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読書レビュー:『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(楠木建/杉浦泰)

また激動期トラップについては、結局いつの時代も「いまが激動期」と言っていたという歴史を本書を通じて知ることができたのも大きかった。 AIや在宅勤務、ジョブ型雇用などが叫ばれていて、今も現在進行形で「激動期」と言われているが結局はこの激動期も今までとおなじ「激動期」なのかもしれない。 もちろん本当に激動期であるかもしれないが、そうであってたとして本書で記載のあるとおり「大きな変化ほどゆっくり進む」とすれば、1〜2年でどうこうなる話でもないだろう。 全体を通して学ぶことが多いが、やはりマクロ環境に他責せず、安易なツールや方法に飛びつかず、自分や自社が置かれている具体的な状況を考えたうえで必要なアクションを取る、という当たり前のことを当たり前に実施していくほかにないという事実が改めて強調されているように思う。このあたりは『ストーリーとしての競争戦略』でも同じように感じたが、本書を読んでも再度その認識を強くした。 今回も間違いなくオススメできる1冊。
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読書レビュー:『運動脳』(アンデシュ・ハンセン)

書籍自体の作りもわかりやすかったし、文章も読みやすかったので、すいすい読めた。 一応、この書籍自体は2018年3月に出版されている『一流の頭脳』の加筆・再編集版のようなので、内容的にはそこまで新しくなっていない可能性もある。(『一流の頭脳』を読んでいないので断定できないが) 新潮新書でシリーズとして出ているが、元々はサンマーク出版のほうが先行してアンデシュ・ハンセン氏を取り上げていたのだろうか。 新潮新書の『スマホ脳』の出版が2020年11月であるので、元々はサンマーク出版のほうが早めに手がけていたっぽい。 『一流の頭脳』もそれなりに売れたのだろうが、やはり『スマホ脳』のインパクトの方が強い。このあたりは新書だから売れたのか、タイトルがよかったのか、などヒットの理由として参考になりそうではある。
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読書レビュー:『こども性教育 (おそい・はやい・ひくい・たかい No.113)』(宮台真司/岡崎勝)

宮台氏のような人物が中心になったコミュニティのなかで経験し、模倣(ミメーシス)し、行動していくしか成長の余地はない。 結局人間としての総合力の問題であって、ひとかどの人物の凄みのようなものに直接触れることでしか啓蒙されることはないのかもしれない。 そうしたひとかどの人物は希少で、なかなかお目にかかれないことを考えると、「まともな」大人になることは運に恵まれた一部の特権になっていくのかもしれない。(もう既にそうなっているかもしれないが) 自分としてはまずは自分の子どもに対しての振る舞いを注意しつつ、人間としての総合力、凄みが出るように経験値を積み上げていく努力をしていくしかない。 ハウツー的に即効性がないし、事後性が高いけど、そこにベットする他に方法はないように思う。
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読書レビュー:『独学の教室』(読書猿 他)

また幅広い分野の人物に独学について聞いている点も、普段見られない視点を得られてタメになる。 英語や数学などの具体的な科目の学び方なども掲載されつつ、独学の気構えや姿勢などの科目の手前の部分にフィーチャーしているものもあるので、読者がどのメッシュで独学について知りたいと思っても何かしら学びがあるように思う。 短期的にどうこうということも大事であるが、やはり長期的に自分がどういう知識や知恵を得ていきたいかを定め、そこに向かって独学していくことが重要だと感じた。 日々の精進しないといけない。
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読書レビュー:『絶対悲観主義』(楠木建)

確かに「あのときは良かった」「あのとき出かけてこんなことがあった」「あのとき誰かが〜と言った」など、過去の話を振り返っているときは楽しかった思い出であり、それを噛みしめることで幸せを感じているといえる。 「過去を振り返っているのは時間の無駄」とか、「今を生きろ」とか、色々と過去や過去の記憶を否定する言説もあるけれど、最終的に死ぬ直前に考えるのはきっと楽しかった思い出であることを考えれば、やはり過去の思い出は重要な幸福の源でありそう。 その他にも、人を行為主義で見るとか、時間の貯蔵性のなさ、失敗したときは何もするな、など各テーマどれも面白く、かつ参考になる内容だった。 この本は読んでいて文字通り時間を忘れてしまった。 すごい硬い本だったり、特定の勉強のための本だと、時間を忘れて本を読んだという経験はしづらいので、やはりこういうのはエッセイや小説に特有なのかもしれない。人にもよるだろうけど。 おすすめの一冊です!
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読書レビュー:『漂流 日本左翼史 理想なき左派の混迷 1972-2022』(池上彰/佐藤優)

3部作となっていた本書のシリーズもこれで最終巻。 今回に関していえば段々と現代になってきて知っている人の話も増えてきたこともあり、幾分か読みやすく感じた。 特に終章は現在から未来に向けての左翼の課題などを扱っていることもあり、前提知識がそこまで要求されないので、読む側の負担も少し軽く感じた。 左翼関連の歴史を追うには主要組織の名称と特徴を紐づけて頭に叩き込んでおくことが必要不可欠に思う。 それぞれの組織名称が似通っていたり、そもそも名前がメチャメチャ長かったりと本の字面を追うだけで覚えるのは至難の業だ。 その意味でいうと、やはり同時代を経験していて、組織名称を知っていたり、その特徴を掴んでいる年長者の方のほうが読みやすいのは間違いない。 自分としては左翼全般の知識をざっくりと把握することはできたが、個々の事例や組織の関係性をそらで言うことはできないレベルといったところ。 もう一度3冊を知識を整理しながら読んでいけば、もう少し理解度が深まるように思う。 こういう本を読むと、まだまだ勉強・知識が圧倒的に不足していると愕然とするが、少しずつキャッチアップしていくしかない。
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読書レビュー:『世界の〝巨匠〟の失敗に学べ!-組織で生き延びる45の秘策』(池上彰/佐藤優)

