坂本尚志

読書

読書レビュー:『バカロレアの哲学』(坂本尚志)

そのプロセスのなかでも反対・否定の意見を尊重することが重視されている。それはそういった反対意見の妥当性・論理性のそんちょうが、民主主義社会において必要な態度であるからであり、この点がアメリカ式のエッセイの型と異なるという指摘には目を開かれた。 確かに反対意見を必ず入れるという形になっていれば、自然と自分とは逆の立場の意見についても考えるようになるはずだし、それこそが民主主義国家における市民のあり方として健全なものなのだろう。 そう考えるとこういったバカロレアの哲学試験で意図的に反対意見を尊重するような行為態度を涵養するように仕組み化しているのはさすがフランスといったところか。 フランスの高校生がバカロレアの哲学試験でどうやって問題を解いているのか、その一連のプロセスを本書では例題を通じて知ることができる。 バカロレアに興味のある人はもちろん、哲学に興味のある方も哲学を主題にしてどういった試験が実施されているのかを知る意味でも本書は役に立つはず。
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