読みたいと思ったきっかけ
藤原和博氏の著作も何冊か読んだことがあり、著者買いに近い。
内容
目次
目次は以下のとおりとなっている。
はじめに | : | 才能よりも、どの場所を取るか |
第1章 | : | 自分の人生を生きられない国・日本 |
第2章 | : | 勝てそうな場所を探して、陣地を作る |
第3章 | : | 私は、こうやって「場所取り」をしてきた |
第4章 | : | 人間の器を大きくするには? |
第5章 | : | 運を味方につけるには? |
第6章 | : | 50歳からの「定年のない生き方」 |
第7章 | : | 60歳からの”本当の”お金の話 |
おわりに | : | 「死」を想うことで、人生は拓ける |
内容
わたしの気になった箇所について記載する。
はじめに(才能よりも、どの場所を取るか)
■しかし30代になると、多くの人が今さら「才能」「資質」に悩んだところで仕方がない、と思うようになります。ならば、ひたすら「場所取り」に意識を向けるべきです。どんな環境に身を置き、どんな経験を積み、どんなスキル/キャリアを自分のものにするかー。それを自ら考え、自分の仕事や人生のイニシアティブを取っていく。
第1章(自分の人生を生きられない国・日本)
■会社員は偉くなればなるほど、人事権と予算権を付与され権力が増すように見えますが、その権力を保証しているのはあなたの人間力ではなく、会社の信用力です。
第2章(勝てそうな場所を探して、陣地を作る)
■希少性のある情報を生み出すには、自分が希少性のある存在になるのが一番です。あなたのポジショニングが問われるわけです。その立ち位置は、情報を生み出す上でも価値があるか、ということ。需要が多い分野で、供給が少ない場所であれば希少性は高まります。
■では、日本人の人生観の中心的価値は何か。パリで暮らしている間に考え込んで出てきた結論は、次の仮説でした。「うまく生きること」。強引に言い換えれば「無難に世間を渡る処世術」です。日本人は、自分が主人公として人生を生きるよりも、他者の目を気にする傾向が強く、その意識が強い。そして、変化にうまく適応してオイシイ思いをすることに価値を置いているのではないか。
第3章(私は、こうやって「場所取り」をしてきた)
■ただ、人生の転換点、しかも悩み抜いた末には、戦略性よりも無謀さが意味を持つと私は考えています。「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」というリクルートのスローガンは、私のなかでまだ効いていました。
■地方の不良や不登校生徒を東京に呼んで衣食住を与え、人材に育て上げる「ヤンキーインターン」事業を手がけるベンチャー企業、ハッシャダイ。同社の創業経営者である久世大亮さんは、人の成功は「移動距離」にかかっている、と言い切ります。移動距離が長い人ほど成功する、というのです。「ヤンキー」と呼ばれる人たちの世界は狭く、移動距離が短い。そのため、まず移動させることから再教育を始めるそうです。
第4章(人間の器を大きくするには?)
■年齢を経るにしたがって、山に登らなくていいから、谷を避けたい。現状維持でいい。そう考える人もいるかもしれません。しかし、谷を恐れて何もしないでいるうちに、成長の機会を失ってズルズルとカーブが下り坂を描き、土俵際まで追い詰められてしまうなんてことも。まるで今の日本の姿のようです。
第5章(運を味方につけるには?)
■しかし、人間は年を取るとプライドが邪魔をして、なかなかマイナスモードの話ができなくなります。そして自慢話をしたがる。でも、そんな話は誰も聞きたくありません。印象を悪くするだけです。
■しかし、もし江副さんが健在だったとしても、事業としては取り組まないだろうとの確信があります。なぜなら、教育は改革する相手、つまり戦う相手がはっきりしない、鵺のようなものだからです。「就職の情報が偏在している」「住宅の情報が一部業者に握られて消費者は合理的な選択ができない」といった課題とは明らかに違うのです。
第6章(50歳からの「定年のない生き方」)
■口ではみんな「個性が重要」「多様化」「ダイバーシティ」などと言っているのに、どんどん似通ってきてしまうのです。私は、これを「中心化」現象と呼んでいます。今でもみんなが同じランキングを見て、同じ店に並んだりしてるでしょう。では、どうすればいいか。私の結論は、自分のなかの「狂気」を育てること。
第7章(60歳からの”本当の”お金の話)
※特になし
おわりに(「死」を想うことで、人生は拓ける)
■人間は、人生にとって本当に大事なことを「保留」して生きています。人生はまだまだ続くのだから、今やらなくてもいいだろう。タイミングを見てやればいいさ。もうちょっとしてからやるよ……また今度ね、と。
コメント
藤原和博氏の著作でおなじみの「100人に1人✕100人に1人✕100人に1人=100万人に1人」や希少性の話なども出てくるので、これまでの著作を読んでいれば主張の方向性や考え方は既知のことが多い印象を受ける。
ただ、これまで藤原和博氏が取り組んできたことの具体的なエピソードや、最近の活動やその方針などが記載されているのは新しい部分。
個人的にはキャリアの掛け算の事例として具体的な人物名が記載されているのも参考になった。
本書において自分が一番印象に残ったのは、「日本人の人生観の中心的価値は何か」という箇所。
「無難に世間を渡る処世術」というのはまさしくで、結局自分も他者の目を気にしていることにあらためて気が付く。
職場でもそうだし、プライベートでもそう。
常に「他者の目からどう見えるか」を自分自身の行動基準・指針に織り込んでしまう。それは意識的にも無意識的にも行われる。
「変化にうまく適応してオイシイ思いをすることに価値を置いているのではないか」、すなわち勝馬に乗りたいという考えに常に支配されていることを意味する。
こういう考えに嫌悪感や卑しさを感じながらも、結局は日常の場面場面で、この考えに支配されて行動してしまう。
自分自身で築き上げた明確な価値基準がないからこそ、他者の目を気にし、他者との比較のなかで自分のポジションを決めようとする。
ただ、人との比較は幸福から遠ざかる行為。この考えを脱却できないことは幸福になれないことをまた意味する。
どうやってこの価値観から逃れるか。価値観が個人単位だけで形成されず、文化的・社会的な影響も大きく受けることを考えると、容易に脱却できない気もするが、地道に考えを修正していく他ない。
一言学び
「うまく生きること」。強引に言い換えれば「無難に世間を渡る処世術」です。
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