読書レビュー:『貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」』(鈴木大介)
もし自由意思がなく、自由な行動ができていないとしたら、自己責任の前提がそもそもないことになる。そして前提がなければ自己責任とも言えなくなる。
とはいえ、そういう風に見る人も、接する人も少ないのが現状だろうし、実際に自分自身がそういう風な見方をできるかも自信がない。
ただ、自分が「不自由な脳」になってしまう可能性も十分にあり得る話だし、こういった視点を持っておくことは重要だろう。その意味でも本書の内容を把握しておくことは有意義であると思う。
一点、「不自由な脳」や「脳性疲労」が医学的にどういった状態なのか、その原因や対処法、治療法などがあるかなども記載されていれば、よりわかりやすかったように感じた。(原因がわからないと不安になる自分の悪しき習性のせいかもしれないが)
読了して明るい気分になったり、スカッとするものではないが、本書を読むことで新たな視点を得られるのは間違いない。