読書レビュー:『組織を生き抜く極意』(佐藤優)

読書

読みたいと思ったきっかけ

佐藤優氏の著作ということで、いつもどおり著者買い。

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組織を生き抜く極意 (青春新書インテリジェンス) [ 佐藤優 ]
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内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

まえがき    
第1章 日本型組織を生き抜くリーダーの思考法
第2章 人を動かすこと、人が動くことの本質とは
第3章 組織の論理に潰されない考え方、動き方
第4章 私たちを動かしている競争原理について
第5章 組織のなかで心が折れそうなとき

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

まえがき

※なし

第1章(日本型組織を生き抜くリーダーの思考法)

■部下に嫌われないようにするあまり、リーダーとしての厳しさと力を示せない人は、そもそも管理職には向きません。管理職だけでなく、組織の中にいる全員がこのシンプルな真実を認識し、共有することが重要です。

■そもそも会社はサークルやNPOではありません。利益を出すことが最優先課題の利益追求型組織です。社会貢献や社員の自己実現は、第一の目的がはたされたうえで副次的に考慮されるにすぎません。このシンプルかつ重要な真理について、若い人に徹底して浸透させる必要があります。

■私の経験上、一人の上司がしっかり部下の面倒を見て、組織としてマネジメントできる人数はせいぜい7、8人が限界です。

■仕事において、よく「結局は声の大きい方が勝つ」と言われます。このことは実はけっこう正しくて、政治家にも声の大きさを武器にしている人がいます。

■日本の会議の根回しはむしろグローバルスタンダードだとも言えます。「いい結論を出すにはいい議論をしなければ」などという理想を持っている人も多いでしょうが、根回しを怠ってしまえばまとまる話もまとまりません。

■中間管理職は、自分の部署がいかに不利益を被らないか、いかに利益を上げるかを最優先で考えるべきで、問題社員の再生は会社があなたに期待している仕事ではありません。それは上の役職や人事部が考えることなのです。

■部下の特性と能力を見極めることは、管理職の一番大事な仕事だと言えます。それによって部下に適材適所で仕事を割り振り、組織の生産性を高める。部下の目利きができなければ管理職としては失格です。

■組織を生き抜くうえで、意外に力になるのが「斜め上」の人たちとの関係です。組織では直属の上司との関係はもちろん大切ですが、それ以外にも別部署の上層、あるいは取引先の人などを味方につけておくのです。

■食事というのは動物学的にも重要な行為です。食べるときは無防備なので、動物は危険だと思う相手とは絶対に一緒に食事をしません。逆に言えば、一緒に食事をするだけで仲間意識が強くなり、心を許し合った関係に近くなります。

第2章(人を動かすこと、人が動くことの本質とは)

■アナロジーの力は自分でつけることが可能で、それにはやはり読書が有効です。特に文芸作品を読むことで、アナロジーやメタファー(比喩)の力が鍛えられます。文芸作品は小説でもいいですし、メタファーが多く、読んでいるだけで想像力が働く詩歌もおすすめです。日常の話し言葉とは違うリズムや表現があり、読むことで脳が刺激されるはずです。最初は意味がとれずに混乱するかもしれませんが、読んでいるうちに頭のなかにメタファーの回路ができ上がってきます。

第3章(組織の論理に潰されない考え方、動き方)

■昨今の企業は、規模にかかわらずコンプライアンスを遵守することが求められており、表向きはたしかにパワハラやセクハラ、いじめは抑制されているように見えます。ですが、暴力性を内包している、力の論理で動かざるを得ないという組織の本質から言えば、それらの問題がなくなることはありません。まず、そのことをしっかり理解しておく必要があります。

■何とも救いも出口もない世界ですが、敗色濃厚な状況のなか、目的を見失っている組織では、このような不条理な暴力が日常化してしまう。たとえば業績が悪く目的と方向性を見失った会社では、程度の差はあれ、この小説のような不条理な暴力が蔓延しがちではないかと考えられます。

