佐藤優

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読書レビュー:『教養としてのダンテ「神曲」<地獄篇>』(佐藤優)

本書のなかで直接的に『神曲』とは関係しないが、グローバル人材の二極化というのは気になった。 今まではグローバル人材といえば、外資系の会社でバリバリに働くエリートのイメージだったが、それに加えて「出稼ぎ労働者として外国へ渡る人」が生じてくるというもの。 後者のグローバル人材は、いわば仕方なく出稼ぎに行かなければならないわけで、エリートとはかけ離れており、今まで出稼ぎ労働者をどちらかといえば受け入れる側だった日本が、ついに送る側になるのかとと思うと何となく隔世の感がある。 もちろん今後、佐藤優氏の言う通りになるかはわからないが、実際に海外に出稼ぎに出ている若い人も出てきているらしい。 『神曲』の内容や背景はもちろん、それに付随して上記のような現代社会の問題点なども多く提起されているので、一度で二度美味しいともいえる。
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読書レビュー:『独学の教室』(読書猿 他)

また幅広い分野の人物に独学について聞いている点も、普段見られない視点を得られてタメになる。 英語や数学などの具体的な科目の学び方なども掲載されつつ、独学の気構えや姿勢などの科目の手前の部分にフィーチャーしているものもあるので、読者がどのメッシュで独学について知りたいと思っても何かしら学びがあるように思う。 短期的にどうこうということも大事であるが、やはり長期的に自分がどういう知識や知恵を得ていきたいかを定め、そこに向かって独学していくことが重要だと感じた。 日々の精進しないといけない。
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読書レビュー:『漂流 日本左翼史 理想なき左派の混迷 1972-2022』(池上彰/佐藤優)

3部作となっていた本書のシリーズもこれで最終巻。 今回に関していえば段々と現代になってきて知っている人の話も増えてきたこともあり、幾分か読みやすく感じた。 特に終章は現在から未来に向けての左翼の課題などを扱っていることもあり、前提知識がそこまで要求されないので、読む側の負担も少し軽く感じた。 左翼関連の歴史を追うには主要組織の名称と特徴を紐づけて頭に叩き込んでおくことが必要不可欠に思う。 それぞれの組織名称が似通っていたり、そもそも名前がメチャメチャ長かったりと本の字面を追うだけで覚えるのは至難の業だ。 その意味でいうと、やはり同時代を経験していて、組織名称を知っていたり、その特徴を掴んでいる年長者の方のほうが読みやすいのは間違いない。 自分としては左翼全般の知識をざっくりと把握することはできたが、個々の事例や組織の関係性をそらで言うことはできないレベルといったところ。 もう一度3冊を知識を整理しながら読んでいけば、もう少し理解度が深まるように思う。 こういう本を読むと、まだまだ勉強・知識が圧倒的に不足していると愕然とするが、少しずつキャッチアップしていくしかない。
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読書レビュー:『世界の〝巨匠〟の失敗に学べ!-組織で生き延びる45の秘策』(池上彰/佐藤優)

今回の書籍は組織で生き延びるというテーマが決まっていることもあり、わたしが一番刺さったのは「人間が群れを作る動物である」ということと、「組織が人の力を引き上げることができる」という2点。 前者については当たり前すぎて普段意識することがないが、すべての喜怒哀楽の出発点は群れを作る動物であるという前提に起因しているように思う。 その意味でいうと、何か起きた時にはこの大前提に返って考えてみることも有用であるように感じる。 また「組織が人の力を引き上げることができる」という点については、組織そのものの光の部分にフォーカスしていることで希望を持てる。 組織というと、もはやその言葉自体にネガティブな印象がくっついてしまっているが、そういうマイナス側面以外にプラスの側面もあるということを頭に入れておくことで、組織に対して別の角度で考えられるはず。 その他にも「上司の言う一般論は一般論でない」「近代的なパッケージが時代にそぐわなくなっていきている」など気付きや学びになることが多くあった。 対談本であることからも読みやすいので、組織に属する方には是非読んでみてください。
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読書レビュー:『人生のサバイバル力』(佐藤優)

また離島という条件下において、島外から生徒を募集したり、町営の塾できめ細かな学習指導を実施するなど、数々の施策を実施している久米島の取り組みについても恥ずかしながら本書で初めて知った。 確かに学習環境がある程度担保されるのであれば、離島で高校生活を送るのは国内でありながら外から日本を眺めることにも繋がるし、地方や離島の環境を肌身で感じる機会にもなるので学習する場としては好ましいのかもしれない。 自分の子どもが中学生や高校生になるときに、離島留学するという選択肢も候補に入れて検討していくのもありか。最終的には子ども自身の希望にもよるが、親がどれだけの選択肢を知っていて「こういう道もあるよ」と提示してあげることは割と重要であると感じる。 親が何も知らないとそれだけ子どもの選択肢も狭まってしまうという事実は自分も身をもって体験している分、なるべく自分の子どもにはそういったことがないように接していきたいところ。 いま中学生や高校生である方は本書の内容がダイレクトに伝わるし、使えるので有益であることに違いはないが、子どもを持つ親御さんにも離島留学という教育機会があることを知ることができる点で有益であると思う。
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読書レビュー:『生き抜くためのドストエフスキー入門』(佐藤優)

