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読書レビュー:『<知>の取扱説明書』(仲正昌樹)

内容としては大学生、とりわけ1−2年生に向けた内容の本のように感じるが、実体としては結構な割合の大学生が本書に書かれていることを実践できていないように思う。 個人的に修士課程の学生の実体はわからないのだが、この本に書かれている限り、院生もそこまで高尚な感じで学習し振る舞っているようではないかもしれないというのは意外だった。もちろん個人差があるのだろうけど。 最近は歴史や哲学、政治学などなど学問然とした内容の本を読みたい欲に駆られており、今の自分にピッタリの内容だったように思う。 大学生のときの自分は何冊か古典的な作品、プラトンの『国家』やアリストテレス『ニコマコス倫理学』、マキャベリの『君主論』などを読んだこともあるが、そこまで古典と言われる作品群に取り組むことがなかった。 どちらかというと新書や単行本などで学説の概要を知っては悦に入るようなタイプだった。今思えばそういった学説の概要すら何も学べていなかったのだが・・・。 昔から言われているように(少なくとも私には沿う感じている)、やはり身体的に知識を覚え込んでいく姿勢が重要というのはその通りに感じる。 また書籍のあらすじをある程度言えるようになるというのもやはり、といった印象。 いずれも自分ができていない点という意味では反省しかないのだが。。。 本来であれば大学生に戻ってやり直したいところであるが、そんなことは到底不可能なので、少しずつ知を深められるように勉強を進めていくしかない。 結局、近道や簡単な方法などはなく、王道と言われる方法で学習を進めるしかなく、疑問に思ったことがあったら徹底的に納得いくまで調べるという姿勢こそ身につけるべきものなのだろう。 大学生には是非本書を読んでもらって、大学生活を無題にしないように学問に取り組んで欲しい。もちろん大学生でなくても人文系の学問に興味があり、学びたいという意欲のある人にとっても学習の良い導き書となるはず。
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読書レビュー:『ビジョンとともに働くということ』(山口周/中川淳)

自分が読んだなかだと『ビジョナリーカンパニーZERO』がビジョンに関する書籍であり、様々な事例が紹介されていてとても参考になった。 本書は『ビジョナリーカンパニーZERO』のさらに前段階である、そもそもビジョンを持つことがより重要になってきた背景から説明されているので一層腹落ちしやすい。 また日本の文化的な背景などからも説明されていることも読者にとってはよりわかりやすく感じられる。 ビジョンを持つことの意味や有用性について知りたい人には当然オススメできるし、また現代社会における働くことの意義など、少し抽象度の高めの問題意識を持っている人にもヒントになることが多いはず。
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読書レビュー:『バカロレアの哲学』(坂本尚志)

そのプロセスのなかでも反対・否定の意見を尊重することが重視されている。それはそういった反対意見の妥当性・論理性のそんちょうが、民主主義社会において必要な態度であるからであり、この点がアメリカ式のエッセイの型と異なるという指摘には目を開かれた。 確かに反対意見を必ず入れるという形になっていれば、自然と自分とは逆の立場の意見についても考えるようになるはずだし、それこそが民主主義国家における市民のあり方として健全なものなのだろう。 そう考えるとこういったバカロレアの哲学試験で意図的に反対意見を尊重するような行為態度を涵養するように仕組み化しているのはさすがフランスといったところか。 フランスの高校生がバカロレアの哲学試験でどうやって問題を解いているのか、その一連のプロセスを本書では例題を通じて知ることができる。 バカロレアに興味のある人はもちろん、哲学に興味のある方も哲学を主題にしてどういった試験が実施されているのかを知る意味でも本書は役に立つはず。
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読書レビュー:『戦時下の外交官』(佐藤優)

本書のなかでも当時の大島駐独大使が「大使は本省の訓令に従って動いているだけである。従って政策の遂行に対して責任はない」と語ったというエピソードが記載されている。 誤りを認めずに、自己保身に走る。どの時代にもそういった類の人物はいるし、自分自身もそうなってしまう可能性を常にはらんでいる。 こういった個々の事例を知りストックしておくことで、日頃の行動を律するようにできるかもしれないし、緊急時にも後ろ指を指されない行動を取れるかもしれない。 もちろんその時になってみないとわからないが・・・。 結局は後世の人が歴史・過去を評価する際に後ろめたさのない言動をいかにできるかに掛かっているように感じる。わたしのような小市民ではここまで意識する必要ないかもしれないが。 戦争という極限状況における人間模様・状況を学ぶためにも、また当時の外交官の世界を垣間見るためにも本書は有益に思う。 ページ数が多いので少し分厚く、取っ掛かりづらく感じるかもしれないが。。。
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読書レビュー:『保守主義とは何か』(宇野重規)

