読みたいと思ったきっかけ
佐藤優氏の著作ということで著者買い。
内容
目次
目次は以下のとおりとなっている。
はじめに | : | 佐藤優 |
プロローグ | : | 〜シンクロする二人の人生〜 |
1 | : | 歴史から読み解く日本と世界の今 |
2 | : | メディア・ネットの渦を渡る |
3 | : | 生まれて育つ未知の旅路をめぐって |
4 | : | カルチャーが映す社会の深層 |
5 | : | イデオロギーのはざまで |
6 | : | 混迷の社会を生き抜く |
7 | : | インテリジェンスが動かす未来 |
エピローグ | : | 〜二人のこれから〜 |
おわりに | : | 古谷経衡 |
内容
わたしの気になった箇所について記載する。
はじめに(佐藤優)
※特になし
プロローグ:〜シンクロする二人の人生〜
※特になし
1:歴史から読み解く日本と世界の今
※特になし
2:メディア・ネットの渦を渡る
■だから、最近はどうしてもNHKへの依存度が高くなります。NHKは速くてファクトベースです。ファクト(事実)と認識と評価を切り分けて、ファクトだけの報道をしてくれる数少ないメディアです。(佐藤)
■作者名を隠しても文体のみで「あ、この人が書いているな」と分かる文体を持つ作家のみが将来に生き残ると思います。固有の文体を持たない作家は淘汰されると思います。文体の持つ意味は、現在にあってますます重要だと思います。文体は文章と非文章の行間の総体で構成され、かつ数値化できないので模倣されませんから。(古谷)
3:生まれて育つ未知の旅路をめぐって
■学校に通うこと自体が身体性と合っていないかもしれない。産業化以前ー先史時代まで、そんな身体性は人類に備わっていないわけですから。(古谷)そう、身体性と合っていません。(佐藤)
■受験しなければ合格しない、と一緒です。ただし、受験で身に付けた知識自体は有効だし、無駄にはならない。だけど、コストパフォーマンスが悪いと思います。(佐藤)
■そこに大学という名前を付与していますけれど、米国ならコミュニティカレッジに相当します。高校までの勉強に取りこぼしがあるから、そこで中等教育までの力を付けて、社会に出てから電卓を打ったり、マニュアルを読んだりできる労働者を育てる。だから、Fラン大、BF(ボーダーフリー)大学はすごく重要な役割を果たしている。あそこで中学までの教育を着実にやり直すことによって、地場の経済が回っているんです。(佐藤)
4:カルチャーが映す社会の深層
■そこのところは、私はあまり関係ない感じがします。アニメがいくら普及しても、それで日本に対する対日感情が改善することにはならなくて、アニメの世界の話とそれは別ということになると思います。例えば、韓国のK-POPが日本で流行して、韓国のドラマが観られるようになったって、それですぐに日韓関係が改善するわけじゃないですからね。(佐藤)
5:イデオロギーのはざまで
■まず、差別感情はどういうところで出るかというと、1番は結婚ですよね。(佐藤)結婚相手の出自を気にするシニアは、関西でいますよね。ばかばかしい話ですが事実です。(古谷)
■だから、そこのところは、スティグマとして、ある人は「朝鮮」を使うし、ある人は「部落」を使うということのように思えます。嫌な話です。また、それが「沖縄」になるかもしれません。だから、どういう記号を貼るかは本質的問題じゃないんだけど、何かネガティブなスティグマを貼りたがる人たちがいることは間違いありません。でも、部落解放同盟の「人間の心に他者を差別する要素がある」という指摘は正しいと思う。差別とか人を蔑視したりするのは、客観的な経済構想とかに還元できない上に、人の心の中に問題がある。私はそう考えます。(佐藤)
■差別が構造化していると、差別する側の人は自ら差別者であることを認識していないというのが通例です。日本の中で現実にある差別と認識するところから始めないといけない。出身は本人の努力によって越えられない差別だから問題なのです。(佐藤)
■それはだから、ネトウヨが宗教だから他の宗教を受け入れない。「引きこもり」の人も結構宗教が嫌いです。これも「引きこもり」を世の中から降りるという宗教的信念に基づくものと理解すれば、説明可能です。…あれは「引きこもる」という一種の宗教で、強力なイデオロギーですから。(佐藤)
6:混迷の社会を生き抜く
