読書レビュー:『悩まない人の考え方』(木下勝寿)

読書

読みたいと思ったきっかけ

土井英司氏のビジネスブックマラソンで紹介されていたのが購入のきっかけ。


内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

 

プロローグ 「悩まない人」が頭の中に持っているたった2つの原則
第1部 「悩まない人」は世界をどう見ているか
CHAPTER 1 出来事に悩まない
CHAPTER 2 仕事に悩まない
CHAPTER 3 他者に悩まない
第2部 「悩まない人」は世界をどう変えているか
おわりに    

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

プロローグ(「悩まない人」が頭の中に持っているたった2つの原則)

■端的にいえば、それは「うまくいかない」と「思いどおりにいかない」をしっかり区別できておらず、両者を混同してしまっているからだ。裏を返せば、「悩まない人」と「悩みがちな人」の違いは、この2つを切り分ける発想があるかどうかなのである。

■「P(目的)をしたいです。しかし、a(手段)がないのでPができません。どうすればaが手に入りますか?」つまり、この人は「aがない」という問題に悩んでいるわけだ。このとき、私は「こうすればaが手に入りますよ」という助言はまずしない。むしろ、「P(目的)のためには、本当にa(手段)が必要ですか?」と尋ねることにしている。

CHAPTER 1(出来事に悩まない)

■しかし、不快な事実の8〜9割は、こちらの受け取り方を変えれば、なんとかなってしまう。要するに、「自分が気にしなければなんともない」というケースがほとんどなのだ。

■つまり、「9回の失敗」とは、厳密には「9種類の失敗パターンの体得」を意味している。少なくとも9タイプの失敗を避けていれば、大コケすることはない。これが「無敵状態」のからくりである。

■いままでと同じ行動を取っておきながら、いままでと違う結果を期待するーーこれほど理不尽なことがあるだろうか?

■「悩まない人」は、「これではうまくいかなそうだ」と感じた瞬間、迷わず手を止め、新しい複数の戦略をつくろうとする。「決められた戦略を決められたとおりにやること」はまったく重要ではなく、あくまでも「目標達成」がすべてに優先することを忘れていないからである。

■国家の存亡に関わる重大な決断、会社の将来を左右する意思決定ですら、人が本気で考えているのはせいぜい1時間程度。実際、何日もウジウジ考えるより、短時間に集中して決めるほうが精神衛生的にもいい。

CHAPTER 2(仕事に悩まない)

■「できる/できない」は、「能力がある/ない」とは関係がない。やり方がわからないことにぶつかったときに、①すでにできている人を探す、②その人ができている理由を明らかにする、③わかった方法をそのまま実行する、というサイクルを立ち上げられるかが、両者の明暗を分けているにすぎない。

■日常のさまざまな場面、特に仕事では、このような考え方のほうが悩まずにすむ。「できない」からは悩みが生まれるが、そのやり方を知り尽くしたうえで、「やらない」と自分の意志で決めたなら、悩む余地がなくなる。大切なのは「できない自分」ではなく「やらない自分」を自覚することなのだ。

■しかし、ことビジネスに関していうと、個人の資質に左右される仕事は、みんなが思っている以上に少ない。企画やマーケティングなど、いわゆるひらめきやセンスが必要とされている仕事ですら、「やり方」を徹底的に調べ尽くし、まったく同じことをやっていくと、だれでもそれなりの結果を出すことができる。それがビジネスのすばらしいところだ。

■結局、「面白い仕事」と「面白くない仕事」があるのではなく、「どんな仕事も面白くできる人」と「仕事を面白くできない人」がいるにすぎないのだ。

■必要なのは「仕事の転換」ではなく、「思考アルゴリズムの転換」である。そのための第一歩は、「つまらない」の原因が「仕事のせい」ではなく「スキル不足のせい」だと気づくことだ。

■「変わらない自分」という思考アルゴリズムは、深い悩みを生む。「自分なんていくらでも変えられる」と思っている人と「自分の中にどうしても変えられないものがある」と信じている人とを比べると、後者のほうが圧倒的に「悩むこと」に人生の時間を奪われやすくなる。

■「未来の自分にプライドを持てる人」と「そうでない人」の違いは、どこにあるのだろう?それは、心の中に「理想の姿」を持っているかどうかの差である。「ああなりたい」と思える理想を失ったとき、人は「過去の自分」にすがりつき、「現在の自分」を大切にし始める。

■箕輪さんが物事に取り組むときには、いつもこうやって情報を集めているそうだ。つまり、「まず行動しろ」とは「何も考えずに思いつきを実行に移せ」ではなく、「まず『徹底的に調べる』という行動を取れ」という意味なのである。

CHAPTER 3(他者に悩まない)

