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読書レビュー:『コスパで考える学歴攻略法』(藤沢数希)

自分の子どもが圧倒的にできるならまだしも、その可能性は遺伝的にも極めて低いことを考えると、金銭的にも時間的にも精神的にも無理をして中学受験をさせることが得策かどうかは要検討といったところだ。 本書で提示されるもう一つの選択肢である留学にしても、わたし自身が留学をまったくしたことないので、そこも未知数な部分が多く、中学受験にしろ留学にしろ未知の領域となることに変わりはない。 こうなるといずれにしても未知への挑戦となるので何とも判断しづらいところはある。 一つハッキリしているのは中学受験にしろ、留学にしろ、いずれもそれなりにお金を要するということ。 教育資金の捻出のためにもそれなりにお金を貯めていかないといけないことは間違いない。ここは避けて通れない。 子どもを持つ親で、子の教育について少しでも関心があれば本書を読んでおいて損はない。
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読書レビュー:『21 Lessons』(ユヴァル・ノア・ハラリ)

これは自分のこととして置き換えてみても納得してしまう。 何かわかりやすい基準や数値、そういった客観的な指標によって構成されている世界に魅力を感じることがある。 もちろんそんな「わかりやすい世界観」に入っていけば、それは現実から乖離している可能性が極めて高いため、その世界に入り浸ることで何かしらの問題が顕在化してくることが予想されるので、自分としては回避せねばとは思っている。 それでもこの不安感が付きまとう世の中で、そういった藁にもすがりたくなるのも妙に納得してしまう。 この書籍に中ではそういった虚構としての物語ではなく、真実を追うために必要な行為態度も語られているので、自分はそれを参照点として日々動いていくしかない。 なかなか一回で内容すべてを理解できないかもしれないが、まだ読まれていない方は読んでみると、何かしら刺さる部分はあるはず。
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2022年10月購入書籍(先月何冊買ったのか)

橘玲氏の著作を継続的に読んでいる読者にとっては重複する部分もあるが、個人的には一度読んだだけではなかなか記憶に残すのが難しいので、こうやって繰り返し説明を読めるのはアリと思っている。 知能格差が賃金格差に直結し、テクノロジーの発達で容易にあらゆる情報に誰でもアクセスできる状況下において、どうやって民主主義の枠組みで「良い政治」を進めるのかは難しいタスクであると痛感する。 苦しみや痛みを薬やテクノロジーで無くせるようになるのなら、個人的にはそれも受け入れる余地はあるように感じる。 もちろんそういった状況を支配する者が必ずいるわけで、支配する者がいるという状況を甘受できればの話であるが。意外とそこが難しそう。
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読書レビュー:『Deep Skill ディープ・スキル 人と組織を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」』(石川明)

今回の書籍は組織で生き延びるというテーマが決まっていることもあり、わたしが一番刺さったのは「人間が群れを作る動物である」ということと、「組織が人の力を引き上げることができる」という2点。 前者については当たり前すぎて普段意識することがないが、すべての喜怒哀楽の出発点は群れを作る動物であるという前提に起因しているように思う。 その意味でいうと、何か起きた時にはこの大前提に返って考えてみることも有用であるように感じる。 また「組織が人の力を引き上げることができる」という点については、組織そのものの光の部分にフォーカスしていることで希望を持てる。 組織というと、もはやその言葉自体にネガティブな印象がくっついてしまっているが、そういうマイナス側面以外にプラスの側面もあるということを頭に入れておくことで、組織に対して別の角度で考えられるはず。 その他にも「上司の言う一般論は一般論でない」「近代的なパッケージが時代にそぐわなくなっていきている」など気付きや学びになることが多くあった。 対談本であることからも読みやすいので、組織に属する方には是非読んでみてください。
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読書レビュー:『独ソ戦』(大木毅)

読みたいと思ったきっかけ 佐藤優氏の著作のなかで推薦されていたのがきっかけ。 この本が出版された2019年のときから書店で見かけて気にはなっていた。 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書) 価格:946円(税込、送料無料)...
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読書レビュー:『哲学入門』(佐藤優)

あとがきに「本書は講義録をベースにしているので読みやすい」とある。 確かにこの分厚さ(400ページ以上)の割にページを繰るスピードは早かったような気がするが、しかし決して簡単なものではなかったように感じる。 哲学的な議論そのものが難しいということもあるが、元々が神学部の学生向けの講義であることから、神学的な要素に関する記述も多く、そこが更に難しい印象を与えているように思う。 わたし自身、これまで数々の哲学入門系の書籍に目を通してきているが、一向に身についている感覚はない。 大まかな流れであったり、各哲学者の概論的な内容はつかめているものの、詳細な内容や、それが何を意味するのかを説明することはできない状況にある。 もちろんこれは今まで読んできた書籍が悪いわけでなく、消化できずにいる自分に全面的に責任があるのだが、それだけ哲学を学ぶのは難しいということだろう。これは哲学に限った話ではないかもしれないが。 本書のなかで触れられるように「思考の鋳型」を摑むこと、ある考え方が過去のどの考え方を類似しているかを掴めるようになることは自分も極めて重要だと思う。 これはいわゆる抽象と具体の行き来という思考にも近しいわけで、それを考えると何かを考え、創出する過程においては必須のスキル?なのだろう。 本書についてはまだまだ消化不良の部分が多々あるので、こちらも繰り返し読んで知識を深めていきたい。
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読書レビュー:『室内生活 スローで過剰な読書論』(楠木建)

