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読書レビュー:『人生のサバイバル力』(佐藤優)

また離島という条件下において、島外から生徒を募集したり、町営の塾できめ細かな学習指導を実施するなど、数々の施策を実施している久米島の取り組みについても恥ずかしながら本書で初めて知った。 確かに学習環境がある程度担保されるのであれば、離島で高校生活を送るのは国内でありながら外から日本を眺めることにも繋がるし、地方や離島の環境を肌身で感じる機会にもなるので学習する場としては好ましいのかもしれない。 自分の子どもが中学生や高校生になるときに、離島留学するという選択肢も候補に入れて検討していくのもありか。最終的には子ども自身の希望にもよるが、親がどれだけの選択肢を知っていて「こういう道もあるよ」と提示してあげることは割と重要であると感じる。 親が何も知らないとそれだけ子どもの選択肢も狭まってしまうという事実は自分も身をもって体験している分、なるべく自分の子どもにはそういったことがないように接していきたいところ。 いま中学生や高校生である方は本書の内容がダイレクトに伝わるし、使えるので有益であることに違いはないが、子どもを持つ親御さんにも離島留学という教育機会があることを知ることができる点で有益であると思う。
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読書レビュー:『生き抜くためのドストエフスキー入門』(佐藤優)

佐藤優氏が指摘するとおり名前の複雑さや時代背景、宗教背景などがわからないこともあって読んでいて難しく感じてしまい、ついつい遠ざけてしまっていた。 もちろん色々な解説本が世の中には出ているし、ドストエフスキーほど有名な作品であれば、わからない部分については調べれば必ず出てくるであろうから、地道に取り組めばいいのだけれど・・・。 とはいえ調べながら読み進めるのも、時間が掛かり読書としての楽しみを感じられないような気もして少し気が引ける・・・。 そうなるとやはりある程度はキリスト教の知識であったり、時代的な背景を頭に入れ込んだうえで読み進める他ない。 日本文学・世界文学を問わず古典的な文学作品に触れていこうと最近考え始めているのだが、わかっているけれどこれはなかなか「重労働」。 やはりこういった取り組みは時間のある大学生のうちにしっかりと行っておくべきだと、今さらながらに後悔している・・・。 まあ今さら言っても仕方ないので、少しずつ古典作品に取り組んでいきたい。
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読書レビュー:『<知>の取扱説明書』(仲正昌樹)

内容としては大学生、とりわけ1−2年生に向けた内容の本のように感じるが、実体としては結構な割合の大学生が本書に書かれていることを実践できていないように思う。 個人的に修士課程の学生の実体はわからないのだが、この本に書かれている限り、院生もそこまで高尚な感じで学習し振る舞っているようではないかもしれないというのは意外だった。もちろん個人差があるのだろうけど。 最近は歴史や哲学、政治学などなど学問然とした内容の本を読みたい欲に駆られており、今の自分にピッタリの内容だったように思う。 大学生のときの自分は何冊か古典的な作品、プラトンの『国家』やアリストテレス『ニコマコス倫理学』、マキャベリの『君主論』などを読んだこともあるが、そこまで古典と言われる作品群に取り組むことがなかった。 どちらかというと新書や単行本などで学説の概要を知っては悦に入るようなタイプだった。今思えばそういった学説の概要すら何も学べていなかったのだが・・・。 昔から言われているように(少なくとも私には沿う感じている)、やはり身体的に知識を覚え込んでいく姿勢が重要というのはその通りに感じる。 また書籍のあらすじをある程度言えるようになるというのもやはり、といった印象。 いずれも自分ができていない点という意味では反省しかないのだが。。。 本来であれば大学生に戻ってやり直したいところであるが、そんなことは到底不可能なので、少しずつ知を深められるように勉強を進めていくしかない。 結局、近道や簡単な方法などはなく、王道と言われる方法で学習を進めるしかなく、疑問に思ったことがあったら徹底的に納得いくまで調べるという姿勢こそ身につけるべきものなのだろう。 大学生には是非本書を読んでもらって、大学生活を無題にしないように学問に取り組んで欲しい。もちろん大学生でなくても人文系の学問に興味があり、学びたいという意欲のある人にとっても学習の良い導き書となるはず。
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読書レビュー:『ビジョンとともに働くということ』(山口周/中川淳)

自分が読んだなかだと『ビジョナリーカンパニーZERO』がビジョンに関する書籍であり、様々な事例が紹介されていてとても参考になった。 本書は『ビジョナリーカンパニーZERO』のさらに前段階である、そもそもビジョンを持つことがより重要になってきた背景から説明されているので一層腹落ちしやすい。 また日本の文化的な背景などからも説明されていることも読者にとってはよりわかりやすく感じられる。 ビジョンを持つことの意味や有用性について知りたい人には当然オススメできるし、また現代社会における働くことの意義など、少し抽象度の高めの問題意識を持っている人にもヒントになることが多いはず。
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2022年4月購入書籍(先月何冊買ったのか)

