読みたいと思ったきっかけ
土井英司氏のビジネスブックマラソンで紹介されていたのが一番のきっかけだが、久しぶりに本屋に立ち寄ってしまい、そのときに目に付いたのがこの本だった。
内容
目次
目次は以下のとおりとなっている。
序章 | : | 思考整理をすれば気疲れフリーになれる! |
第1章 | : | 相手の思考整理をする前に知っておきたいこと |
第2章 | : | 相手が思わず動いてしまう思考整理の4ステップ |
第3章 | : | 思考整理で相手のどこを見るか ー 7つの着眼点 |
第4章 | : | 思考整理で行き詰まったときにどうするか ー 事例ストーリー |
第5章 | : | 思考整理の「見える化」 ー 図解 |
第6章 | : | 思考整理のスピードを上げる「引き出し」の増やし方 |
おわりに |
内容
わたしの気になった箇所について記載する。
第1章
・プロの思考整理術では、2つのことを同時に整理できます。「1. 状況(事実)」を整理することで、「2. 感情」が整います。
・人は感情が整っていないと、正論を言われても反論したくなるものです。
・相手が自分に対して警戒心を抱いていたら、思考整理するのはほぼ不可能です。相手に「この人になら、自分の本音を伝えてもいい」と思ってもらえるような雰囲気をつくるために、安心安全ポジティブ(僕は「APP」と呼んでいます)な場づくりが役立ちます。
・相手起点にするためには、相手がどんな状況にいて、本当は何を感じて何を考えているかを常に頭に置いておきます。そのためにも、相手のメリットを決めつけないことも実は重要です。
・相手起点にするためのコツは、「相手8:自分2」の割合で、相手に多く話してもらうこと。「相手9:自分1」でもいいぐらいです。
・僕は「先に言えば説明、後で言えば言い訳」とも考えています。同じことを説明するのでも、順番が違うと相手の反応はまったく変わります。だから、言いづらいことほど、先に伝えておくほうが安全です。
第2章
・「○○を○○するには?」というフォーマットに言葉を当てはめてもらいます。すると、「自分に本当にあった仕事を見つけるには?」「子供とよい関係をつくるには?」のように、方向性が見えてきます。
・相手が答えを導けないときに自分の体験談を話すのは誘い水として効果的ですが、基本的には「相手はこちらの話を聞きたいわけではない」と肝に銘じておきましょう。
・相手が「仕事よりプライベートが大事」と言い切っても、僕なら「まあ、そういう考え方もあるしね」と思って、それ以上は追及しません。それがその人の選んだ生き方なら、たとえ上司であっても、ムリヤリ考えを変えることはできないからです。そうだとしても、部下が(上司が考えている)現状と理想のギャップを自覚してくれれば、部下の思考に何らかの変化は起きる可能性はあります。やる気100%までいかなくても、今より数値が上がれば上出来ではないでしょうか。
第3章
・悩んでいる人はとくに目先のことでいっぱいいっぱいになっているので、斜め上の発想にしてあげるのが「極端に振り切る」という着眼点です。
・思考整理の4ステップのうち、現状や理想のステップで相手の思考が停止しているようなら、思いっきり極端に振り切ってみると、相手の思考が動き始めます。
・世の中の人間関係のいざこざの9割は、「情報量が一致していないから起きる」と僕は考えています。相性が悪いとか性格が合わないとか、感情的な話で片づけてしまいがちですが、お互いの持っている情報が一致すると、「そういう事情があったから、ああいう行動をとったんだ」とわかり合えるようになります。
第4章
・僕は、相手の背景のストーリーを知ることが相手に関心を持つことにつながり、相手の立場を理解できるんじゃないかと考えています。
・また、なかには愚痴を聞いてもらいたいだけの人もいます。相手がどれだけ真剣に悩んでいるのかも聞いてみないとわからないので、まずは無職透明になって相手の話を聞くことがはじめの一歩として重要です。
・ちょっとした出来ごとから、大きな出来ごとまで。人から聞いた印象的な話や、著名人の面白かったエピソードなども、明るい話題も恥ずかしい失敗談も、どんどんエバーノートにストックしていきます。手で打ち込むのが面倒なときは、音声入力するときもあります。このとき、「事例ストーリー」「接客」「家族」のようにタグ付けしておくと、その話が必要になったときに、すぐに検索できます。
第5章
・スケジュールをチャート図に表すだけで、「やることが多すぎてムリ」等の思い込みという思考のクセをなくせます。
第6章
・感情をすくいとるオウム返しだけでも相手は心を開いてくれますが、さらにあることを加えると、思考整理は想像以上にトントントンと弾みます。それは、「感情+センターピンのオウム返し」です。これを「要約のオウム返し」と僕は名付けました。
・本当の意味で「覚える」とは、記憶することではありません。記憶と想起は2つでセット。つまり、「記憶したことを想起することで、いつでも引っ張り出せる状態」にして、初めて「覚える」と言えるのです。
・僕は、飛躍的に成功する秘訣は、「アウトプットが先、インプットが後」と今までの本でも伝えてきました。
おわりに
・こうした経験を通じて、「人の相談に乗るときは、相手が話す言葉を額面通り受け止めちゃダメなんだ。会話の入り口として受け止め、その真意をつかもうとすること、そして相手の状況を正しく整理することが大切なんだ」と学んだのです。
コメント
「思考整理の本」と額面通りに思っていたので、ロジック・ツリーやMECEなどのフレームワークを使って思考を整理するのかと思ったが、決してそうではなかった。
確かに思考の4ステップとして①タイトル、②現状、③理想、④条件を図にした三角形のフレームワークは出てくるが、それ以外は特にフレームワークは登場しない。(補助的にチャート図や関係図などは示されてはいる)
どちらかと言うとコミュニケーションの本、といった印象が強い。
相手のモヤモヤやイライラをいかに解消して、円滑な関係を築くか。そこに主眼が置かれた本だと言える。
本書の中でも引用されている「すべての悩みは対人関係の悩みである」というアドラーの言葉が正しいという前提であれば、人間関係を円滑に進める=悩みの解消なので、そのスキルはとても重要なものとなる。
「相手の話を聞け」という指示が本書のなかでもなされるが、他の書籍と異なるのが、その具体的なアプローチ方法が記載されている点。
具体的にどうやったら相手の話を整理できるのか、そのときの注意点はなにか、など詳しく書かれている。
また著書の掲げている具体例が実際に相手との会話を台本のような形式で掲載されているので、それも実際の会話例のヒントになるため有益に思う。
他人の感情を整理し、円滑な関係性を維持する作業を通じて、結果的に自分の感情の整理にも役立つ。
「相手がどうしてこういった言動を取るのか」といったことを含め、相手のことを客観的に分析することで、相手に対する自分の感情や態度もメタ認知できるようになる。
そうやってメタ認知できれば相手に対して無用に感情的になることを回避できるはず。
いわゆるソフトスキルと呼ばれるコミュニケーション技術の向上に資する一冊だと感じた。
一言学び
情報量の不一致が人間関係のいざこざの原因の9割。
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