読書

読書レビュー:『テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想』(橘玲)

こういった前衛的な取り組みがどれくらい平凡な小市民である自分に影響してくるのか未知数ではあるが、少なくともそういう考え方や取り組みが行われている(行われようとしている)という事実は薄っすらとでも頭に入れておくのは重要に思える。 それがすぐさま何の役に立つのかはわからないが、世界が進んでいる大まかな方向性を示唆しているようには思えるので、そこを掴んでおくだけでもそれなりに意味はあるだろう。 それにしても政治哲学の領域で語られていた政治思想の話において、ここまでテクノロジーが絡んでくると、学問分野として文系領域では全く閉じないものになってきたと痛感する。 これはどの分野にも言える話なので今更ではあるが、学際的という言葉がより顕著に感じられるようになってきた印象を受ける。
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読書レビュー:『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆)

家事や育児などにもリソースを回さないといけない状況では、どの分野にどのリソースを割くか、突発的な自体でリソース配分を変えないといけないといったマネジメント問題が出てくる。 これがないだけでどれだけ楽になるか・・・。無い物ねだりではあるが、自分もついつい考えてしまう。 本書はメイントピックが労働史と読書史であるが、この後半語られる「全身全霊をやめよう」という一見読書と関係なさそうな章が一番印象的である。
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読書レビュー:『調理場という戦場』(斉須政雄)

そういったプロフェッショナルの話を聞いていると、往々にしてとても真似できないように感じてしまうし、それは無理のない話。 凡人である自分としては、それでもそういったプロフェッショナルの熱量に感化されることで、少しでも自分もそこを目指そうとする意欲が出ること、日常における取り組みが少しでも変化すること。そういったちょっとの変化を起こすための起爆剤として使うというのが現実的なラインのように思える。 定期的にパラパラと読み返しつつ、その熱量を自分に注入していきたい。
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読書レビュー:『宗教と不条理 信仰心はなぜ暴走するのか』(本村凌二/佐藤優)

特に、いまのヨーロッパがまったく「キリスト教世界」ではないという話(正教が強い東ヨーロッパは別だが)は、割と勘違いしてしまいがちなので重要な情報。 ヨーロッパのカトリック圏やプロテスタント圏が日本と同程度に世俗化しているという認識のうえに、日々のニュースを見ていく必要がありそう。 個人的には、逆張りではないが、これだけ世俗化してきている状況においてこそ宗教に対する知識や歴史を継続的に学んでおくことが肝要であるとも思えた。これもかなり打算的ではあるが・・・。
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読書レビュー:『死の言葉』(佐藤優)

「資本の人格化」されたのがスティーブ・ジョブズであるという指摘をどう捉えるかは人によって異なるが、資本主義という経済システムを大前提から距離を取ってみると、確かにそういった解釈も妥当であるようにも思える。 死生観というのは極めて個人の考えや価値観が反映されやすいであろうことに鑑みると、この指摘は自分自身の考えや価値観が資本主義という目に見えないシステムに多大な影響を受けてしまっている事実を突きつけられる。 そういう意味においても、死というトピックについて考えることは自分自身の考えや価値観を見つめ直すきっかけになる。 本書はその取っ掛かりとしてとても優れているように思う。
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読書レビュー:『天才たちのインテリジェンス』(佐藤優)

雑誌の対談企画なので仕方ないが、もう少し対談人数を減らしたうえで、その分一人一人の対談を増やしてもらったほうがより深い話が読めそうな気がする。 様々な専門家の話を見られるとはいえ、結局気になってしまうのは自分の関心が向く、斎藤幸平氏や大澤真幸氏の話になってしまうのは、自分の視野の狭さを逆に認識する良いきっかけになっているのかもしれない・・・。 大澤真幸氏の「学んだことが身につくかどうかは、個人のスペックや学習時間の問題ではなくて、究極には自分の問題だと思えるかどうかだから」というのは、当たり前の話ではあるけど、とてもクリティカルな指摘だと思う。
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読書レビュー:『努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術』(伊藤羊一/尾原和啓)

好きといっても他人と比べて相対的に弱いと感じてしまったり、そもそもいざ好きなのかと言われると即答できるほどではなかったり・・・。 このあたりシンプルに好きに熱中できるということも一種の才能のように思えてしまうこともある。 個人的には藤原和博氏のキャリアの掛け算理論ではないが、好きなことをを3つくらい挙げて、それを掛け算していくことで他者と差別化するイメージでいるが、それが上手くいくかはわからない。 好きなことの領域一つでは他人に敵わなくとも、あと2つくらい掛け合わせれば、その3つの領域すべて好きな人の割合はだいぶ減ってくるように思うのだが、どうなのだろう。
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読書レビュー:『グローバルサウスの逆襲』(池上彰/佐藤優)

インドネシアが潜在的な味方にもなり得るし、海洋国家として脅威にもなり得るために、日本としても対処しておく必要があるという指摘は盲点だった。 人口が増えていることや世界最大のイスラム教徒を有する国であるということは知っていたが、地政学的な重要性は盲点だった。 こういうと打算的であるが、自分としてもインドネシアの動向をチェックしていく必要を感じた。
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読書レビュー:『イスラエル戦争の嘘 第三次世界大戦を回避せよ』(手嶋龍一/佐藤優)

ユダヤ人の苦難の歴史を考えると、イスラエルが「ユダヤ人をユダヤ人であるという属性のみを理由に地上から抹殺するという思想を持つ」ハマスを中立化(殺害だけでなく、イスラエルに帰順する、もしくは国外に逃亡することでも構わない)するという考えにも仕方なさがあるように思える。 イスラエル国民に共有されているという「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回してでも戦い、生き残る」という認識があるというが、それを実践しているといえる。 2024年12月中旬においては「パレスチナ自治区ガザの停戦交渉で、イスラム組織ハマスが初めてイスラエル軍の一時的なガザ駐留に同意」という報道も出ている模様。 シリアでのアサド政権崩壊のニュースにより、より混沌としてきた中東地域において、そのキープレイヤーとなるイスラエルのロジックを知るためにも本書は有益であるように思う。
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読書レビュー:『クリティカル・ビジネス・パラダイム 社会運動とビジネスの交わるところ』(山口周)

「『リーダーの不足』という問題は『フォロワーの不足』という原因によって生まれている、ということです」という指摘は、リーダー側に視点が向かいがちな「リーダー論」の盲点に思えた。 「当たり前だと思って疑わなかった社会の状況について、批判的な眼差しを向けて考察し」、「そのアジェンダが少数派のものなのかどうか」が重要なクリティカル・ビジネスは、私のような平凡な人間にとってみると、だいぶ遠い存在には思えて、少し高尚な感じがしてしまうのもある。 ただ、そういった取り組みが行われる潮流があることを知ることは重要であるし、その取り組みを導くリーダーの軽重あれどフォロワーになることはできるはず。
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