読書レビュー:『変える技術、考える技術』(高松智史)

読書

読みたいと思ったきっかけ

高松智史氏の『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』を読んだのがきっかけ。

『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』がとても面白かったこともあり、著者の他の著作も気になっていたところに購入したのが本書。

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変える技術、考える技術 [ 高松 智史 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2023/3/1時点)


内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

はじめに(注意事項)  
第0章 「変化」のキーワードは「スウィッチ化」
第1章 全てはここから始まる「愛と想像力」
第2章 なにがなくとも「チャーム」
第3章 戦い方が異なる「答えのないゲーム」
第4章 ポンコツの誤解 ー フレームワーク、MECE、因数分解、ロジック
第5章 本質を見抜く「二項対立」
第6章 TASKバカ/打ち手バカからの脱却、「論点バカ」
第7章 ファクトではなく「示唆(SO-WHAT)」
おわりに    

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

第0章(「変化」のキーワードは「スウィッチ化」)

・ちなみに、「思考」や「行動」を変えたければ、まず「暗記」がスタート。それこそが破壊的に効率的な学習法なのだ。だからこの話も、そのまま暗記して、明日の同僚とのランチ、飲み会で話してほしい。そうすれば、記憶として頭に定着する。

・巷のビジネス本に書いてある「見方を180度変えてみよう」みたいな、抽象論を頭に入れても、二度と思い出せない。だから、行動は変わらない。本を何冊読んでも、人生が変わらない、仕事がうまくいかないのは、それが原因だ。要するに、学んだことが行動に繋がっていないのだ。だから、「感情をそのままに、対話を暗記」して、具体論として頭に入れ込む必要があるのだ。

・企画やアイデアで飯を食っている職業の人は、まずはアイデアを考えるのに心地いい場所を見つけ出してほしい。その場所でアイデアを必死に考えているうちに、そこが次第に、あなただけの「アイデアを思いつく場所」という「物理的スウィッチ」となる。

・この「直感で言うと、どっち?」という質問が、「投げかけ」スウィッチだ。この質問をすることで、相手は圧倒的にスタンスがとりやすくなる。…これと同じ使い方で有効な投げかけが、「あえて文句を言うと、何が浮かびますか?」という質問。

第1章(全てはここから始まる「愛と想像力」)

・「そうぞうりょく。『創る』ほうじゃなくて、『想う』ほうの、想像力」この言葉には、仕事だけでなく、人生の本質が詰まっている。それくらい大事な言葉だと思っているから、ここで紹介した。ほんと、この「想像力」が頭の良さを決めるんだよね。

・こんなミスは、あのロナウジーニョには起きない。今、世界で大活躍しているロナウジーニョが「梅」を頼んだら、店員さんは絶対に「鮭」を間違えることはない。つまり、「僕にはまだまだ実力がないから、こんなミスが起きる」と捉えて、怒りをエネルギーに変えてしまう思考こそが、ロナウジーニョ思考なのだ。

・そこで考えてほしい2つの問いがある。「その中で、どういうことを言っている人に嫉妬しますか?」また、「あなたは、自分の現状をどのようにみんなに言いたいですか?」。この2つの問いを考えると、あなたの”なりたい姿”の輪郭が濃くなる。人は「理論」よりも「感情」に従う生き物だから、「嫉妬」や「言いたい」というプライドをイメージすると、より思考が深くなるのだ。

第2章(なにがなくとも「チャーム」)

・たとえ先輩のアドバイスがポンコツだと思ったとしても、それを表に出さずに、「勉強になりました」と言っておいたほうが、別の機会があった時に教えてもらいやすいはずだ。これは社会人としての本当に最低限のマナー。…アドバイスを親身に行って、最後の返事が「参考になりました」と「勉強になりました」では、終わったあとの清々しさが変わる。

・世の中には「なんか、報われないなぁ」と思っている人は多いかもしれないが、それは運でも、周りのせいでもなく、「言葉遣い」に原因があると僕は思っている。

・このように、「ご連絡させてください」のほうが「下から」感を出せるわけだ。目上の人に連絡する時でも、「下から」の印象で入ることで、相手が気を悪くすることはない。語尾が違うだけで、伝わる印象は全く違うものになる。

・佐々木さんが朝5時にPCを開き、メールを見始めるなら、僕は朝5時に合わせて、見てもらいたい資料を作り上げるということだ。僕の働き方は、前日の深夜2時〜4時で仕事をし、佐々木さんが仕事を開始する朝5時に合わせてメールして、その間に寝る、というサイクルだった。これは師匠を持つ技術であり、プロフェッショナルの基本だと思っている。

・了承すると、佐々木さんに「明日9時からミーティングする」と言われたので、僕は「ほーい」と返事をして、席に戻った。そこから10時間、もくもくと、提案書や関係書類を読みながら、論点設計、基礎調査をして、翌日の朝9時には万全の仕上がった状態でミーティングに参加した。「期待を超える。予想を裏切る」というのは、このレベルまでやらねばならない。

第3章(戦い方が異なる「答えのないゲーム」)

・そして、これも需要なポイントなのだが、2つの選択肢から選ぶと、オートマチックに「2つ選択肢があるのに、なぜそれを選んだか?」を考えることになる。これこそが、思考力を高めていく過程で、実は大事な要素なのだ。

・言語化力=【語彙力】✕【「2つ以上」の表現を思い浮かべて選択する習慣・精神】✕【その回数】となる。この因数分解から考えると、語彙力を増やし、「2つ以上の表現を思い浮かべる」ことを習慣にする回数を増やしたら、自ずと言語化力は上がるのだ。

