かつて不良や暴走族だった人がその後、一流大学に合格したり、海外留学したりして、最終的に社会的な成功を収めたという話は、その逆転劇要素のためか世間の注目を引くことがある。
確かに灘や開成などの中高一貫校から東大に行き、社会に出ても成功という王道のエリートの話は「当たり前じゃん」と思ってしまうため興味を引き付けない。
わたしもそういったいわゆる「成功譚」を聞くと純粋にすごいと思うし、自分も頑張らねばと発奮材料になることもある。
しかしながら、よくよく調べてみるとそういった「成功譚」のなかには意外と見逃せない要素があったりする。
それはその人の「遺伝」だ。
どういうことか。
確かにその成功者の人は思春期を迎えて素行が悪くなり、不良や暴走族になってしまうのだが、そういった人物の親は医者や大企業の幹部だったりする。(親への反発から素行が悪くなるのがよく話に聞くパターンだ)
医者はもちろん、大企業の幹部である人ということは、ほぼイコールで知能レベルが高いことを意味している。
親が知能レベルが高いのであれば当然、その子どもも知能的に優秀な遺伝子を受け継いでいる確率は高くなる。
そう、成功者といっても元々の遺伝的なスペックが高いというアドバンテージが、その人の成功に強く影響を与えている可能性があるということだ。
橘玲氏の著作でよく引用されているとおりだが、知能の遺伝率は思春期に向かうほど高まるという。言い換えれば、思春期以降はほとんど遺伝的な要素のみで知能レベルは決まるということになる。
結局はそれまで全く勉強していなかったとしても遺伝的なスペックゆえに、スイッチが入ればあっという間に学習し、周りを追い抜いていくことができるわけだ。
この話は子どもを難関校に入れる教育などの経験談やノウハウ本にも当てはまる。
例えば、東大理Ⅲに子どもを合格させる方法を説いている本があったとしても、そもそも親が東大卒の子どもである時点で遺伝的なスタートとして圧倒的に有利なのは間違いない。
同じ遺伝的要素を持っていない状況で方法論だけを真似したとしてもどれくらい効果があるのだろうか?
また映画にもなったビリギャルも、元々中学受験をしているような家庭であることを考えれば、親の知能のレベルが高い可能性は高いだろう。そうなるとこの成功も遺伝的なスペックに起因している確率は高くなる。
身も蓋もない話ではあるが、知能社会である現代において、知能がほとんど遺伝的要素によって決まってしまうということは、生まれた時点である程度の勝負がついてしまうことを意味する。
もちろんあくまで確率論なので、遺伝的なアドバンテージがなくても受験を勝ち抜いたり、社会的に成功する場合もあるだろうけど・・・。
ただ、世間でもてはやされる色々な「成功譚」の裏には遺伝的なアドバンテージ要素がないかをチェックすることは、その方法論が本当に自分に適用できるかを見定めるうえでも重要だろう。
それを見ずに方法だけをマネしようとどれだけ熱心に勉強したとしても、全然効果が出ないという悲しい結末になってしまう気がする。。。
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