■いわばキリスト教は親ガチャ教です。親ガチャは避けられないっていう前提に立って、ガチャで取ったものをどうするかをきちんと教える。問題はガチャで取ったものを全部「がめる(自分の物にする)」っていうことです。この発想が間違っています。(佐藤)
■それって例えば、高校生が「私は文系に行った方がよいでしょうか、理系の方がよいでしょうか、将来性はどちらにあるでしょうか」とか、大学生が「就職先は国家公務員か、投資銀行か、コンサルか、それとも新聞社か、あっ新聞社は斜陽になるって言いますよね、どれが将来性がありますか」とか尋ねてくるのと同じです。私たちの時なんて、官僚と新聞社と両方受けていたら、「いったいお前は何を考えているんだ」って両方から弾かれました。(佐藤)究極の自虐史観ですね。自分を過小評価し過ぎている。そういう主体性のない、日和見的な損得勘定の姿勢が、「賢くてクールだ」と考えている向きもあるようで、世も末です。(古谷)
■現在の日本社会が精神疾患を発症しやすい環境であることは間違いないと思います。大体、毎朝決まった時間に人を集めて、決まった時間に仕事をしているような国なんて、世界の中でもごく一部ですからね。だから、一定数が引きこもりになるのだって社会構造で当たり前だと私は思っています。(佐藤)
7:インテリジェンスが動かす未来
※特になし
エピローグ:〜二人のこれから〜
■裏返すと、45歳以降ではなかなか新しいことはできないということです。だから、あと4年間(評者註:古谷氏は41歳)で思い切り新しい種をまくといいと思います。そうすると、それを刈り取るプロセスに入り、あるタイミングで必然的にバトン渡しが生じてくるはずです。(佐藤)
■今、共時的な情報はすぐ手に入るけれど、通時的な情報を持てる人は少ないです。コミュ力と人脈がないと、上の世代の話を聞くことができません。(佐藤)
おわりに(古谷経衡)
■その言論人の真贋は、その人が専門とする、例えば政治や経済や国際情勢などと直接の関連がない「周辺・周縁」で、いかに教養があるのかで決まるのではないか。例えば自称経済評論家はなるほど日経平均や為替相場や長期金利の推移については詳しい。が、それ以外については素人である。
コメント
対談本なので読みやすい。
佐藤優氏が著作なので古谷経衡氏について触れていたので、その名前は知っていたがバックグラウンドなどは全く調べていなかったので、今回の著作で古谷経衡氏について初めて知ることができた。
両親が歪んだ学歴信仰主義者だったということで、生まれたときから「息子を北海道大学に進学させる」という野望のもとに教育されていった話などは、なかなかインパクトのある具体例の連続だった。
このあたりは古谷経衡氏の著作でより詳細に語られているのだろうが、自分自身も子どもを持つ身としては注意しなければならない。
子どもに自分の欲望や希望を背負わせない。これは頭ではわかっていても、ついつい考えてしまう。
子どもが成長するにつれて、どうしてそういう考えに至ってしまうのか。自分が実際に立場に立ってみて何となくわかってきた気がする。
世間体を気にしていること、自分が後悔していることを子どもには後悔してほしくないからというパターナリズムな考えていることなどが影響しているのだろうが、子どもと自分が別人格で、別存在であるという当たり前の前提を思うと、改めて誤った考えだと痛感する。
この本のなかで触れられた点で印象に残っているのは「Fラン大、BF(ボーダーフリー)大学はすごく重要な役割を果たしている」という話。
何かと風当たりの強い印象のFラン大を擁護している議論を見たのは初めてな気がする。
私学助成金などの文脈で、そんな大学にお金を配分するのは非効率だという非難がなされがちなFラン大であるが、地場産業の人材供給源として機能しているらしい。
とはいえ、そういった機能を担うだけであれば必ずしも大学である必要はないような印象も受ける。
職業訓練に特化した学校や施設で代替できそうな・・・。
今時点においてFラン大がそういった機能を担っている側面があるという意見をインプットしておくのは物事を多面的に見るためにも重要に感じた。
一言学び
Fラン大、BF(ボーダーフリー)大学はすごく重要な役割を果たしている。
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