各種の雑誌や新聞などで掲載された書評や本に関する文章が1冊にまとめられたのが本書であり、そのため一つの書籍に対する文章は長くても10ページくらい(対談のものはもう少し長いが)となっている。 全体では500ページ以上ありだいぶ分厚く感じるが、どこから読んでもいいので取っつきやすい。 楠木建氏がビジネスの競争戦略を専門としていることもあり、ビジネス書や企業、組織に関する書籍が多いが、それ以外の政治、経済、哲学、小説などの分野に関する書籍に対しての文章もある。 どの文章を読んでも面白いし、読んでいて苦痛でない。この分厚さでも次から次へと読めてしまう。 「文章がうまい」という言葉に収斂されてしまうのだが、読ませる文章を書くのが上手いと感じてしまう。 色々な書籍が紹介されているので、それらを読みたくなってしまう。既に何冊か読みたい本をリストアップしており、買うかどうか迷っている・・・。 面白い書籍を探すために読むのも良し、経営やビジネスにおけるヒントを掴むために読むのも良し、文章自体を楽しむのも良し。どんな使い方もできる。 一つ一つが長くないのでスキマ時間に読むにもピッタリ。紙の本だと分厚くて持ち運びが大変ではあるが。 自分は気が向いたときにパラパラめくるようの本として、取り出しやすい位置(積読タワー上部)に置いておこうと思う。
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読書レビュー:『危機の読書』(佐藤優)

ウクライナ侵攻に関する報道については、確かに日本も欧米諸国もロシアが悪い一辺倒になっている気はしている。 もちろん攻撃する側に問題があるのだが、それでも相手方がどういう論理で考えているかといったことも知る必要がある。 結局ある側面から切り取ったものしか物事を伝えることはできないし、それが事実がどうかもよくわからない。そういうなかで様々な人が自分で発信するメディアを持ち、その影響力が増大してきており、より訳がわからなくなっていく。 対談のなかでも「人は見たいモノだけを見て、聞きたいモノだけを聞きますからね」と出てきているが、自分の欲する情報だけを見聞きする環境に身を置くことは容易になっているので、この傾向は今後も続くであろう。 何かを信じ、ある前提に立ったうえでしか生活を送ることができないし、「順応の気構え」が生じるのは避けがたい。 しかしながら、そういった状況でもなるべく「自分で考える」という機会を増やしていこうとすることの重要性がさらに増してくるように感じる。 言うは易く行うは難しではあるが。
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読書レビュー:『信仰』(村田沙耶香)

ただ、カルトのように常識でない部分で何かを信仰するにしても、高級ブランド品に価値を見いだすにしろ、はたまたコスパ重視に生きていくにしろ、いずれにしてもお金に支配されていることに変わりはない。 現下の日本でいえばお金の支配は資本主義を意味していて、結局は一番の根本的なシステムである資本主義、お金からは逃れられない。 高級ブランド品志向、コスパ志向は言わずもがなお金が基準になっているし、カルト信仰にしても結局は「お布施」といった形や、何かを高額で販売したりすることで集金してしまうことを考えると、お金という基準からは逃れられていない。 まったく山奥で自給自足の生活をすればお金から逃れられるのだろうけど、そういった形式のカルトってあまり聞かない。わたしが知らないだけかもしれないが。 そもそもそういった自給自足形態を取っているのであれば、ほとんど誰にも迷惑が掛からないから問題が顕在化しないのかもしれない。 そうやって考えると、世の中「お金」だと改めて感じる。それは良い意味でも悪い意味でもあるのだろうけれど。 現代を生きていくうえで資本主義、お金は大前提であるがゆえに、ついつい無自覚でいてしまうが、そのシステムに乗っかって生きているということを自覚することが必要かもしれない。 それを知ったところでどうこうできる問題でもないのだけど。。。
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読書レビュー:『バカと無知』(橘玲)

プラトンの哲人政治のようなイメージなのか・・・。 最近ではイタリアで右派政権が誕生したりと、世界各国でポピュリスト的傾向を帯びた政党が躍進しているが、こうした運動が一般的に大衆に支持されたものだとすると、本格的に資本家、知識人といった社会階層上部の人々が嫌悪感を抱いて、そこから脱出する術としてより資本主義を徹底して格差を拡大していくことで、テクノロジーを用いて大衆も満足させながら、現実世界への影響を完全にシャットアウトする方策を取るかもしれない。 直感的には嫌な印象を受けるものの、少し考えていくと「そういった世界で何も知らずに幸せに時を過ごすのも悪くないのかもしれない」と思い始める。 自分の認知としては知らなければ世界は存在しないわけで、そうであれば特にそういった体制に憤慨することもないだろう。これは諦念なのかわからないが・・・。 いずれにしても橘玲氏の著作を読むことで政治社会の問題の裏に、集団・個人の進化論的な理由がなにかしら影響していることがわかる。 先日読んだ『シリコンバレー最重要思想家 ナヴァル・ラヴィカント』のなかでも進化論を学ぶべきこととして挙げられていた。 現代社会を理解するうえで進化論は必須の知識・教養となってきている気がする。
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