・そして、何かをスキルとして習得する時は、学習した内容を目に映るすべてに適用する「答えのないゲーム」の戦い方も、それが当てはまらない場面では使わない、と考えるのは愚の骨頂だ。そのマインドでは、絶対に物事を習得できない。だから、みなさんに降りかかる問題、宿題、タスクはすべて「答えのないゲーム」と設定して、ここまで読んできた内容を常に当てはめてほしい。

・以上を30分の面接で見るわけだが、正直なところ、10分話せば面接官はわかってしまう。目の前の人材が「答えのあるゲーム」の住人か、「答えのないゲーム」の住人かはすぐわかるのだ。ニオイや、発言に自然と滲み出る。

第4章(ポンコツの誤解 ー フレームワーク、MECE、因数分解、ロジック)

・ここで初めて、フレームワークの登場である。自分が考えた理由を単なる思いつきと思われないように、フレームワークをとってつけたように作る。あくまで説明責任を果たすためだけに、フレームワークを使うのだ。

・「MECE」が「宝探し」をやめる免罪符になっている。なので、害悪なのだ。そもそも、ビジネスが「答えのないゲーム」だから、MECE=モレなく、ダブリなく、という概念がフィットしないのだ。

・違う言い方をすると「フレームワークで考えよう」ではなく、「フレームワークで整理して、魅せ方をセクシーにしよう」というのが正しい。

・「アドバンテージ・マトリクス」:横軸に「優位構築の可能性」、縦軸に「競争要因の数」をとる。

・「BCGの組織マトリクス」:横軸に「動機付け」、縦軸に「規律」をとる。

第5章(本質を見抜く「二項対立」)

・両極端の選択肢を目の前にし、勇気を持って、どちらか1つを選ぶ。その「選んだ」というエネルギーによってやる気が湧き立ち、仕事をやり切れるってことさ。これぞ、人生を成功させる秘訣の1つだよね。

第6章(TASKバカ/打ち手バカからの脱却、「論点バカ」)

・議事録は奥が深い。まずは、ステージ7まであることを認識し、「自分はどこまで出来ているかな?」と内省することが最も大事だ。発言を書いただけでは、「悪い議事録」のままだ。目的と合わせて、論点や仮説まで書いている「良い議事録」を作れるようになろう。

第7章(ファクトではなく「示唆(SO-WHAT)」)

・示唆は「武器」になる。なにせ「ファクト」ではないから、全員が同じ情報をくみ取れるわけではない。が、考える力を使って、他の人が思いつかない示唆をくみ取れることができれば、価値の高い情報として、活かせる可能性があるのだ。

・「示唆」をマスターするための第1歩は「自分の言っていることがファクトなのか、示唆なのか?」を判断できること。もう少し言えば、「俺はファクトなんて、言わない。意地でも示唆を言う。トンチンカンでもいいから、示唆を言うぜ」という気概を持つことが大事なのだ。

・当時は「なんだこの『他には』おじさん」と思っていたが、今考えると、示唆を出す素養があるかを、徹底的に確かめられてたのだ。要するに、示唆はBCGのようなコンサルティングファームでも必要とされる「スキル」だということだ。でなければ、ここまで面接で問われることはないだろう。

コメント

わたしのなかで著者買いしてしまう著者の方が何人かいる。

佐藤優氏、宮台真司氏、橘玲氏、山口周氏、土井英司氏、森岡毅氏、楠木建氏、北野唯我氏など。

もちろん著者買いといっても出版されている書籍をすべて購入しているわけではないが、新刊が出ればほぼ無条件に購入してしまう。

そんな著者買いのなかに新たに入ることが確定しそうなのが本書の著者である高松智史氏。

著者の作品を読むのは『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』に続き2冊目となるが、本書も抜群に面白く、また本当に具体的なのですぐに実行できるし、だからこそ役に立つ。

徹頭徹尾、行動を変えることに主眼が置かれた言葉選び、書籍構成になっていて、読みやすくまた記憶に残りやすい。だからこそ使いやすい。

自分自身は社会人になって10年近く経ち、ようやく慣れてきたタイミングであるからこそ、こういった原理原則を確認し、自分がそこから外れた言動パターンに陥っていないかをチェックすることは重要だと感じてきている。

そういった意識にまさしくドンピシャな本が本書であり、本書でも推奨されているように暗記・暗証して自分の行動として無意識に行えるレベルまで刷り込んでいきたいと思う。

個人的には「相手のことを考えろ」というフレーズが「想像力」というより短い単語で言い換えられた点にすっきり感を覚えた。

何より「想像力」のほうが、状況やその場の雰囲気、過去・現在・未来などなど、あらゆることを対象にできるので、より汎用性がある。

また言語化力を「【語彙力】✕【「2つ以上」の表現を思い浮かべて選択する習慣・精神】✕【その回数】」と定義しているのも納得がいった。

語彙力を増やすだけでなく、実際の運用の場面で別の選択肢を思いつくこと、考えようとすること。そしてそのトライアルの数。

語彙力はパッと思いつくけれど、その取り組みとトライする回数までは意外と思いつかない。これを知れたのも大きかった。

実用性という点でいうと、本当に製品の説明書やマニュアルレベルで実用的な気がする。(こうやって書くと逆に実用性が強調されないかもしれないが・・・)

本書の「はじめに」で書いてあるとおり、読めば何かしら実行できることがあるので、まずはパラパラとめくるだけでもしてもらいたい書籍。

一言学び

「そうぞうりょく。『創る』ほうじゃなくて、『想う』ほうの、想像力」

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変える技術、考える技術 [ 高松 智史 ]
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