読書レビュー:『コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト』(高松智史)

読書

読みたいと思ったきっかけ

本書の前作となる『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』も読んでおり、著者買い。

他に『変える技術、考える技術』も過去レビューしている。


内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

マネージャー1年目=「インテレクチャルリーダーシップを磨く」
マネージャー2年目=「クライアントへ自分を売り込む」
マネージャー3年目=「上をマネージ、下を愛す」
暗記する。そしてとことん健やかに進化する。
あとがき

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

マネージャー1年目=「インテレクチャルリーダーシップを磨く」

■そしてあらためて思うのですが、本当に「考える力」って「言葉」とのつながりが深いです。言葉に出すことで「共通言語」となり、その意味や背景を含めて丸ごとそのワーディングに入れられるので、パワフルに行動を変えることができるし伝播していく。よいことづくめです。

■アウトプットがズレてしまった原因は、「マネージャーである自分」だと考えた方が健やかに成長できる。そしてその成長の一歩としてすこぶる大事なのは、「ズレる」構造をちゃんと理解しておくこと。

■そこまでやるのかBCG!と言われるか、言われそうかどうかです。つまり、泥臭く手間を惜しまず、狂気に満ちたTASKなのかということ。

■これ。詰将棋で言えば、こちらが「王手」と言ったら逃げずに「参った」と言ってくれる=1手詰め。あちらからは仕掛けて来ず、「こちらが想像する通りに」こちらと同じペースで動く=3手詰め。このように物事を思考してしまう。

■そう、このように「何かネガティブムーブが起きてから、何かしらの対策を練る」ことを「後出しじゃんけん」と呼ぶ。そしてこれこそが、マネージャー、誰かをマネージする上でやってはならないことの1つなのですよ。

■「答えのないゲーム」を楽しむマネージャーは朝令暮改を愛し、ひたむきに「インテレクチャルリーダーシップ」を追求する。さようなら、初志貫徹。愛すぜ、朝令暮改。

■「3人の友だちのうち、誰をパートナーにすべきか?」を考える上で評価基準を立てるとき、評価基準を「誰が一番良いパートナーになりそうか?」という目的基準にしてはならない。

■そんなことやってたら、誰がやってもそうなってまうやん。これを見つけ出すのが、「課題もどき」を「課題」にする思考プロセスとなる。

■スライドライティングは、スライドの王者「Wordスライドと表」で表現しようとしたら「何かしら書きづらい点」があったときに、それを払拭するために他のスライドフォーマットを使うのが基本。

■本資料で申し上げたいこと。このタイトルで始まり、ボディは、ビジネスでは「3つの塊で、全部で16行」が目安という感じでございます。

■人が感動するのは「まじ、そんなことまでしてくれたの?」というやつだよね。それも七面倒くさいことをコツコツ紐解いた結果を示されたら、必ずテンションが上がる。その真骨頂が「海外の規則、法律を一つ一つ解読し、日本のそれとどう違うのかをまとめたスライド」や「日本の新しいルール/法律の策定に向けて、有識者が議論している政府発表資料点議事録をつぶさに追いかけて、その法則性をまとめたスライド」なども刺さりに刺さる。

マネージャー2年目=「クライアントへ自分を売り込む」

■力なき優しさは罪。まさに、「優しさ」のリーダーシップではなく「インテレクチャルリーダーシップ」だという話に通じますよね。

■「最初に思いついたこと」は絶対に言わない。それは誰でも思いつくことだから。その先の「3つ目」を言う努力。

■自分で語りやすく、それを聞く相手にもインパクトを与えることができるプレゼン。そう、「数字」を暗記させるプレゼンが大事なのだ。

■思考力を増やすのに手っ取り早いのは、言葉に強くなること。考えるということは自分の頭にある言葉を紡ぐことでもあるから、「言葉」に強くなることは本当に大事なのです。

■完全に、自分の為に「宿題」を取りに行こう。そして、「宿題」をせっかくやるならプロジェクトの外/「個人的な」ものを!

■「インサイトにつながらない・行動が変わらない」からリジェクト VS 「工数をかけたくない・面倒くさい」からリジェクト。これ。「リジェクトする」ときには、本当に注意しなければなりません。どれだけ崇高なる思考のもとで断ったとしても、「それって、その作業をしたくないってこと?」と疑念が生じた瞬間に距離は離れ、プロジェクトは必ず炎上します。

■営業鉄則6 「先に」ニーズを聞くバカ。「先に」不満を聞くポンコツ。王者の「先出しジャンケン」で行くこと!

