読書レビュー:『自己プロデュース力』(島田紳助)

読書

読みたいと思ったきっかけ

山口周氏が著書のなかで紹介されていたのがきっかけ。

内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

 

1 「努力の方法」を教えます
2 まずは「自分だけの教科書」をつくる
3 「ボケカス!お前らが間違ってる!」
4 結果さえ出せれば「生意気」でいられる
5 「本当の客」を見極める
6 「X+Y」の公式の確立
7 「技術派」と「感情派」
8 : 同じことをやっても絶対勝てない
9 「島田洋七」というシステムをパクる
10 直球がダメなら変化球で
11 負ける戦はしない
12 テレビで絶対売れる「企業秘密」を教えよう
13 東京なら「藤本」、大阪なら「赤松」
14 頭で覚えるな、心で覚えろ
15 心で記憶できる人たち
16 「ヘンな人」になりなさい
17 もっと必死になれ!
18 「5の努力」をすれば「5の筋力」がつく
19 なぜ店を経営するのか…その1
20 なぜ店を経営するのか…その2
21 M-1で勝つための方法論
22 君たちには十億円の価値がある

この本は、2007年3月にNSC(吉本総合芸能学院)大阪で一度だけ開催された、島田紳助氏による特別講義の内容をおさめたものとなっている。

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

・だから、「勝てない現場には行かない」「勝てる現場では必ず勝つ」、自分の中でそう決めてて、それにはちゃんと根拠もあったけど、会社からしたら単なる生意気な奴にしか見えなかっただろうね。

・自分たちが誰を笑わせたいのか、どの世代のどんな人たちなのか、そのためにどんなネタをつくるのか、というのが、まず最初に考えるべきこと。

・僕がよく言うのは、「X+Y」でものを考えろ、ということ。「X」は自分の能力。自分は何ができるのか。…「Y」は世の中の流れ。これまでどんなことがあって、いまどんな状況で、五年後十年後、それがどんな風に変わっていくのか。…「X」と「Y」もわからずにどんなに悩んだって、それは無駄な努力です。

・売れ続けるには、常に「X」と「Y」がぶつかっていなければいけない。そのためには、動いていく「Y」に合わせて、「X」を変化させなければいけないんです。

・慎重に世の中の動きを追って、そこに自分をぶつけていくことが大事なんです。

・同じ弟子同士といっても、ライバル。負けるということは、そこで相手に対して「一敗」がつく。負けることはしたらいけないんです。僕たち芸人は勝たなくてはいけない。勝つことしかしてはいけない。

・皆さんも、自分が面白いと思った人をどんどんコピーして下さい。ただし、ネタではなく、システムをね。

・「知っていることしか喋っていない」本当にそう。僕は知っていることしか喋っていない。でも、知っていることが一分野でも一箇所でも、人より深かったら、「何でも知っている」と人は勝手に思ってくれる。これがポイントなんです。

・全体を知らなくてもいい、細部を熱く語るというトリックです。

・僕たちは賢くなる必要はない。「賢いんちゃうかな?」って思われたらそれでいいんです。ただし、嘘はいけない。嘘はすぐばれます。一分野一箇所に詳しくなるなら、その一箇所を本当に好きにならなくてはいけません。

・「心」で記憶するコツは何なのでしょう。これも才能なんだけど、ひとつに感情の起伏が激しくないといけない。いつでも、「感じ」なければいけない。

・人が知っていることは知る必要ない。ビデオの予約録画なんて覚えようと思わない。時間の無駄。誰でもできるんだから。誰でもできることは誰かに頼んだらいい。僕たちは誰にもできないことをしないといけないんです。

・もし、時間が許されるんだったら、僕がこの中のコンビに付きっ切りになって、世に出る作戦を一緒に練りたいですよ。そうなったら、必ず成功させます。どんなことも、やり方次第なんだから。

・外へ発信するのは売れてから。まずは内側へ発信しなくちゃいけない。

・いちばん大切なのは、無闇に練習をしないということ。どんな漫才をするのか、自分の中で明確な方向性を持って、それに従って練習をするということ。

コメント

元々、講義で話した内容であるため非常に平易な言葉で書かれていて読みやすい。

基本的には芸人がお笑い・テレビの世界で成功するための方法を記載しているものだが、他の職業でも当てはまることや、そもそもの人生のヒントとなりそうなものも多く語られている。

山口周氏がこの本に触れていたときに書いていたのは「自分たちの武器が通用するところで勝負する」という点。

これは、自分の強みである「X」とその強みが活きる場所を割り出す「Y」の両方の能力が必要になることを指摘している。

ただ何の計画も、方向性も持たずに努力することを島田紳助氏は否定する。それは無駄な努力であって、意味がないとする。

この点は大いに自分への戒めにもなる。なぜなら自分も無目的に努力に逃げようとしている節があるから。

努力すること自体も確かに大変ではあるが、一方で努力している間は周りからは評価されやすいし、何より自分も「自分は努力している」と変に安心してしまう。

ここが努力の厄介さだろう。これも山口周氏の言葉を借りれば、いわば「良い努力は報われる」のであって、「全ての努力は報われる」わけではない、ということだ。

しかし、どんなに間違った方向に努力していても、努力は最後には報われるとついつい思ってしまうもの。

結局は、努力しているからと慢心している時点でダメで、常に自分の強みを意識しつつ、世の中がどういう流れになっているかを観察しながら、それに自分をフィットさせていく、というその過程やそこで必要となるものに対して努力していかねばならないのだろう。

この考え方自体は普遍的な気がする。

どの分野でも一流の人は例外なく考え・思考して戦略的に動いている。この本がまさにその例だと思う。

書籍だけでなくDVDも出ているようなので、そちらもチェックすると内容を確認できるのに加えて、本では伝わらない雰囲気も伝わるかもしれない。

一言学び

無闇に練習をしない

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