読みたいと思ったきっかけ
新聞の広告に掲載されていたのを見たのがきっかけ。
自分自身がまったく専門性がないので、それを埋めるための参考になればと思い購入した。
内容
目次
目次は以下のとおりとなっている。
まえがき | : | 専門性で戦えるビジネスパーソンになろう |
Ⅰ 専門性とは何か | ||
第1章 | : | 「専門性」が求められる時代 |
第2章 | : | 「専門性の身につけ方」が武器になる |
第3章 | : | 専門性を身につける方法を知ろう |
Ⅱ 専門性を身につけるステップ | ||
ステップ1 | : | 自分らしい問いを立てる |
ステップ2 | : | オリジナリティを発見する |
ステップ3 | : | 多様な意見を尊重する |
あとがき | : | 専門性を身につけるスキルは生涯使える |
内容
わたしの気になった箇所について記載する。
まえがき
■専門性の身につけ方は、長い歴史を積み重ねて「型化」されています。欧米のビジネスパーソンに比べて、日本人は終身雇用の世界を生きてきたこともあり、専門性の重要性に対する認識が甘く、専門性を身につける「型」についても、ちゃんと学ばないまま社会に出ている人が多いのです。いわば「型無し」の状態で、グローバルな争いを戦っているといえます。
■日々の業務のなかだけで、ビジネスの競争に勝つ専門性を身につけるのは難しいため、自ら学ぶことが大切である。しかし、『○時間で学べる△△』といったすぐ役立ちそうな自己啓発本を読んでも、ライバルと差がつくような専門性はなかなか身につかない。
■テクノロジーの発展とともに、仕事で求められる専門性の移り変わりは加速しており、時代の変化に応じて自分の専門性を進化させられるビジネスパーソンになるために、「専門性の身につけ方」事態を知ることが、替えがきかない人材になる近道である。
第1章
■誰がやってもできそうな仕事や、代わりがいくらでもいる人材は、会社にとっては取るに足らない存在だということになってしまいます。だとすれば、「余人をもって代えがたい」という状態を目指すことが、労働市場における自分の価値を高めるためには必要です。
■企業が元気でいられる健康寿命が、たとえ大企業や優良企業であっても、60年から18年程度まで短命化してしまうとすれば、社会人になってから定年までひとつの企業で勤め上げるといったような終身雇用は成立しづらくなります。
■勤務時間というのはいわば試合中ですので、試合の中だけでうまくなろうとするのではなく、練習時間をしっかりと設けて、自分の技に磨きをかけるのがプロのビジネスパーソンとしての作法になります。ちゃんと練習をしないまま、ある日突然、英語を話せたりプレゼンがうまくなったり、プログラミングができるようになったりしないのと同様に、朝目覚めたら新しい専門性が身についていたということは、残念ながら起こらないのです。
第2章
■<自分が好きだと思えることの先にしか才能の開花はない。好きなことを自己発見するのが先決である><そのことが好きであれば、すぐに成果や報酬に結びつかなくても苦にならない>といった発想の転換は、ビジネスパーソンにとって大変重要です。「嫌いなことをやらない」という戦略は、専門性を身につけるために欠かせません。
■専門性を身につけるためには、「やらなきゃ」「やったほうがいい」ということよりも、「やりたい」という気持ちを推進力にして取り組んだほうが、断然速いです。
■日本のビジネスパーソンは、簡単な考えや段取りをまとめられても、世の中を動かすような重みのある概念を組み立てられるのか?という問いが投げかけられています。とりわけ欧米に比べて集団的に調整業務を行うという組織慣習に起因して、実務処理の能力はあっても、考えていることをまとめてもA4にすると2、3枚ぐらいで終わってしまうといったように、概念構築や思考の深さという点で劣っているという指摘があります。
第3章
■専門性に関するこうした言葉の意味も踏まえて、私がもっとも強調したいのは、「専門性とは、専門知識のインプットではなく、専門知識のアウトプットである」ということです。この点が、専門性ということを理解するうえで、一番重要なポイントだと考えています。この観点に立てば、専門知識をどんなにインプットしたとしても、それが専門知識のアウトプットにつながらなければ、「専門性」とは呼べないということです。
■したがって、まずしっかりと認識しなければならないのは、「専門性とは、新しい知識を生み出すことである」というポイントです。すなわち、専門知識の「消費者」ではなく、専門知識の「生産者」になることを目指す必要があります。
■自分がもっている専門知識が、ちゃんと体系化されているかどうかを確かめるためには、自分でその構造を組み替えることができるかどうかで、判断することができます。
