読書レビュー:『世界を知る101の言葉』(マンディープ・ライ)

読書

読みたいと思ったきっかけ

「国際標準の教養がザックリと身につく」という見出しに惹かれて購入した。

各国の紹介がそれぞれ3〜4ページでまとまっているおり、細切れの時間に読むのにもちょうど良いと思えたのも買うきっかけになった。

内容

目次

101カ国+1カ国をそれぞれ以下のパートに割り振って紹介する形になっている。

Part1 変化の価値観
Part2 継続性の価値観
Part3 人とのつながりの価値観
Part4 コミュニティの価値観
Part5 核となる価値観

内容

内容としては著者が考えるそれぞれの国を表す「キーワード」を中心にして、その国での著者の経験・エピソード、またその国の歴史・現状などが書かれている。

以下は自分が気になった部分(フレーズ)の引用。

・お金がすべてを語るわけではない社会では、尊敬とコミュニティに対する強い意識があります。庭師、医者、芸術家、商人のスキルが等しく称賛され、活気がありバランスのとれた進歩的な生活環境です。(キューバ、「問題解決」)

・国家のモットー「我々は今ある状態を保ちたい」は、幾度もの外国からの侵略と支配を生き抜いてきた強靭な国民的アイデンティティを表しています。適応することは、すべてを変えることではありません。他人のニーズを満たすために、自分の主義やアイデンティティを放棄しなくてよいのです。(ルクセンブルク、「適応力」)

・大切なのは、誰もが利益を得られ、現実的で公平かつ合理的な決定を、いかに下すかということ。(モロッコ、「妥協」)

・私たちは皆、駆動力を糧に、やる気や挑む気持ちや発想力を保っています。自分のやり方で成功したいという気持ちに駆り立てられない限り、望むものは手に入らないのです。(ナイジェリア、「駆動力」)

・パキスタンが教えてくれる勇気とは、個人的な興味よりも自分の信念を優先する意志です。そして、問題が発生したときに無視したり、他の誰かの行動に期待したりしないこと―――みずから関与する勇気です。(パキスタン、「勇気」)

・新しい市場に会社を構築する、新製品を発売するなど、キャリアの面でいかにインパクトを与えるかを悩んでいる人に、スコットランドは「サイズとパワーは比例しない」という手本を示してくれます。(スコットランド、「影響力」)

・団結と行動は、恥と罰を与えるよりも、行動を変える力があるという考え方です。(南アフリカ共和国、「赦し」)

・自分の意見や信念をほどほどにすることで、他人の意見や信念を理解し、すべての人の意見を聞くための余地を増やすのです。(チュニジア、「穏健」)

・起業家精神あふれる文化の基本となるのは、「成功より失敗から得られる教訓の方が多い」というアメリカの信念です―――失敗した人は「敗者」ではなく「学習者」なのです。(アメリカ、「起業家精神」)

・私たちは、個人や家族、コミュニティや組織の「ルーツ」を大切にするべきです。…自分の祖先を知り、過去につながる長老の知恵に耳を傾けることなく、自分自身を本当に理解することはできません。(ボリビア、「ルーツ」)

・「グレイチャイ(遠慮・配慮)」を受け入れると、他の人を優先し、自分以外の人が何を求めているかを積極的に考えることが、あらゆる人の―――とりわけ自分自身の―――幸せにつながるのだと理解できます。(タイ、「遠慮」)

・欲しいもののために戦うことを学びましょう。人生で確実なのは、一番でゴールすれば勝てるということなのですから。(ハンガリー、「競争力」)

・スペイン人は、人生を楽しむために、本当に重要なことに焦点を当てています。それは、自分の人生に関わる「人」、彼らと過ごす「時間」、一緒に育む「人間関係」です。(スペイン、「楽しむ」)

・控えめであるということは、物質的な富と所有物にあまり重点を置かず、人間関係の本質に重点を置くことです。(ベルギー、「謙虚さ」)

・信仰は、世俗的であれ宗教的であれ、人生で最も重要なものの一つ。論理や理由や期待にも打ち勝つ、信念の力なのです。(インド、「信仰」)

・仕事をすることは、心身の健康にも、目的意識と自己価値を生み出すためにも欠かせない営みです。(リトアニア、「労働」)

・最大の教訓は、幸福は、個人レベルで追い求めてもうまくいかないということです。人同士がつながり、互いに助け合う。個人ではなく全体で、みんなが一緒に行う。身の丈よりも大きな社会的大義を持って、私たちが住む世界をより良く変えていくことが大切なのです。(ブータン、「幸福」)

印象

共同体やに対するコミットメントなど、コミュニティを中心にした人間関係の重要性などが挙げられている国が多かった印象。

客人を招いて食事をする際は手間暇も時間もたくさん掛けて大いに楽しむ、といった価値観は普遍的なものなのだろうか。

お金を基準にして物事を判断していくのがデフォルトになっているいわゆる先進国よりも、そうでない国のほうが人間関係やコミュニティ、また伝統的な価値観などを重視しているのは、それが資本主義という逃げられない制度への対抗手段となり得ると直感的に感じているからだろうか。

コメント

各国の国民性や歴史、独特の文化などを少ないページ数で見ることができて、そこまで馴染みのなかった国にも親近感が湧いてくる。

また読んでいるだけでちょっと旅行した気分にもなれるのもいい。

個人的には最近読んだ『超加速経済アフリカ』の後にこの本を読むことで、アフリカ各国の復習にもなった。『超加速経済アフリカ』→『世界を知る101の言葉』の順番で読むことはオススメ。

それぞれの国の紹介が3〜4ページとコンパクトなので、歯を磨いているときや、寝る前に少し読んだりするのにちょうどよかった。こういう気楽にパッと読める本は読書へのハードルも下がるので読書嫌いの人にも薦めたい。

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