思い出の本 獄中記(佐藤優)

読書

読んだ経緯

1浪目の受験の最終日程だった、早稲田大学の商学部の試験を終えた自分は、戸山キャンパスから歩いて池袋のジュンク堂書店に向かった。

なんとなく新書・文庫コーナーを見ているときに見つけたのが『獄中記』の岩波現代文庫版だった。

何ページか立ち読みしただけだが、哲学や宗教の知識に興味が出てきていた自分の嗜好に合致していた。

そのままその本を購入した。

1浪目も大学に全落ちし、途方に暮れているなか読んでいたのが『獄中記』だった。拘置所での生活に比べれば、大学全落ちしたくらいは大したことない、と自分に言い聞かせながら読んでいた。

その後、2浪目の開始前に免許取得のため合宿に行った際も『獄中記』を持って行った。

そのときも毎日『獄中記』を読みながら、「拘置所に入り、取り調べを受けながらも勉強している人がいるんだ」、「そんな状況でも勉強できるんだから自分がやらないのは甘えだ」と勝手に比較しながら勉強に精を出そうとしていた。

その後も、何か思い悩むことがあったり、就活の面接で落ちたり、仕事に失敗したりしたときも、『獄中記』を開くことが多々あり、現在もたまに開いて読むことがある。

内容

基本的には『獄中記』の名前のとおり、佐藤優氏が拘置所に収監されていたときの日記であるが、検察の取り調べの内容を記録、弁護団に向けた手紙やその他に獄中声明、所感などの文書も付録されている。

日記は、どんな本を読んで何を思ったかや、宗教や政治に関する説明・主張などが記載されている。またドイツ語やラテン語などの取り組みについて、その方法や注意点なども載っていたり、学術書の精読のやり方なども記載されている。

日記なのでどこから読んでもそこまで違和感なく読めるし、1つ1つがそこまで長くないので、少し読むのにも適している。

また巻末に獄中読書リストもあるので、本文に登場した本を参照することもできる。

まとめ

既に複数のページが剥がれてしまい、今はテープで補強しながらページをつなぎ留めている。そこまで雑には扱っていないのだが、かなりボロボロになってしまっている。

良いと思った箇所については片っ端から付箋を貼ったので、本には大量の付箋が貼られている。

この本を読む度に『獄中記』の書かれている状況(佐藤優氏の拘置所での生活状況)の過酷さに触れるのはもちろん、それと同時に当時の自分自身の1浪全落ちという状況の辛さにも触れることになり、そのことに思いを馳せる。

『獄中記』を開けば、佐藤優氏の獄中での状況や、1浪全落ち時の自分の状況に比べれば、という思いが自然と湧いてきて、自分を奮起させる。

自分にとって生涯の1冊だ。

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