■営業鉄則7 自分からスタンスを取り、「こういう状況なら」と条件付き売り込みが大吉。

■「ロジック量」を調整する(減らす)ことにより、「メッセージ量」を最大化する=伝えることを増やす。何かを伝える際には、これがメチャメチャ大事なのですよ。まさかとは思いますが皆さん、「始めから終わりまで」ロジック量を一定にしていませんか?

■「説得する技術」- 3原則、簡単に言うとですね。『①「相手が自ら気付く」ってのが最高の説得の形であり、②それに向けて別の方向に考えが行っているのなら、その分岐を詳らかにして「正す」材料を用意する。③そして、説得は算数じゃないから「正しさ」以外にも論点はある』ということでございます。

■そして最後の「意固地」。実はこれがものすごく大事。なので、説得すべき相手の中で誰が素直で誰が拗ねそうかをちゃんと把握し、説得していく順番などを考えるべきなのだ。人間、説得されている感を感じると意固地になりがちですからね。

■「構造化しなさい」と言うなら、「見せ方の問題だから、申し訳ないけど」と枕詞を付けて、「構造化してもらえるかな」くらいが丁度いい腰の低さだろ。

■一方で、思考のチャレンジを放棄し、過去のプロジェクトや、そもそも前職の経験などで培った知識(「エクスパティーズ」と格好つけて呼んでいる)で勝負し始めてしまうと、「1枚目」から「2枚目」、「3枚目」へと堕落してしまう。なお、「脱落」ではなく「堕落」と書いたのは、それがすべて「技術、メンタリティ」だからです。

■PowerPointなど作業用の「モニター画面」を使わない。これはBCG時代から声高に言っておりました。僕らの仕事はExcelやPowerPointじゃなくWordだ!だから気持ちはわかるけど、WordではなくExcelやPowerPoint作業が好きになるようなモニター画面を付けてはいけません。むしろ、ノートPCでやることでその作業が嫌いになり、作業する前に「考え切る」方向に仕向けろよと。

■「自分が考えるときに自問する」フレーズを集めて、意識的に発しながら相手を巻き込んで思考する技を覚える。例えば、「こういう条件だったら○、そうじゃなかったら✕、というのが何かを中心に考えてみると、」(条件分岐で思考を深めるフレーズ)などを集めて、その場で話しながらクライアントを巻き込んで思考するのです。

■ほんと、人生はメンタリティですよね。そしてビジネスはもっとメンタリティですよね。

■圧倒的に喋ることを準備しきった、頭が真っ白になっても話せるという心理的安全性が「アドリブ」を作る余裕を生む。

マネージャー3年目=「上をマネージ、下を愛す」

■僕の柔術もそうなのよ。思いつきで「3年間で世界一になる」と決めてから、時間の使い方も「振り切った」のです。…週1,2回のレッスンという、ビジネスパーソンとして「丁度良い塩梅」で練習するのではなく振り切る。行ける限り「道場に行く」という振り切りこそが人生を変えるのだ。

■改めて「営業の鉄則」って突き詰めると何なのかと考えると、濃い指針はこれだよね。利害関係者から外れること。これって、「誰かを褒めてモチベーションを高めさせる」という時にも同じ原理が応用できるんです。

■大人になる=「どっちでもいいこと」を寄せられるようになること。

■だから何事もため込まず、間髪入れずに動く。これが大吉。

■基本的には「マイクロマネジメント」するスタイルだけど、放置プレイ(放任主義)の時もあるよね、あのマネージャー。

■ですので、もしどうしても「悪いマイクロマネジメント」な会議をしなければならないときは必ず、この一言から会議を始めましょう。ごめんね。忙しいところ時間を取ってしまって。僕が進捗を知りたいだけなんで、ほんとにごめんね。

■排他。「このコミュニティに入れなかったんだよ」という排他がロイヤリティを濃くする。本当にこれ。コミュニティを濃くするのは「贔屓よりも排他」なのですよ。

■ひた向きに頑張っていれば、自然に偉くなる!しかしながら、当然そんなわけないのですよ。このことを理解しておくのが本当に大事。コンサルでもそれは少なからずあります。