今回の書籍は組織で生き延びるというテーマが決まっていることもあり、わたしが一番刺さったのは「人間が群れを作る動物である」ということと、「組織が人の力を引き上げることができる」という2点。 前者については当たり前すぎて普段意識することがないが、すべての喜怒哀楽の出発点は群れを作る動物であるという前提に起因しているように思う。 その意味でいうと、何か起きた時にはこの大前提に返って考えてみることも有用であるように感じる。 また「組織が人の力を引き上げることができる」という点については、組織そのものの光の部分にフォーカスしていることで希望を持てる。 組織というと、もはやその言葉自体にネガティブな印象がくっついてしまっているが、そういうマイナス側面以外にプラスの側面もあるということを頭に入れておくことで、組織に対して別の角度で考えられるはず。 その他にも「上司の言う一般論は一般論でない」「近代的なパッケージが時代にそぐわなくなっていきている」など気付きや学びになることが多くあった。 対談本であることからも読みやすいので、組織に属する方には是非読んでみてください。
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読書レビュー:『人生のサバイバル力』(佐藤優)

また離島という条件下において、島外から生徒を募集したり、町営の塾できめ細かな学習指導を実施するなど、数々の施策を実施している久米島の取り組みについても恥ずかしながら本書で初めて知った。 確かに学習環境がある程度担保されるのであれば、離島で高校生活を送るのは国内でありながら外から日本を眺めることにも繋がるし、地方や離島の環境を肌身で感じる機会にもなるので学習する場としては好ましいのかもしれない。 自分の子どもが中学生や高校生になるときに、離島留学するという選択肢も候補に入れて検討していくのもありか。最終的には子ども自身の希望にもよるが、親がどれだけの選択肢を知っていて「こういう道もあるよ」と提示してあげることは割と重要であると感じる。 親が何も知らないとそれだけ子どもの選択肢も狭まってしまうという事実は自分も身をもって体験している分、なるべく自分の子どもにはそういったことがないように接していきたいところ。 いま中学生や高校生である方は本書の内容がダイレクトに伝わるし、使えるので有益であることに違いはないが、子どもを持つ親御さんにも離島留学という教育機会があることを知ることができる点で有益であると思う。
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読書レビュー:『生き抜くためのドストエフスキー入門』(佐藤優)

佐藤優氏が指摘するとおり名前の複雑さや時代背景、宗教背景などがわからないこともあって読んでいて難しく感じてしまい、ついつい遠ざけてしまっていた。 もちろん色々な解説本が世の中には出ているし、ドストエフスキーほど有名な作品であれば、わからない部分については調べれば必ず出てくるであろうから、地道に取り組めばいいのだけれど・・・。 とはいえ調べながら読み進めるのも、時間が掛かり読書としての楽しみを感じられないような気もして少し気が引ける・・・。 そうなるとやはりある程度はキリスト教の知識であったり、時代的な背景を頭に入れ込んだうえで読み進める他ない。 日本文学・世界文学を問わず古典的な文学作品に触れていこうと最近考え始めているのだが、わかっているけれどこれはなかなか「重労働」。 やはりこういった取り組みは時間のある大学生のうちにしっかりと行っておくべきだと、今さらながらに後悔している・・・。 まあ今さら言っても仕方ないので、少しずつ古典作品に取り組んでいきたい。
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読書レビュー:『<知>の取扱説明書』(仲正昌樹)

内容としては大学生、とりわけ1−2年生に向けた内容の本のように感じるが、実体としては結構な割合の大学生が本書に書かれていることを実践できていないように思う。 個人的に修士課程の学生の実体はわからないのだが、この本に書かれている限り、院生もそこまで高尚な感じで学習し振る舞っているようではないかもしれないというのは意外だった。もちろん個人差があるのだろうけど。 最近は歴史や哲学、政治学などなど学問然とした内容の本を読みたい欲に駆られており、今の自分にピッタリの内容だったように思う。 大学生のときの自分は何冊か古典的な作品、プラトンの『国家』やアリストテレス『ニコマコス倫理学』、マキャベリの『君主論』などを読んだこともあるが、そこまで古典と言われる作品群に取り組むことがなかった。 どちらかというと新書や単行本などで学説の概要を知っては悦に入るようなタイプだった。今思えばそういった学説の概要すら何も学べていなかったのだが・・・。 昔から言われているように(少なくとも私には沿う感じている)、やはり身体的に知識を覚え込んでいく姿勢が重要というのはその通りに感じる。 また書籍のあらすじをある程度言えるようになるというのもやはり、といった印象。 いずれも自分ができていない点という意味では反省しかないのだが。。。 本来であれば大学生に戻ってやり直したいところであるが、そんなことは到底不可能なので、少しずつ知を深められるように勉強を進めていくしかない。 結局、近道や簡単な方法などはなく、王道と言われる方法で学習を進めるしかなく、疑問に思ったことがあったら徹底的に納得いくまで調べるという姿勢こそ身につけるべきものなのだろう。 大学生には是非本書を読んでもらって、大学生活を無題にしないように学問に取り組んで欲しい。もちろん大学生でなくても人文系の学問に興味があり、学びたいという意欲のある人にとっても学習の良い導き書となるはず。
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