アポリア

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読書レビュー:『本物のコンサルを選ぶ技術』(堀紘一/津田久資)

それを踏まえてどうすれば「本物」を選べるかというのが本書のテーマとなっている。 私自身のかなり少ない経験からも、コンサルティングを依頼する側が問題意識や目的、ゴールをあらかじめ設定しておく必要性があるというのは強く思うところ。 コンサルティングにお願いすると色々と調査してくれて、データの整理や動向把握はできるが、それを受けて実際にどのように業務を進めるか、制度を変えるか、は依頼者が最終的には判断しないといけない。 ついつい「答えを教えてください」という受け身の姿勢でコンサルティングの話を聞いてしまうが、この姿勢を根本的に改めないと何も解決はせず、ただ高いお金だけを支払うことになってしまう。 この著作を通じて、発注側の意識も大切という点を再認識できたのが一番の収穫かもしれない。
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読書レビュー:『悩まない人の考え方』(木下勝寿)

これは常に心に銘記しておくべきだし、思考プロセスとしても常にその観点からのチェックが入れられるように仕組み化しておく必要がある。 また「『9回の失敗』とは、厳密には『9種類の失敗パターンの体得』を意味している」という点も印象に残った。 確かに失敗パターンを持っていることは、それを回避すれば成功確率が上がることを意味する。 ただ、このとき「失敗から学んでいて、その失敗をパターンとして認識し、整理できている」ことが前提なのは言うまでもない。 同じ失敗を割と繰り返してしまう自分にとっては、この点にも注意が必要に感じた。 2024年に読んだ書籍の中でも、仕事はもちろん、日々の考え方にも良い影響のある1冊だった。
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読書レビュー:『日本人の7割が知らない世界のミカタ』(佐藤優/古谷経衡)

何かと風当たりの強い印象のFラン大を擁護している議論を見たのは初めてな気がする。 私学助成金などの文脈で、そんな大学にお金を配分するのは非効率だという非難がなされがちなFラン大であるが、地場産業の人材供給源として機能しているらしい。 とはいえ、そういった機能を担うだけであれば必ずしも大学である必要はないような印象も受ける。 職業訓練に特化した学校や施設で代替できそうな・・・。 今時点においてFラン大がそういった機能を担っている側面があるという意見をインプットしておくのは物事を多面的に見るためにも重要に感じた。
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読書レビュー:『DD(どっちもどっち)論 「解決できない問題」には理由がある』(橘玲)

ホントは加害者であったときもあるのに、それを犠牲者であることを大きくフォーカスすることでオーバーライドする。 これは割と頻繁に散見される事象であるように思う。 じゃあどうするの、と言われると、結局うまくバランスを取っていくしかないという結論になるのはその通りだと思う。 でもこういった態度は「中途半端」とも捉えられやすいし、そういう意味であまり評価されないような気もまたする。。。
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読書レビュー:『テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想』(橘玲)

こういった前衛的な取り組みがどれくらい平凡な小市民である自分に影響してくるのか未知数ではあるが、少なくともそういう考え方や取り組みが行われている(行われようとしている)という事実は薄っすらとでも頭に入れておくのは重要に思える。 それがすぐさま何の役に立つのかはわからないが、世界が進んでいる大まかな方向性を示唆しているようには思えるので、そこを掴んでおくだけでもそれなりに意味はあるだろう。 それにしても政治哲学の領域で語られていた政治思想の話において、ここまでテクノロジーが絡んでくると、学問分野として文系領域では全く閉じないものになってきたと痛感する。 これはどの分野にも言える話なので今更ではあるが、学際的という言葉がより顕著に感じられるようになってきた印象を受ける。
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読書レビュー:『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆)

家事や育児などにもリソースを回さないといけない状況では、どの分野にどのリソースを割くか、突発的な自体でリソース配分を変えないといけないといったマネジメント問題が出てくる。 これがないだけでどれだけ楽になるか・・・。無い物ねだりではあるが、自分もついつい考えてしまう。 本書はメイントピックが労働史と読書史であるが、この後半語られる「全身全霊をやめよう」という一見読書と関係なさそうな章が一番印象的である。
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読書レビュー:『調理場という戦場』(斉須政雄)

そういったプロフェッショナルの話を聞いていると、往々にしてとても真似できないように感じてしまうし、それは無理のない話。 凡人である自分としては、それでもそういったプロフェッショナルの熱量に感化されることで、少しでも自分もそこを目指そうとする意欲が出ること、日常における取り組みが少しでも変化すること。そういったちょっとの変化を起こすための起爆剤として使うというのが現実的なラインのように思える。 定期的にパラパラと読み返しつつ、その熱量を自分に注入していきたい。
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読書レビュー:『宗教と不条理 信仰心はなぜ暴走するのか』(本村凌二/佐藤優)

特に、いまのヨーロッパがまったく「キリスト教世界」ではないという話(正教が強い東ヨーロッパは別だが)は、割と勘違いしてしまいがちなので重要な情報。 ヨーロッパのカトリック圏やプロテスタント圏が日本と同程度に世俗化しているという認識のうえに、日々のニュースを見ていく必要がありそう。 個人的には、逆張りではないが、これだけ世俗化してきている状況においてこそ宗教に対する知識や歴史を継続的に学んでおくことが肝要であるとも思えた。これもかなり打算的ではあるが・・・。
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読書レビュー:『死の言葉』(佐藤優)

「資本の人格化」されたのがスティーブ・ジョブズであるという指摘をどう捉えるかは人によって異なるが、資本主義という経済システムを大前提から距離を取ってみると、確かにそういった解釈も妥当であるようにも思える。 死生観というのは極めて個人の考えや価値観が反映されやすいであろうことに鑑みると、この指摘は自分自身の考えや価値観が資本主義という目に見えないシステムに多大な影響を受けてしまっている事実を突きつけられる。 そういう意味においても、死というトピックについて考えることは自分自身の考えや価値観を見つめ直すきっかけになる。 本書はその取っ掛かりとしてとても優れているように思う。
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読書レビュー:『天才たちのインテリジェンス』(佐藤優)

雑誌の対談企画なので仕方ないが、もう少し対談人数を減らしたうえで、その分一人一人の対談を増やしてもらったほうがより深い話が読めそうな気がする。 様々な専門家の話を見られるとはいえ、結局気になってしまうのは自分の関心が向く、斎藤幸平氏や大澤真幸氏の話になってしまうのは、自分の視野の狭さを逆に認識する良いきっかけになっているのかもしれない・・・。 大澤真幸氏の「学んだことが身につくかどうかは、個人のスペックや学習時間の問題ではなくて、究極には自分の問題だと思えるかどうかだから」というのは、当たり前の話ではあるけど、とてもクリティカルな指摘だと思う。
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