読書レビュー:『天才たちのインテリジェンス』(佐藤優)

読書

読みたいと思ったきっかけ

佐藤優氏の著作ということで、いつもどおり著者買い。

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天才たちのインテリジェンス (ポプラ新書 256) [ 佐藤 優 ]
価格:1,078円(税込、送料無料) (2024/8/19時点)


内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

はじめに    
第1章 白井聡(政治学者)ー奴隷根性こじらせていませんか?
第2章 真鍋昌平(漫画家)ーカネとリスクを考える
第3章 村田沙耶香(小説家)ー常識をグラッとずらしてみると
第4章 斎藤幸平(哲学者、経済思想家)ーポスト・コロナの「脱成長」社会を生きる
第5章 東畑開人(臨床心理士)ー「こころ」をなくしかけた時代に必要なもの
第6章 磯野真穂(人類学者)ー偶然性を味方につけよう
第7章 藤原辰史(農業史研究者)ー画一化する社会に潜む問題点
第8章 濱野智史(評論家、社会学者)ーオタクカルチャーのゆくえ
第9章 小林茂雄(建築学)ーコロナで住環境はどう変わったか
第10章 美馬達哉(医療社会学者、脳神経内科医)ーわかりやすい「リスク」に隠された落とし穴
第11章 大澤真幸(社会学者)ー学びを身につける最高の方法は?
第12章 森田真生(独立研究者)ー「感じる」こと、「動く」こと
おわりに    

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

まえがき

※特になし

第1章(白井聡)

※特になし

第2章(真鍋昌平)

■中途半端な欲望ほど危険なのかもしれません。たいして親しくない友だちとの交際費や衣食住のグレードなど、自分にとって本当に必要かどうかを深く考えずに誰かのものさしに合わせていると、必要なものにすらカネが回らなくなる。(佐藤)

第3章(村田沙耶香)

※特になし

第4章(斎藤幸平)

■おっしゃる通り、運動には常にジレンマがありますよね。マルクス主義哲学者スラヴォイ・ジジェクが「権力を取ることのジレンマ」という言い方をしています。外野から批判しているだけでは社会は変わらないけれども、実際に権力を得て権力の中に入っていくと、それが新しい体制の始まりになってしまう。その結果、最初持っていた運動のポテンシャル、革命性が失われ、保守化してしまう、と。(斎藤)

第5章(東畑開人)

■悩みがある人はもちろん、自分は絶対に正しいと思っている人にも必要でしょう。特に他者や世界がおかしいように見えている場合は、むしろ自分の心のありようを見つめ直す機会があったほうがいい。もちろん外在的要因が心に作用するということもありえるけれど、どのような問題に対処するにしても、究極的には心の自律性が問われます。(佐藤)

■サイコセラピーの目的って最終的に何だろうと考えたとき、人間を信じることができるか、だと思うんです。神ではなく。それは「他者を信じること」でもあり、同時に「自分というものを信じることができるか」という問題でもあります。(東畑)

第6章(磯野真穂)

■佐藤さんは以前、どなたかとの対談で「賞を取ったのはたまたまだと思う」とおっしゃっていました。人生のいろんな局面だとか、自分や他人を見るとき、そういうふうに「たまたま」を入れ込めるかどうかって、ものすごく重要だと思っているんです。(磯野)

■だからこそ偶然の要素を意識して、自分にも他人にも理由付けしないようにすることが大事なのかなと思いました。それに人生が面白いほうに動くときって、自分の力で動いてないと思うんです。私が人類学を始めたきっかけもたまたまですし。(磯野)

第7章(藤原辰史)

■嘘をついたり、すぐに来なくなったりしてしまうような、いわゆるトラブルメーカーとなる人もいる。それが管理職の人間力を桁違いに鍛えるんだそうです。人材管理能力はもちろん、日常的なトラブルにも動じなくなる。(佐藤)

第8章(濱野智史)

※特になし

第9章(小林茂雄)

■やはりリモートの影響を受けて大きく変わってきていますね。1日のうちに浴びる光の総量は、人の健康状態に直結します。例えば午前中に太陽光を始めとする強い白色系の光を浴びるとセロトニンの分泌が活性化して活発に過ごしやすくなりますし、夜もリラックスしやすくなります。(小林)

第10章(美馬達哉)

※特になし

第11章(大澤真幸)

■若い人たちを見ていると、勉強意欲はあっても何から勉強していいかわからないという意見が結構あります。それって自分の問題とつながっていないからなんだよね。学んだことが身につくかどうかは、個人のスペックや学習時間の問題ではなくて、究極には自分の問題だと思えるかどうかだから。(大澤)

■僕は佐藤さんのような神学の専門家でも信者でもありませんが、キリスト教というものに対する勘はあると思います。というのも、現代を理解するには、西洋のアイデンティティであるキリスト教の知識は必須だから。『<世界史>の哲学』をキリストの死から出来事から始めたのもそういう理由です。(大澤)

■佐藤さんは70~80年代半ばにヨーロッパやロシアに行き、決定的な歴史の転換点にあたるときにソ連にいたわけですから、もう肌感覚で世界と接していると思うんですよ。そういう経験はなかなかできるものではないけれど、誰でもできることといえば、自分にとって一番重要な問題を深堀りしていくのがいいと思う。(大澤)

第12章(森田真生)

※特になし

おわりに

※特になし

コメント

元々雑誌に掲載されていた対談を加筆修正して書籍化したものとのことで、簡単に読むことができる。

対談相手も色々なバックグラウンドを持った人が選ばれていて、普段自分からリーチしない情報にも触れることができるのは有り難い。

雑誌の対談企画なので仕方ないが、もう少し対談人数を減らしたうえで、その分一人一人の対談を増やしてもらったほうがより深い話が読めそうな気がする。

様々な専門家の話を見られるとはいえ、結局気になってしまうのは自分の関心が向く、斎藤幸平氏や大澤真幸氏の話になってしまうのは、自分の視野の狭さを逆に認識する良いきっかけになっているのかもしれない・・・。

大澤真幸氏の「学んだことが身につくかどうかは、個人のスペックや学習時間の問題ではなくて、究極には自分の問題だと思えるかどうかだから」というのは、当たり前の話ではあるけど、とてもクリティカルな指摘だと思う。

一言学び

学んだことが身につくかどうかは、個人のスペックや学習時間の問題ではなくて、究極には自分の問題だと思えるかどうか。

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