■中間管理職に必要なのは、ある種のグレーさや曖昧さを受け入れることだと言えます。これが正しい、それ以外は間違っているという二元論ではなく、相矛盾するものを併存させる多元性、前向きな意味での”いい加減さ”です。

■それぞれに与えられた諸々の条件を「与件」と言います。ビジネスもまた、さまざまな与件のなかで何とか工夫し、知恵を働かせ、力を合わせることで成果を得るものです。環境が悪い、状況が悪いなどと与件を嘆いてばかりいては、いつまでたっても先に進めないし成長することもできません。

■組織が大きくなればなるほど派閥が生まれます。出世を目指すなら、派閥との向き合い方は大きなポイントです。私自身の体験から言うと、組織の派閥がある程度明瞭な場合、直属の上司のラインに7割は従いつつ、3割は保険をかけるくらいのスタンスが妥当でしょう。たとえば直属ラインの課長が社長派なら、社長派に7割の比重を置き、残りの3割は専務派ともつながりを持つ。

■だからといって、すべての派閥から距離を置いて一匹狼に徹するのがいいかといえば、けっしておすすめはできません。どの派閥にも属さないと言えば聞こえはいいですが、そういう人は実際はどこからも声がかからない問題児か、あるいは能力がない人か、どちらかだと見なされてしまいがちだからです。

■自分のキャリアのピークはどこにあるのか、おそらく40歳をすぎたあたりでほぼ見えてくるはずです。私から言わせれば、企業の人事システムでは結局、勝ち抜くことができるのは一人しかいないので、その他の人たちはすべてどこかの段階で敗退します。

第4章(私たちを動かしている競争原理について)

■ただし、職場に社員全員がそろって朝から夕方まできっちり働くという労働形態は、工場労働制が生まれた近代以降の話です。江戸時代以前の社会では、農業にしても商業にしても、各人の自由な裁量のもとで働いていました。定時に出勤して定時に帰る現代の「健全な」ビジネスパーソンの生活の方こそ、特異なものと考えることもできます。

■成功するためには努力が必要だが、努力が必ず報われるとは限らない。また、敗者は社会の構造から必然的に生み出される。この真理を忘れて、自らを責めすぎることのないようにしましょう。

■今の若い人たちは、少なからずこのように現実への冷静な目を持っています。そして理想やロマンなどではなく、リアルな生活をいかに維持するかが最優先の課題になっている。ヒットする映像作品はたいてい現実社会の傾向を反映しているので、見るだけで若い人たちの考えを読み取ることができるのです。

■ただし、大多数が遅かれ早かれ敗退するとしたら、いかにそのゲームから上手く抜けるか、上手に負けるかということが仕事人生の後半の大きなテーマになります。ポイントは、競争の渦中にいるときからときどき軸足をずらすこと。自分の環境や状況を俯瞰的、客観的に見直し、立ち位置を相対化するのです。

第5章(組織のなかで心が折れそうなとき)

■「帰る場所」あるいは「逃げ込む場所」という意味で、参考になり面白いと思うのが「アジール(Asyl)」という言葉です。これはドイツ語で「聖域」と訳されます。英語だとasylumで、ギリシャ語で「不可侵」という意味のasylonが語源とされています。

■現代社会で生き残るには、できるだけ信頼できて社会的な価値が高いとされるアソシエーションに属することが重要です。同時に、前項で解説したような現代社会で解体されつつあるコミュニティを重視する。地域コミュニティでも文化的なコミュニティでも、何でもかまいません。

■自分の新しい足場は、サークルや地域コミュニティでも、副業でもかまいません。足場が一つ、二つしかないと不安定ですが、増えるほどに安定します。それが本業の強さやしぶとさにつながり、精神的な余裕を生み出します。

■ただし、私はこれに関して半分は真理で、半分は間違っていると考えています。むしろ仕事という本気で打ち込む関係だからこそ、お互いを信頼し、リスペクトし合える深い人間関係を築くことができます。その信頼感から、単なる仕事での関係性を超えた、一種の仲間のような意識が生まれることがあります。

