読書レビュー:『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(竹田理絵)

読書

読みたいと思ったきっかけ

特に理由はないのだが、最近茶道について興味が出ていたところ、本屋で見つけたのがこの本。

ビジネス書として茶道が書かれているということは既にある程度需要があるということかもしれない。

内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

はじめに    
第1章 外国人が知りたい日本の文化・世界が憧れる日本のおもてなし
第2章 なぜエリートは茶道の虜になるのか
第3章 これだけは知っておきたい日本の伝統文化「茶道」
第4章 ビジネスや日常に活かしたい千利休の七つの教え(利休七則)
第5章 知っていると一目置かれる、日本人としての品格
第6章 知っていると自信が持てるお茶会の作法ー楽しむための知識ー
おわりに    

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

・茶道は書道、華道、着物、建築、和食など、日本の美意識が全て入った総合伝統文化といわれています。

・戦国時代に千利休が広めた茶道は、武将が心を整えるだけではなく、武道同様の”たしなみ”で、お茶室は密談をする格好の場となり、男性の必須ビジネスツールでした。

・さびは時間の経過と共に色あせて劣化することで出てくる味わいや趣ある美しさをいいます。わびはさびの味わい深さを美しいと思う心や内面的な豊かさを表します。両方が併さり、落ち着いて、静かで質素な、枯れたものから趣が感じられることをわび・さびといいます。

・毎朝同じ時間に起きて、電車に乗り、会社で代り映えのしない同じ生活が続いているという方がいらっしゃいますが、本当にそうでしょうか?その簡単で単調に思えるものをどのような心持ちで過ごすかで半年後、1年後が大きく変わるのではないでしょうか。その日一日一日を大切に生きること。それが茶道の精神の重要な部分だと思います。

・茶道は動く禅ともいわれ、静かなお茶室で精神を統一してお抹茶を点てることは、精神修養することでもあります。

・茶道は、栄西が中国から禅と一緒にお茶の種を持ち帰り、禅院茶礼という、禅の修行の一環として誕生しました。また、「茶禅一味」という言葉があるように、茶道は禅から誕生し、求めるところは禅と同一であるという意味があります。茶道も禅も目指すところは、余計なものを捨て、シンプルに生きるということです。

・信長は文化への造形が深く、上流階級である足利将軍家が行っていた茶の湯を取り入れて、武士階級にも品格を身につけさせたいとの思いがありました。しかし、信長は単に茶の湯を楽しむだけでなく、人心掌握の政治的手段としても利用しました。

・仕事や生活のことで、頭や心の中がいっぱいになることもあるかと思います。そのような時は、茶道や禅の精神である、「雑念を排除して、ただひたすら目の前のことに専念する。シンプルに生きる」を実践してみてください。

・ちなみにこの懐石ですが、元々は修行僧が空腹を紛らわすために温めた石をお腹にあてたところから懐に石と書いて、懐石となりました。

コメント

「茶道がどうビジネスや日常生活に活きるか」という視点が強めに打ち出されている印象。

茶道の歴史や成り立ち、また何故茶道が海外の人々に受けるのかも説明がなされていて、この1冊を読めばある程度の茶道の知識が身に付けられるように構成されている。

当然ながらこの手の「道」は知識だけあっても仕方ないのは否定できないので、結局実際に茶道を経験してみるしかないのだが、その取っ掛かりとしては良書であるように感じた。

また海外の方とのやり取りように茶道説明用の英語例文が掲載されているのも、英語でどのように茶道を説明すればいいかの参考となる。

ただ、如何せん茶道は敷居が高く感じてしまう。

本書の中でも「敷居が高いと思っている人が多いが、そんなことはない」という記載があるが、実際に体験してみようと思うと一気にハードルが高くなるように感じるのはわたしだけだろうか。。。

この一歩を踏み出せるかどうかは、個人の決断力や行動力に依存するかもしれないが、茶道に触れてみたいと思わせる気持ちの背中を押す本であることは間違いない。

一言学び

茶道は日本の総合伝統文化。


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