる。

まずは自分がどういう人間であるかをもう少し上手く伝えられるようにするところから始めたい。

また社外だけでなく、社内関係者とも雑談が重要であるという指摘は今まで意識しなかったので新鮮に感じた。

確かに社外の人間と同じように、社内の人間とも良好な関係を築こうとするのであれば、同じ人間なので必然的に同じアプローチを取れば良い関係を築けることになる。

仕事のときの何気ない雑談について「仕事の邪魔」という人もいるが(自分も少し感じていた)、良好な関係を築くという視点でいうと重要な働きをしているというのは盲点だった。

自分を知ってもらい、覚えていてもらえるということは誰にとっても嬉しい。

だからこそ、雑談を活用することで人をより良く知り、相手に自分を好印象に抱かせれば自然と関係性は向上し、そうすれば仕事でも成果を生み出しやすくなる。

ひっくるめると結局はコミュニケーション能力という話になりそうではあるが・・・。

元々予想していた内容ではなかったものの買って損はなかったと思える1冊だった。

一言学び

It may be a tricky question.


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