■みなさんも、40歳をすぎたら残り時間を意識することが肝要です。そのうえで、仕事でもプライベートでも、自分の人生の目的に照らし合わせてすべきことの優先順位をつける。それにしたがって、自分のやるべきことに粛々と取り組む。上手くいくかどうかは神のみぞ知るというところですが、環境に流されたりあきらめたりするのではなく、自ら考えて動くことにこそ意味があるのです。

コメント

佐藤優氏の組織を題材にした著書でいうと『組織の掟』や『サバイバル組織術』、池上彰氏との共著の『世界の〝巨匠〟の失敗に学べ!-組織で生き延びる45の秘策』をこれまで読んできており、どれも示唆に富み面白かった印象。ハズレのない題材なのかもしれない。

読書レビュー:『世界の〝巨匠〟の失敗に学べ!-組織で生き延びる45の秘策』(池上彰/佐藤優)
今回の書籍は組織で生き延びるというテーマが決まっていることもあり、わたしが一番刺さったのは「人間が群れを作る動物である」ということと、「組織が人の力を引き上げることができる」という2点。 前者については当たり前すぎて普段意識することがないが、すべての喜怒哀楽の出発点は群れを作る動物であるという前提に起因しているように思う。 その意味でいうと、何か起きた時にはこの大前提に返って考えてみることも有用であるように感じる。 また「組織が人の力を引き上げることができる」という点については、組織そのものの光の部分にフォーカスしていることで希望を持てる。 組織というと、もはやその言葉自体にネガティブな印象がくっついてしまっているが、そういうマイナス側面以外にプラスの側面もあるということを頭に入れておくことで、組織に対して別の角度で考えられるはず。 その他にも「上司の言う一般論は一般論でない」「近代的なパッケージが時代にそぐわなくなっていきている」など気付きや学びになることが多くあった。 対談本であることからも読みやすいので、組織に属する方には是非読んでみてください。

今回も例に漏れず面白く、参考になる部分が多かった。

派閥争いに関してどう対処すべきかといった組織における具体的な立ち回りの話や、出世が閉ざされたタイミングでのマインドセットなど、どの年齢にあっても何かしらヒントを得られるはず。

個人的には「成功するためには努力が必要だが、努力が必ず報われるとは限らない。また、敗者は社会の構造から必然的に生み出される。この真理を忘れて、自らを責めすぎることのないようにしましょう」というのが刺さった。

公正世界仮説ではないが、努力はいつか報われるという考えについつい傾倒しがち。

そうやって考えていると、自分自身が出世したり、成果を手に入れられなかったときに報われなかった会社を恨んだり、他人を恨んだりすることになりかねない。

そうなるよりは、ある種の諦念のようなものを持ちながら少し離れた視点から自分を突き放して見ていくほうが精神衛生上も良いのかもしれない。

また派閥への関与の仕方もとても参考になった。

「どの派閥にも属さないと言えば聞こえはいいですが、そういう人は実際はどこからも声がかからない問題児か、あるいは能力がない人か、どちらかだと見なされてしまいがちだから」というのは納得いく部分。

自分自身がどういう風に派閥と関わり合うかという視点でも参考になるし、社内をみたときにどういった派閥形成が行われていて、そこに対してそれぞれどうやって関与しているのかを観察するときの指標にもなりそう。

自分自身もノンポリというか、あまりそういったものに関与している自覚もないので、問題児か能力がないのかもしれないけれど・・・。

この話はスタンスを取る取らないという話にも通じているかもしれない。

組織を生き抜くうえでのヒントはもちろん、人生トータルでのヒントも何かしら得られるので買ってみて損はないはず。

ただ、最近新書の値段が上がってきている。今回の書籍も税込みで1,155円。昔なら税込みで900円くらいだったろうから、2-3割は値段が上がっているように思う。

特に青春新書は高めに設定している気がする。さすがに1,200-1,300円の新書となると、もはや単行本の値段になってくるのでやや購入を躊躇わざるを得ない。。。

一言学び

自分の環境や状況を俯瞰的、客観的に見直し、立ち位置を相対化する

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組織を生き抜く極意 (青春新書インテリジェンス) [ 佐藤優 ]
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