読書レビュー:『努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術』(伊藤羊一/尾原和啓)

読書

読みたいと思ったきっかけ

土井英司氏のビジネスブックマラソンで紹介されていたのをきっかけにして購入した。


内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

はじめに いま、努力革命が起きている!
序章 ChatGPTがもたらした3つのゲームチェンジ
第1章 ChatGPTで壁打ちする
第2章 「頭の良さ」はコピーできる
第3章 「経験」はコピーできる
第4章 「センス」はコピーできる
第5章 ChatGPT時代の学び方
第6章 それでもコピーできないものがある
第7章 「やるべき」でなく「やりたい」を起点に
第8章 普通の人だってこんなに高くまで行ける

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

はじめに(いま、努力革命が起きている!)
序章(ChatGPTがもたらした3つのゲームチェンジ)

■いわば100点満点中、80点までの仕事は、どんどんAIが先回りしてやってくれる。ホワイトカラーと呼ばれる職種の人たちがやってきたのは、多くがこの「80点までの仕事」です。議事録作成やスケジュール調整、市場リサーチ、資料作成などの仕事に時間を使って、上司の判断を仰ぐところまでが、仕事の大部分だったわけです。

第1章(ChatGPTで壁打ちする)

■この本で提案したいのは、ChatGPTを壁打ちの相手として使うということです。壁打ちとは、壁に向かってボールを打つように、相手に話を聞いてもらい、相手からきた答えを打ち返すことを繰り返しながら、自分の考えを整理し、アイデアを練ったり、問題の解決策を探したりするプロセスです。

■具体的には「ざっくり→じっくり」の、以下の5つのステップで行います。

1 まずはざっくり

2 問題を小分けにする

3 打ち手を考える

4 絞り込む

5 じっくり質問を繰り返す

■ChatGPTは、正解を検索するツールではなく、対話(チャット)しながら新しいものを一緒につくっていく「共創」のツールです。

第2章(「頭の良さ」はコピーできる)

■そもそも「頭の良さ」とはなんでしょうか。いろいろな要素がありますが、シンプルにいうと「引き出しの多さ(=知識量)」と「つなげる力(=推論力)」ではないかと思います。

第3章(「経験」はコピーできる)

■人間の思考は、言葉でできているので、その人の発した言葉を完コピすることで、その人の思考や経験をトレースすることができるのです。

第4章(「センス」はコピーできる)

※特になし

第5章(ChatGPT時代の学び方)

■人間が学びたいと思う最初のきっかけは、「これ面白いな」「自分に必要かもしれない」という気づきです。その気づきをもとに、新しい知識をインプットする。理解した知識を実際に使ってみることで身につき、それまで持っていた知識をインプットする。理解した知識を実際に使ってみることで身につき、それまで持っていた知識をつながって、広がっていく。そんな順番です。

■一橋大学大学院教授の楠木建さんは「努力の娯楽化」という表現をしています。これは一流と呼ばれる人に共通する行動様式です。新しいことを勉強したり、自分を成長させたりすることは、実はゲームと同じか、それ以上に楽しいことです。ChatGPTがあれば、現実世界がゲームのように楽しく、ワクワクするものになっていきます。

第6章(それでもコピーできないものがある)

■「だって、やりたいからやるんだよ」「自分が好きだからやるんだよ」と言えるかどうか。それが「飛ぶ」勇気になります。

■決断とは非合理なものです。何もかも不確実な状況にあって決断し、覚悟を引き受ける。選択肢を天秤にかけた上で、大勢の従業員や関係者の生活を背負って「飛ぶ」のがリーダーの仕事です。

■では、「飛ぶ力」はどこから生まれるのか。それは結局、自分が「これをやりたい」と強く思うこと、自分の内から湧き起こる声に従うということに尽きると思います。

■インプットとアウトプットのサイクルがうまく回っていないとき、僕たちはついインプットの量を増やそうとしてしまいます。でもほとんどの場合、停滞はアウトプットの不足が原因で起こります。大切なのは、インプットを増やすことではなく、まずアウトプットの量を意識することです。

第7章(「やるべき」でなく「やりたい」を起点に)

■そして、人を動かすのは「何をするのか」ではなく、「なぜやるのか」というその人の思いです。「この人、正しいことを言っているな」と思っても、僕たちの感情は動きません。「この人は、心の底からやりたいんだな」という思いに触れ、共感することで、人は初めて動きます。

■個人はインサイド・アウトが問われ、フィロソフィー(哲学)を世界観を持った会社だけが生き残る。そんな時代になろうとしています。

■そしていま、頭脳労働者はAIに取って代わられようとしています。では、これから何が頭脳に代わって競争優位性になるのか。それは「偏愛」だそうです。

第8章(普通の人だってこんなに高くまで行ける)