■つまり、今ある専門知識を「勉強する」ことではなく、今はない専門知識を「研究する」ことが、専門家になるための唯一の道です。
ステップ1
■つまり、「自分らしい問いを立てよう」という目的をもって、本を読んだり世の中の現象に目を向けることがポイントになります。そういった意識で、問いを立てるためのインプットを繰り返していると、だんだんと問いがシャープになっていくはずです。
■深掘力とは、別の言い方をすれば「メカニズムを明らかにする」ことだといえます。世の中の現象には、「目の前に現れて見えていること」の背景(裏側)に、「その現象を起こしているメカニズム」が存在しています。
ステップ2
■先行研究が多ければオリジナリティを発揮するハードルが高くなり、先行研究が少ないと手がかりになる材料が乏しくなる反面、自由にアプローチすることができ、その分野でのパイオニアとなり、第一人者になることも可能です。
■専門領域の陣取り合戦に負けないように、自分の知識を手っ取り早く差別化する方法として、「論文を読む」ということが挙げられます。ビジネスパーソンは、自分の仕事に関わる領域について、本を読む人は多くても、論文を読む人はすごく少ないのではないかと思います。ですから、本だけでなく論文を読むことによって、自分の知識が差別化されることになります。ビジネスパーソンは、手当たり次第に本を読む時間はないと思いますので、「自分らしい問いを立てる」「オリジナリティを発見する」ために本を読むときには、博士課程を出ていない人が書いた本はいったんすべて後回しにしたほうがよいと思います。
■ですから、どこが新しくて、どこが巨人の肩の上に立っているのかを、ちゃんと明確にすることが大切ですし、すごい人がすごいことを言っているように見えても、本当にオリジナルで新しい部分はどこなのかを見抜けることが、非常に大事なポイントになります。
■学びを効果的なものにするためには、能動的に発言することは非常に重要です。自分の意見や考えというのは、自然と出てくるものではなく、意識してつくるものだといえますので、自分自身のなかに問題意識や自分ならではの視点がないと、発言しようと思っても発言する内容がないということになってしまいます。
ステップ3
■これこそまさに、お手本のようなリフレーミングです。誰もがイラッとしてしまいそうなシチュエーションに対して、見方を変えることでポジティブな一面を引き出しています。こういった物の見方ができるようになれば、オリジナリティあふれる掘り下げが可能になるのです。
あとがき
■専門性とは、こうした「道なき道を行く」という歩みを止めれば、すぐに失われていくものです。他の人に先に行かれてしまったり、誰でも歩めるようにきれいに舗装されて道路ができたりしたら、価値がなくなってしまいます。
コメント
専門性をつけるというと知識のインプットを如何に行うか、ということを考えがち。
しかし、本書ではそれが否定される。
専門性とは専門知識のインプットでなく、専門知識のアウトプットであるとし、そのためには自分自身で如何に問いを立てることができるかが重要だと説く。
自分自身が問いを立てて調査していくなかでその構造を見抜けるか、また構造的に説明できるかが大切であり、それはまさしく専門知識を研究することに他ならないとする。
自分もご多分に漏れず専門性=専門知識をインプットすることだと考えていたので、本書を読み進めるなかで若干の肩透かしをくらったのは事実。
本書を読むことで専門性を身につけるための直接的なヒントが散りばめられていると思っていたので、その意味でいうと即効性のある内容を期待している人には向かない内容となっている。
ただ、中身としては専門性がなぜ専門知識をインプットすることでなくアウトプットすることであるかの説明がなされており、それについて説得力があるので参考になることは間違いない。
専門知識をアウトプットするという視点から、論文を読むことの重要性が述べられたり、書籍も博士課程を出た人が書いたもの以外は後回しにすることが推奨されるなど、インプットに関するヒントも載っている。
個人的には専門性をアウトプットする作業においてより具体的にどういった流れで進めばいいのか記載されているとよりわかりやすかったように思う。
例えば著者自身の専門性がどういった過程で磨かれていったのか、そのプロセスをどの論文を読み、どういった問いを立て、どうやって専門性を身につけていったのかを具体的に知りたかった。
もしかしたらこのあたりを述べると大学院での研究活動の紹介になってとっつきづらくなるから避けたのかもしれないが。
当たり前のことであるが、一朝一夕では専門性は身につきませんよ、というのが本書を通じて得られた一番のメッセージかもしれない。
一言学び
専門性とは専門知識のインプットでなく、専門知識のアウトプットである。
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