■目標達成に向けた手段には、「人を変える」という不確実なことを盛り込んではならない。マネジャーの役割は「部下を変えること」ではなく、「部下にやる気を出させること」でもない。「部下を通じて成果を出すこと」ーーこれに尽きる。となれば、答えは明らか。「部下が変わらなくても成果が出る仕組み」をつくりさえすればいい。問題は「人」の内部ではなく、外部(仕組み)にある。

■「悩まない人」は、我慢して自分を押し殺しているわけではない。常に「関係性の改善」にフォーカスしているので、「自分を変える」というオプションを躊躇なく選択しているだけである。

■可能な限りいろいろな人の価値観を知ることが、人間関係の悩みを減らす最も確実な方法である。

■「全部自責思考」の人は、すべての出来事の「原因」が自分にあると考えているわけではない。ただ、自分が「原因」であろうとなかろうと、その「責任」はとにかくすべて「自分」にあると考えているのである。

■多くの人には「全部自責思考」はかなり納得しづらいらしい。ひととおり説明しても、出来事の「原因=責任」という思い込みが抜けない人はけっこういる。逆にいえば、ここが「悩まない人」の考え方の核心部分ということだ。これをクリアできると、世の中の見え方がガラッと変わる。

■「責任を取る」とは、その問題に対処することだ。つまり、「私は起きているすべての問題に対処することが”できる”」としても、「問題に対処する”行動は取らない”」という選択はあってもいい。

■他人に完璧を求め続ける人は、人生のあらゆる場面においてずっと「お客さん気分」なのだ。どこでも完璧な「接客」が受けられると思っている。しかし、現実には完璧な仕事はありえないので、常に期待とのギャップを味わい続け、不満を抱え続けることになる。そして、そこから抜け出すこともできない。「それは私の責任ではないので……」と他人に委ねてしまい、自分の人生のハンドルを自分で握っていないのだ。

第2部(「悩まない人」は世界をどう変えているか)

■「決まった前提」から垂直方向(バーティカル)に「決まった結論」を引き出すのがロジカルシンキングだとすると、ラテラルシンキングは水平方向に「異なる前提」を広げていき、そこから「異なる結論」を導き出していく。

■よほど頭がいい人なら、複数の物事を並行して脳のメモリ上に乗せられるのかもしれないが、ふつうの人はメモで「言語化=外部化」しないと、思考が堂々巡りを始める。だからこそ、悩みを避けるなら「書く」一択である。メモ書きのツールは、それぞれ自分に合うものを使えばいい。私も以前は紙に書いていたが、いまは「Microsoft OneNote」を使っている。

■リスクを取るために必要なのは、勇気とかおもいきりのよさではない。どこまでも「計算」である。計算しないから、リスクが怖くて動けなくなる。だから悩む。

■「とりあえず『ラッキー!』と言うようにしているだけですよ。『プラス思考で行こう』なんて難しいことは考えなくていい。予想外の出来事が起きたら、先にとりあえず『ラッキー!』って言ってしまうんです。で、その後に『何がラッキーなのか』を考えるーーそれだけです」

おわりに

※特になし

コメント

内容もわかりやすく具体的であり、どういった分岐で考えていって悩まなくしていくかがプロセスを追って書かれている。

読んだ後に付属している「悩まないための思考フローチャート」を見直してみると、もう一度体系的に本の内容を理解できることもあり、このチャートが結構有用にも感じる。

個人的にもやはりファーストステップである「『うまくいかない』と『思いどおりにいかない』をしっかり区別できておらず、両者を混同してしまっている」という部分が響いた。

コロンブスの卵でもあるが、改めて言語化してそこを区別できているかと言われるとできていないことに気がつく。

仕事も含め日々の生活の中で「うまくいかないなあ」と言うとき、それはまさしく「自分が思い描いた理想・予想のとおりに物事が進んでいない」ということを意味している。

しかし、ある目的が結果的に達成されれば「思いどおりにいかない」としても影響はない。

そこを履き違えるのは、やはり目的を見失うからだろう。

手段の目的化もそうだが、目的達成のために動いていたはずが、その過程において目的達成という視点から離れ、そのときに考えた戦略や手段が思いどおりにハマっていくことを優先してしまう。

「目的達成に必要なことなのか」という観点を常に持っておくこと。

これは常に心に銘記しておくべきだし、思考プロセスとしても常にその観点からのチェックが入れられるように仕組み化しておく必要がある。

また「『9回の失敗』とは、厳密には『9種類の失敗パターンの体得』を意味している」という点も印象に残った。

確かに失敗パターンを持っていることは、それを回避すれば成功確率が上がることを意味する。

ただ、このとき「失敗から学んでいて、その失敗をパターンとして認識し、整理できている」ことが前提なのは言うまでもない。

同じ失敗を割と繰り返してしまう自分にとっては、この点にも注意が必要に感じた。

2024年に読んだ書籍の中でも、仕事はもちろん、日々の考え方にも良い影響のある1冊だった。

一言学び

「うまくいかない」と「思いどおりにいかない」をしっかり区別できておらず、両者を混同してしまっているから。


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