■僕たちがやるべき一番大事なことは、自分だけの「これ、やりたい」に気づき、その種火を消さないことです。

■しかし、キャリアゴールや人生のゴールは、逆算思考だけでは決められません。生きていくうちには、自分のコントロールが及ばないところで環境がどんどん変わり、予測できなことが起こるのがあたりまえだからです。

■1. 情報(Information)、2.意見(Opinion)、3.日記(Diary) SNSで情報発信する場合、この順番を意識するといいというものです。

■注目されている経営理論に「センスメイキング理論」というものがあります。混沌とした不確実な未来の前では、正解を探すよりも、「そうか、なるほど」「そっちだったら、迷いなく進めるわ」と関係者がセンスメイキング(腹落ち)できる未来を進んでいく方が、結果として成功を勝ち取りやすいというものです。

■正解探しをやめて、自分が「好きだからやる」「やりたいからやる」。この一歩を踏み出すのは、実は不安と痛みを伴うことです。

■不安に駆られると「正解」に戻りたくなります。でも、正しさに囚われると、僕たちは遠くに行けなくなってしまいます。

コメント

仕事においてChatGPTをはじめとする生成AIを使うことは最早ふつうになってきているように思う。

かくいう自分も仕事においては生成AIを使っており、購入した動機はビジネスブックマラソンで紹介されていたこともあるのだが、「どうすればより良く使いこなせるか」という問題意識もその動機となっている。

ChatGPTで壁打ちする。個人的にはこれを知ることができただけで本書を読んだ価値があったと思う。みんな既にそうしているのかもしれず、今更なのかもしれないが・・・。

これは以前に読んだ石川明氏の『Deep Skill ディープ・スキル 人と組織を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」』に「壁打ち」の話が出ていたことを覚えていたためだと思う。

読書レビュー:『Deep Skill ディープ・スキル 人と組織を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」』(石川明)
今回の書籍は組織で生き延びるというテーマが決まっていることもあり、わたしが一番刺さったのは「人間が群れを作る動物である」ということと、「組織が人の力を引き上げることができる」という2点。 前者については当たり前すぎて普段意識することがないが、すべての喜怒哀楽の出発点は群れを作る動物であるという前提に起因しているように思う。 その意味でいうと、何か起きた時にはこの大前提に返って考えてみることも有用であるように感じる。 また「組織が人の力を引き上げることができる」という点については、組織そのものの光の部分にフォーカスしていることで希望を持てる。 組織というと、もはやその言葉自体にネガティブな印象がくっついてしまっているが、そういうマイナス側面以外にプラスの側面もあるということを頭に入れておくことで、組織に対して別の角度で考えられるはず。 その他にも「上司の言う一般論は一般論でない」「近代的なパッケージが時代にそぐわなくなっていきている」など気付きや学びになることが多くあった。 対談本であることからも読みやすいので、組織に属する方には是非読んでみてください。

石川明氏は「『思考』を広げたり、深めたりするためには、他者の『脳』を借りることがとても有効」と述べており、この「他者」は人間を想定していると思われるが、ここをChatGPTをはじめとする生成AIで代替するというのが本書のアイデアだろう。

当然ながら生身の人間で「壁打ち」するよりも多様な視点や気付きを得られるかわからないが、少なくとも悩みを解決するためのファーストステップとしては有用であるように感じる。

特に気兼ねなく何時でも「壁打ち」できるのは大きい。ここが最大のメリットだろう。

この点が最大の収穫であるものの、本書の後半のメッセージであるChatGPTなどの生成AIを前提にしたうえでどうやって成長していくかが語られる。

ここで重要になるのが好きや偏愛というのは昨今特に強調されることであるが、やはりそこに関しては本書も「自分だけの『これ、やりたい』に気づき、その種火を消さないこと」と述べており、その重要性が語られる。

差別化できる要因がその好きの度合い、熱量によってしか得られない時代になってしまったということ。

この事実は良いことなのだろうが、凡人である自分にとってはなかなかハードに聞こえる部分もある。

好きといっても他人と比べて相対的に弱いと感じてしまったり、そもそもいざ好きなのかと言われると即答できるほどではなかったり・・・。

このあたりシンプルに好きに熱中できるということも一種の才能のように思えてしまうこともある。

個人的には藤原和博氏のキャリアの掛け算理論ではないが、好きなことをを3つくらい挙げて、それを掛け算していくことで他者と差別化するイメージでいるが、それが上手くいくかはわからない。

好きなことの領域一つでは他人に敵わなくとも、あと2つくらい掛け合わせれば、その3つの領域すべて好きな人の割合はだいぶ減ってくるように思うのだが、どうなのだろう。

一言学び

ChatGPTは、正解を検索するツールではなく、対話(チャット)しながら新しいものを一緒につくっていく「共創」のツール。


コメント

タイトルとURLをコピーしました