読書レビュー:『中東政治入門』(末近浩太)
特に本書のなかで強調されている「中東=特殊な場所」という固定観念を捨て去ることが重要であるという指摘はもっともだと感じた。
中東という特殊性が原因になって様々な事象が生じているというよりも、一般的な政治・社会システム、外交関係などが原因になっている部分が多くあるというのは、ついつい見逃してしまいがちである。
まさしく本書のタイトル通り「中東」を「政治学」するという視点があってこそ、中東を特殊と考えることで見落とされていたことに気がつくことができる。
テーマ別構成のため、中東の歴史的な経緯を詳細に把握することはできないが、各国の政治体制・制度の違いや、産油国と非産油国の違いなど、各国の特徴ごとに分類したうえで理解できる。
余談であるが最後の方に「アポリア」と出てくる。久々に書籍に使われているを見た。
若干分量はあるが、テーマ別になっているため興味のある部分から読んでも理解できるはずなので、取っ掛かりやすい。
中東政治に興味が出た方や、中東関連のニュースの背景を理解したい人などにオススメ。