読書レビュー:『出世 7つの法則』(ジェフリー・フェファー )

読書

読みたいと思ったきっかけ

前にジェフリー・フェファーの『「権力」を握る人の法則』を読んだことがあった。

同じ著者ということで気になり購入を決めた。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

出世 7つの法則 [ ジェフリー・フェファー ]
価格:2200円(税込、送料無料) (2023/3/13時点)


内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

 

はじめに 権力というものの難しさ
序章 権力、成功、出世
法則1 自分の殻を抜け出せ
法則2 ルールを破れ
法則3 権力を演出せよ
法則4 強力なパーソナルブランドを確立せよ
法則5 ネットワークをつくれ
法則6 権力を活用せよ
法則7 成功すれば(ほぼ)すべてが許される – なぜこれが最も重要な法則なのか
おわりに 権力への道を歩み続けよ

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

・変化を起こすには、権力がどうしても欠かせない。権力や影響力を持たずに何かを変えられるなら、それはもうすでに変わっているはずだ。変化を起こすための第一歩は、あなた自身やあなたの味方が、わずかな力でケタ違いに大きな効果を挙げられる、「テコ」のような権力の座につくことだ。

・人が目的や目標を達成できなかったり、出世競争に敗れたりするのは、勝つために必要な行動を取る意志がないからでもある。

・このように、多くの実証研究が答えをはっきり指し示している。政治的スキルと政治的行動は、出世に大いに役立つのだ。

・インポスター症候群とは、確かな実績があるにもかかわらず、自分の能力について人を「だまして」いるように感じ、いつか本当の実力がバレるのではないかとひやひやするような心理状態を表す。

・私が言いたいのは、知的能力を存分に活かそうと思ったら、組織生活の大半を占める会話で相手を論破する能力を身につけるしかない、ということだ。

・自分らしさに対する考え方は人によって違うが、1つ心にとめておいてほしいのは、権力の法則は「人格を変える」ことを求めてはいないということだ。権力獲得のスキルは、必要に応じて学習し実践できる、ただのスキルでしかない。スキルを使ったからといって、あなたの人となりや人格が変わるはずもない。

・もちろん、ものごとには限度というものがあるが、それでもルールやしきたりを破ることによって、権力があると印象づけられることは、心にとめておくべきだ。

・社会心理学者の故ナリーニ・アンバディが指摘したように、「他人に対する印象を形成する能力は、きわめて重要な対人スキル」なのである。

・ここ数十年の研究によって、①アイコンタクトは、話し手が「信頼できる、誠実だ」という印象を聞き手に与え、②アイコンタクトが長いと、リーダーシップなどの能力が高いと評価され、③アイコンタクトを取ると「自尊心が高い」という印象を与え、好感度がアップすることが明らかになっている。

・力強い話し方には特徴がある。まずは簡潔なこと。…2つめの特徴は、「どちらかと言えば」「一種の」といった断定を避ける表現や、「えーと」「あー」などのつなぎ言葉、そして丁寧語を使わないこと…力強い話し手は、問いかけずにきっぱり断定する。

・地位や権力は周囲に伝染するから、人は成功者とのコネクションを吹聴したがる。したがって、強力なパーソナルブランドを確立する方法の1つは、名のある人や組織とつきあうことである。

・仕事やキャリアに差し響く出来事について自分の言い分を主張する必要があるとき、沈黙は金ではなく、損になる。

・確固たるパーソナルブランドを築くには、英雄の旅物語に重なる筋立ての物語を語るといい。そうすれば聞き手の記憶に残るし、なにより励みになるメッセージはこころに響きやすい。

・最近の研究によると、「謙虚であれ」と教えられてきた人は自分の成功を卑下しがちだが、謙遜された側は子ども扱いされ、侮辱されたように感じるため、対人関係に悪影響をおよぼすことがあるという。

・仕事の成果より、人脈や後ろ盾がモノを言う。だから時間配分を徹底的に見直して、実務にかける時間を減らし、社内外の人との交流や人脈開拓に力を入れ、自分の認知度と知名度を高めていった。どんなによい仕事をしても、誰にも知られなかったら何にもならない。

・仕事やポストを選ぶ際には、それを引き受けることで中心に近い位置につけるかどうかを考えるといい。ほかの条件が同じなら、より中心に近い位置を選ぼう。

・権力の座に居座るために後継者を潰すのは、古くからある有効な戦略である。

・ひとことで言うと、マタイ効果はアドバンテージが累積する仕組みを表している。「訓練された能力や構造上の位置、利用可能なリソースにおける当初の比較優位は、その後も継続的に高まるため、科学における持つ者と持たざる者との格差は(社会生活その他の側面と同様に)ますます拡大する」。

・つまり、権力者がよからぬ行動を取るのは、「権力のおかげで自分の行いの責任をさほど負わずにすむから」とも言える。社会心理学者は、権力を得ると心のタガが外れたような状態になること、いわゆる「脱抑制」が生じることを明らかにして、「権力は腐敗する」という格言の正しさを実証した。

・トップに近づけば近づくほど、能力や技術では差がつかなくなり、権力を有効に使えるかどうかが成否を分ける。あるレベルに達すると、周りの誰もが有能で、専門的な知識やスキルも横並びだ。逆に言うと、もし権力の獲得・行使が簡単で自然にできることなら、出世や仕事のうえでたいした差別化要因にならない。権力の法則は誰でも簡単にすばやく実践できないからこそ、大きなアドバンテージになるのだ。

・私が教え子たちに言うように、あなたを蹴落とす人がいるとしたら、それは身近な人だ。…シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』でシーザーを裏切るのは誰か?「シーザーの友であり、名誉ある人物」のブルータスだ。そう心しておけば、悪いことやひどいことが起こっても、慌てず戦略的に、かつ冷静に対処できる。

コメント

一見すると「こんなことして大丈夫なのか・・・」という内容が書かれている。

特にアメリカ社会の文脈で通用しても、日本社会で通用するかどうかは未知数な部分がありそう。もちろん共通する部分もあるだろうけど。

一番気になったのは「権力獲得のスキルは、必要に応じて学習し実践できる、ただのスキルでしかない」という部分。

権力を獲得することがスキルであるという認識はなかなか首肯し難い部分もあるけど、著者は権力を獲得するための授業も行っており、そこの受講生が結果を出していることからも、権力獲得=スキルとい定義できるとする。

一般的に仕事ができて、成果を多く上げることにあって権力を握っていくと考えがちだが(少しうぶすぎるか・・・)、権力獲得がスキルだとしたら、それを身に付けていないと権力を持つことができないことを意味する。

でもよく考えてみれば、組織においても権力を握るためにあれこれと「工作」している人を会社内でも見ることがあるので、そういうのもスキルと言えるのかもしれない。

ただ、気になるのは冒頭に書いたとおり、これが日本社会で通用するのか否か。そこは気掛かりではある。

しかしながら、全部が適用できないとしても部分的に応用できるものはあるだろうし、そういう法則があると知っておくことで、誰が権力を狙っているかを把握することもできるし、当然ながら自分自身も自分を守るために権力を奪取するときに役立つ(はず)。

一言学び

権力獲得のスキルは、必要に応じて学習し実践できる、ただのスキルでしかない。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

出世 7つの法則 [ ジェフリー・フェファー ]
価格:2200円(税込、送料無料) (2023/3/13時点)


コメント

タイトルとURLをコピーしました