守るべきものがなくなったとき、保守主義という思想自体のレゾンデートルはなくなるように思うのだが、そうなったときはそうなったときでまた何かしら守るべき考え方が出てくるのかもしれない。 それにしても保守主義を考える文脈において、英米の特殊性は考慮すべきという点は合点がいった。アメリカについてはよく言われるようにヨーロッパの伝統がなく、また啓蒙主義の挫折がなかったことから生じるロマン主義への移行も起きなかったなど、その特殊性が説明される。 しかし、英国が名誉革命によって確立した国制が墨守するべきものとしてあった点で、他のヨーロッパ諸国と異なるというのは、今回の発見だったように思う。(市民革命が生じた時期が英国が早かったのがポイントなのだろうか・・・) 保守主義の歴史的な流れや各国における違いを章ごとに丁寧に述べられており、非常に読みやすい一冊だった。頭の良い人の書いている文章といった印象。 保守主義に興味のある人や、またアメリカ政治における思想的な変遷に興味がある人にも特に有益になるはず。
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読書レビュー:『大日本史』(山内昌之/佐藤優)

世界史を学ぶ場合には日本史は大きくは近現代以降にしか登場しないし、日本史を学ぶ場合であっても日本と世界の関わりについてはそこまで主眼が置かれていないように、少なくとも私が学生のときは感じた。 そういった状況を脱し、世界史における世界から日本への影響や、逆に日本史における日本から世界への影響、といった視点から本書は日本の歴史を振り返っている。 しかしながら、歴史の知識をある程度体系的に暗記しておくことの重要さは大人になるほど身にしみる。 中学生や高校生のときに歴史の流れや最低限の知識を丸暗記して頭に入れておくことは、その後の大学生活や社会人になっても極めて有用であるように思う。 最近は丸暗記はナンセンスで必要なときに調べれば問題ないという風潮が強いが、結局頭に知識がないと読解力も落ちるし、そもそも学ぶスピードが段違いに遅くなる。 そういう意味では、如何に義務教育や高校生のときに基礎的な知識を叩き込めるか、というのは死活的に重要になってくると思うのだが、如何せんこの考えは前時代的過ぎる感は否めない。 もはや学生ではない自分にとっては今さらではあるが、最低限の歴史知識は入れていかないと。 大学受験用の日本史・世界史を勉強を通じて知識強化を図ろうか。。。
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読書レビュー:『子どもに語る前に 大人のための「性教育」』(宮台真司/岡崎勝)

読みたいと思ったきっかけ こちらも『経営リーダーのための社会システム論』と同じ理由で、宮台真司氏の名前で検索したときに新刊として出てきたので購入した。 /おそい・はやい・ひくい・たかい 112 / 岡崎勝/編著 宮...
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読書レビュー:『経営リーダーのための社会システム論』(宮台真司/野田智義)

前述のとおり講義録であるため非常に読みやすい。宮台真司氏の著作を読んだことがない人でもとっつきやすく、そのうえ氏のあらかたの思考の方向性や考え方を学ぶことができるので、宮台真司氏入門として非常にオススメできる。 また個人や家族、社会や共同体の再建(そもそも再建する必要があるかも含めて)に興味がある人にも薦められる。 SFの世界のような話がテクノロジーの進展によって本当に現実のものになっているということを知るためにも本書は最適だと感じる。 本書の英語版も出版することが計画されているようなので、英語版が出たらそれも買って勉強してみたいところ。
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読書レビュー:『完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』』(佐藤優/片山杜秀)

自分は『坂の上の雲』を読んでのは高校1年生のときだったので、もう読んでから15年くらい経っている。 当時は読書にも不慣れで、語彙力も不足していたので、国語辞典で言葉の意味を調べながら読書していたのが懐かしい。 振り返って考えてみると、あのときに国語辞典を引きながら読書したことが意外と今の自分の語彙力の土台になったような。 初めて長編の作品を読んだので、読み終わったときの達成感がとても爽快に感じられたことを覚えている。 文庫本で8巻あるので簡単に読めるものでもないが、もう一度読み直してみても面白いかもしれない。 佐藤優氏が本書のなかで言うように、自分も歳をとったのでまた違った印象や感想を抱けるかもしれない。 そのときに本書の附録は役立つこと間違いない。「『坂の上の雲』をこれから初めて読む」という人にとっては本書を副読本としてセットで読む方が理解しやすく、また史実と異なる部分についても把握できるので、是非手元に置いておくことを薦めたい。
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読書レビュー:『英語の議論を極める本』(植田一三 他)

各トピックがそれぞれ簡単に答えが出ないものが故に、読みながらそれぞれのメリット・デメリットを整理できるのも嬉しいところ。 議論が点数化されるStep4については、わたしは正直あまりピンとこない部分もあったので、読み飛ばしながら進めてしまったが、どういった形で話し、回答し、質問すれば議論で勝てるのかの術もちゃんと読めば学ぶことができるだろう。 といってもやはりメインは各トピックがどんな状況で、どういったメリット・デメリットがあるかを英語で学べるところにこの本の真価があると思うので、そこに興味のある人には是非読むことを薦めたい。 各トピック10ページ強で簡潔に書かれており、少しずつ読むのにも適しているので、そこまでハードルも高くないはず。
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