同じような場面に直面しても、その対処法に違いが出てくる。
頭の良い人は、普通の人とは違う視点で物事を見て、誰も注意していなかった側面に気が付く。
何でそういった視点を得られるのだろうかという疑問をずっと持っていたのだが、細谷功氏の著作である『「具体⇔抽象」トレーニング』という本の中に、その謎の解に近いものが記載されていた。
この本は、具体と抽象という人間の知的フレームワークの一つについて、その重要性と方法を詳述している本となる。
ちなみに、わたしは以前に『地頭力を鍛える』という本を読んでおり、同氏の提唱する地頭力、知的認識の枠組みの全体観をぼんやりではあるが把握していたので、抽象と具体もその枠組の一つと思いながら読んだが、単体としても十分に理解できる内容であった。
少し横道にそれてしまったが、その謎への解とは「抽象の世界は「見える人にしか見えない」」というものである。
具体の世界のみを見ている人は前例や規則に基づき解決策を図ろうとするが、抽象の世界を見えている人は「前例を単に前例とせず、その前例の目的や背景という属性を抽出することで抽象化」でき、
「なぜそれが必要なのか、その意味するところは何なのかと問いかけることで、その抽象レベルの意味合いを抽出し、もしそれに変化があるのであれば新しい規則を生み出し、次世代の常識をゼロベースから作り上げることが出来る」という。
まさしくこれこそが、わたしが感じていた頭の良い人が誰も注意していなかった側面に気が付く要因だろう。
わたしのような凡人は特に深く考えず、いま目の前にある事象を捉えることしかせず、その背景や理由の抽出ができないからこそ、対処療法的な解決策しか思い付かない。
意識して眼前にある具体的な出来事を抽象化することで、少しはその事象の背景や理由にたどり着くこともできるだろうし、それが契機となりそれまで思い付かなかった視点を得たり、解決策を考えることもできるようになるかもしれない。
先日何気なく本屋に寄った際に見つけた本だったが、買って正解だった。
コメント