佐藤優氏が指摘するとおり名前の複雑さや時代背景、宗教背景などがわからないこともあって読んでいて難しく感じてしまい、ついつい遠ざけてしまっていた。 もちろん色々な解説本が世の中には出ているし、ドストエフスキーほど有名な作品であれば、わからない部分については調べれば必ず出てくるであろうから、地道に取り組めばいいのだけれど・・・。 とはいえ調べながら読み進めるのも、時間が掛かり読書としての楽しみを感じられないような気もして少し気が引ける・・・。 そうなるとやはりある程度はキリスト教の知識であったり、時代的な背景を頭に入れ込んだうえで読み進める他ない。 日本文学・世界文学を問わず古典的な文学作品に触れていこうと最近考え始めているのだが、わかっているけれどこれはなかなか「重労働」。 やはりこういった取り組みは時間のある大学生のうちにしっかりと行っておくべきだと、今さらながらに後悔している・・・。 まあ今さら言っても仕方ないので、少しずつ古典作品に取り組んでいきたい。
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読書レビュー:『戦時下の外交官』(佐藤優)

本書のなかでも当時の大島駐独大使が「大使は本省の訓令に従って動いているだけである。従って政策の遂行に対して責任はない」と語ったというエピソードが記載されている。 誤りを認めずに、自己保身に走る。どの時代にもそういった類の人物はいるし、自分自身もそうなってしまう可能性を常にはらんでいる。 こういった個々の事例を知りストックしておくことで、日頃の行動を律するようにできるかもしれないし、緊急時にも後ろ指を指されない行動を取れるかもしれない。 もちろんその時になってみないとわからないが・・・。 結局は後世の人が歴史・過去を評価する際に後ろめたさのない言動をいかにできるかに掛かっているように感じる。わたしのような小市民ではここまで意識する必要ないかもしれないが。 戦争という極限状況における人間模様・状況を学ぶためにも、また当時の外交官の世界を垣間見るためにも本書は有益に思う。 ページ数が多いので少し分厚く、取っ掛かりづらく感じるかもしれないが。。。
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読書レビュー:『大日本史』(山内昌之/佐藤優)

世界史を学ぶ場合には日本史は大きくは近現代以降にしか登場しないし、日本史を学ぶ場合であっても日本と世界の関わりについてはそこまで主眼が置かれていないように、少なくとも私が学生のときは感じた。 そういった状況を脱し、世界史における世界から日本への影響や、逆に日本史における日本から世界への影響、といった視点から本書は日本の歴史を振り返っている。 しかしながら、歴史の知識をある程度体系的に暗記しておくことの重要さは大人になるほど身にしみる。 中学生や高校生のときに歴史の流れや最低限の知識を丸暗記して頭に入れておくことは、その後の大学生活や社会人になっても極めて有用であるように思う。 最近は丸暗記はナンセンスで必要なときに調べれば問題ないという風潮が強いが、結局頭に知識がないと読解力も落ちるし、そもそも学ぶスピードが段違いに遅くなる。 そういう意味では、如何に義務教育や高校生のときに基礎的な知識を叩き込めるか、というのは死活的に重要になってくると思うのだが、如何せんこの考えは前時代的過ぎる感は否めない。 もはや学生ではない自分にとっては今さらではあるが、最低限の歴史知識は入れていかないと。 大学受験用の日本史・世界史を勉強を通じて知識強化を図ろうか。。。
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読書レビュー:『完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』』(佐藤優/片山杜秀)

自分は『坂の上の雲』を読んでのは高校1年生のときだったので、もう読んでから15年くらい経っている。 当時は読書にも不慣れで、語彙力も不足していたので、国語辞典で言葉の意味を調べながら読書していたのが懐かしい。 振り返って考えてみると、あのときに国語辞典を引きながら読書したことが意外と今の自分の語彙力の土台になったような。 初めて長編の作品を読んだので、読み終わったときの達成感がとても爽快に感じられたことを覚えている。 文庫本で8巻あるので簡単に読めるものでもないが、もう一度読み直してみても面白いかもしれない。 佐藤優氏が本書のなかで言うように、自分も歳をとったのでまた違った印象や感想を抱けるかもしれない。 そのときに本書の附録は役立つこと間違いない。「『坂の上の雲』をこれから初めて読む」という人にとっては本書を副読本としてセットで読む方が理解しやすく、また史実と異なる部分についても把握できるので、是非手元に置いておくことを薦めたい。
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読書レビュー:『世界史の分岐点』(橋爪大三郎/佐藤優)

そこまで特化したわけではないが、理系的な技術の進展の話を久々に本で読んだ気がする。 テクノロジーの進歩に疎いと現代ではまったく話についていけなくなるという思いを改めて強くした。 もはや技術的な基礎知識が頭に入っていないと何もできない状況になりつつある。こういった知識のアップデートも日々進めていかねばならない。 そういった意味でも本書を読むことは理科系的な知識の重要性を知るきっかけになる1冊だと思う。
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