先月は英語熱が高まっていると言っていたのだが、打って変わって今月は読書熱が高まってきている。 こうも移ろいやすいから自分は何事も身につかないのかもしれない・・・。 とはいえ色々と本を読んで学んでいるときは純粋に楽しい。あとは如何にそれを自分の中である程度定着できるか。
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読書レビュー:『バカロレアの哲学』(坂本尚志)

そのプロセスのなかでも反対・否定の意見を尊重することが重視されている。それはそういった反対意見の妥当性・論理性のそんちょうが、民主主義社会において必要な態度であるからであり、この点がアメリカ式のエッセイの型と異なるという指摘には目を開かれた。 確かに反対意見を必ず入れるという形になっていれば、自然と自分とは逆の立場の意見についても考えるようになるはずだし、それこそが民主主義国家における市民のあり方として健全なものなのだろう。 そう考えるとこういったバカロレアの哲学試験で意図的に反対意見を尊重するような行為態度を涵養するように仕組み化しているのはさすがフランスといったところか。 フランスの高校生がバカロレアの哲学試験でどうやって問題を解いているのか、その一連のプロセスを本書では例題を通じて知ることができる。 バカロレアに興味のある人はもちろん、哲学に興味のある方も哲学を主題にしてどういった試験が実施されているのかを知る意味でも本書は役に立つはず。
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読書レビュー:『戦時下の外交官』(佐藤優)

本書のなかでも当時の大島駐独大使が「大使は本省の訓令に従って動いているだけである。従って政策の遂行に対して責任はない」と語ったというエピソードが記載されている。 誤りを認めずに、自己保身に走る。どの時代にもそういった類の人物はいるし、自分自身もそうなってしまう可能性を常にはらんでいる。 こういった個々の事例を知りストックしておくことで、日頃の行動を律するようにできるかもしれないし、緊急時にも後ろ指を指されない行動を取れるかもしれない。 もちろんその時になってみないとわからないが・・・。 結局は後世の人が歴史・過去を評価する際に後ろめたさのない言動をいかにできるかに掛かっているように感じる。わたしのような小市民ではここまで意識する必要ないかもしれないが。 戦争という極限状況における人間模様・状況を学ぶためにも、また当時の外交官の世界を垣間見るためにも本書は有益に思う。 ページ数が多いので少し分厚く、取っ掛かりづらく感じるかもしれないが。。。
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読書レビュー:『保守主義とは何か』(宇野重規)

守るべきものがなくなったとき、保守主義という思想自体のレゾンデートルはなくなるように思うのだが、そうなったときはそうなったときでまた何かしら守るべき考え方が出てくるのかもしれない。 それにしても保守主義を考える文脈において、英米の特殊性は考慮すべきという点は合点がいった。アメリカについてはよく言われるようにヨーロッパの伝統がなく、また啓蒙主義の挫折がなかったことから生じるロマン主義への移行も起きなかったなど、その特殊性が説明される。 しかし、英国が名誉革命によって確立した国制が墨守するべきものとしてあった点で、他のヨーロッパ諸国と異なるというのは、今回の発見だったように思う。(市民革命が生じた時期が英国が早かったのがポイントなのだろうか・・・) 保守主義の歴史的な流れや各国における違いを章ごとに丁寧に述べられており、非常に読みやすい一冊だった。頭の良い人の書いている文章といった印象。 保守主義に興味のある人や、またアメリカ政治における思想的な変遷に興味がある人にも特に有益になるはず。
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読書レビュー:『大日本史』(山内昌之/佐藤優)

世界史を学ぶ場合には日本史は大きくは近現代以降にしか登場しないし、日本史を学ぶ場合であっても日本と世界の関わりについてはそこまで主眼が置かれていないように、少なくとも私が学生のときは感じた。 そういった状況を脱し、世界史における世界から日本への影響や、逆に日本史における日本から世界への影響、といった視点から本書は日本の歴史を振り返っている。 しかしながら、歴史の知識をある程度体系的に暗記しておくことの重要さは大人になるほど身にしみる。 中学生や高校生のときに歴史の流れや最低限の知識を丸暗記して頭に入れておくことは、その後の大学生活や社会人になっても極めて有用であるように思う。 最近は丸暗記はナンセンスで必要なときに調べれば問題ないという風潮が強いが、結局頭に知識がないと読解力も落ちるし、そもそも学ぶスピードが段違いに遅くなる。 そういう意味では、如何に義務教育や高校生のときに基礎的な知識を叩き込めるか、というのは死活的に重要になってくると思うのだが、如何せんこの考えは前時代的過ぎる感は否めない。 もはや学生ではない自分にとっては今さらではあるが、最低限の歴史知識は入れていかないと。 大学受験用の日本史・世界史を勉強を通じて知識強化を図ろうか。。。
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読書レビュー:『子どもに語る前に 大人のための「性教育」』(宮台真司/岡崎勝)

読みたいと思ったきっかけ こちらも『経営リーダーのための社会システム論』と同じ理由で、宮台真司氏の名前で検索したときに新刊として出てきたので購入した。 /おそい・はやい・ひくい・たかい 112 / 岡崎勝/編著 宮...
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