■3. 逃げの言葉を集める。…例えば、代表的な「逃げの言葉」には次のようなものがあります。「偉くなりたいわけじゃない」「別に、この会社にずっといるわけじゃないし」「上に媚びてまではなろうとは思わない」「マネジメントとかしたくない」「現場でやっていたい」こういう発言している奴がいたら大げさに詰める。それが、自分への詰めとなるのです。

■5. 「エース」ルートを集める。…もちろん「特例」はあるが、必ず存在する規定ルート、偉くなる人が通る部署、つまりエース部署。例えば、「人事部人事企画」とかね。社員の評価をベースに人事異動を考えることがミッションである為、その部署にはエースが集う。何故なら、社員の評価を見たときに自分がトップ評価じゃないと、嫉妬や恨みなどのマイナス感情を持ちやすいからです。

■7. 「ホワイト化」を逆手に取る。…何かの時に「今夜は私用がありまして…」や「土日はプライベートなんで…」などと言いそうな人は、上司としてもbetしづらい。現代は総じてホワイト化が進み、そんなことを言いそうな人が増えているわけですが、それって逆に「偉くなるレース」にとっては最高なのですよ。自分だけ「いざってときに逃げないキャラクター」を作りにいきましょう。「こいつは私用を優先するタイプだ」というレッテルを貼られないことが大吉。

■で、その「距離感」を把握するために、僕が重宝している語りかけがあります。それが、最近、いいことありましたか?これ。これを聞く。是非ともやってみてください。ところで、距離感が最も遠い「相手からの返し」って何だと思いますか?その双璧がこちら。①「特にありません」と言われる。②「ビジネスの話」をされてしまう。最も距離があるのが「特にありません」で、次が「ビジネスの話」なのです。

■人は、「途方もないこと」に対してはエネルギーを発揮できない動物なのです。

■起業のネタである「不」=不満、不便、不安、不都合等には、人との接点が多い会社に属していた方が出会えるから。

■修行僧になってはダメ。求めるだけの時期は終わっていて、今は身(ママ)を刈り取る時期だよ。成長も大事だけど、それは仕事じゃなく研修や本などで学ぶ話。仕事では「結果を出す」「偉くなる」のが目標でしょ。ほんと、修行僧にはならないほうがいいよ。

■「暗記する」の根底には、「丁寧に生きましょう」が流れている。

暗記する。そしてとことん健やかに進化する。

■「狂気が色気を生み、色気がお金を生む」と。何かを動かし生み出すときは決まって、「狂気」がとても大事。それはコンサルであろうがなかろうが同じ。ビジネスの場でも同じでございます。

■ビジネスは人生の下位互換。

■山を降りる。そして丁寧に生きる。だから、「勝っているとき、勝ち切ったとき」は天狗にならず謙虚に、「違う領域でゼロから戦い直す」という気持ちを忘れない。「負けているとき、負け切ったとき」はいじけず、あせらず「ただただ丁寧にする」という気持ちだけを大切にする。

コメント

自分がマネージャーではないこともあって、後半のメンタル的な部分の方が刺さるものが多かった。

とにかく読みやすく、実用的・プラクティカルなので役に立つ、というのは前作から変わらないところ。

読めば何かしら気づくことがあるし、参考になる。

個人的には、「人生はメンタリティ。そしてビジネスはもっとメンタリティ」「ビジネスは人生の下位互換」というのが刺さった。

前者は、頭の回転だったり、知識の抱負さ、論理力などが大事だと思ってしまうところ、その前段階としてメンタリティが重要だということを再認識させてくれる。

いわゆる「勝者のメンタリティ」と言われるようになったのも、メンタリティの重要性に対する認知度が高まってきたからだろうか。

また後者については、捉え方によっては逃げているようにも聞こえがちだが、どう考えても人間にとって人生の方がプライオリティが高いことを考えれば、これは意識しておくに越したことはない。

仕事をしていると、ついつい仕事が人生の全てのように見えてしまうときがあるが、そういうときに視野狭窄にならないために、このフレーズを唱えよう。

内容が盛り沢山で、一度読んだだけだと消化しきれない。

著者が言うとおり、重要だと思ったところや、使える部分は「暗記」するまで繰り返し読み込まねば。

一言学び

人生はメンタリティ。そしてビジネスはもっとメンタリティ」「ビジネスは人生の下位互換」


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