読みたいと思ったきっかけ
以前に買って積読状態となっていた本。
なぜ購入したのかは思い出せない部分もあるが、誰かがオススメしていたものだと思う。。。
内容
目次
目次は以下のとおりとなっている。
第1章 | : | 選ばれないアイディアは、ないのと同じ |
第2章 | : | 経験資本主義(なにをするにも経験が資本) |
第3章 | : | 実経験と疑似経験(リアルとヴァーチャル) |
第4章 | : | 脳内アングルから見つめてみると |
第5章 | : | 脳内ツリーから、ユニークな提案へ |
あとがき |
内容
わたしの気になった箇所について記載する。
第1章(選ばれないアイディアは、ないのと同じ)
・しかし経験は、だれにでも黙っていても与えられるものではなかった。与えられるものですらない。自分の意思で経験するのだ。ため込むのだ。実は経験も能力だったのだ。だから、経験対才能という対立は必ずしも成り立たず、それどころかその才能が、「異才」、「鬼才」、「10年にひとりの天才」のようにレア度が高ければ高いほど、経験という能力との協調なくしては(自ら併せ持つか、だれかの経験の助けを借りるか)、デビューすら覚束ない。
・受け手にとっては、まずベネフィットの質と量。ユニークであるかどうかなんて、その後。ベネフィットの質と量を約束していないユニークは、ことごとく、燃えるごみになる。
・彼らは、判断に際して、自分が首を縦か横に振るだけの状況を要求する。自分が労働することなく、つまり、頭を働かせたり時間をかけたりすることなく、「理解」できることを要求する。
・なにかを提案するときは、「なにを言うか」を、優先させましょう。受け手にとってのベネフィットを、約束しましょう。なぜなら受け手は、自分のベネフィットという尺度しか持っていないから。
・「主観は、偏見に過ぎない」の克服。本書の2つのテーマのひとつである。その方法を、「経験」に求めようとする。それが本書のオリジナリティーである。
・いま、ここに、存在している問題の中身以前に、いま、ここに、問題が存在していることも想像できない。知ることは、経験することでしか叶えられない。知りたければ、経験するしかない。つまり、経験することは、知ること。
第2章(経験資本主義(なにをするにも経験が資本))
・「知る」は、脳の「経験」である。つまり圧倒的に、「経験」が足りない。「経験」が脳にたまる。「こうやったら、ああだったぞ。ああやったら、そうなっちゃったんだ」ということが、データベースとなって蓄積されていく。その実感、快感、実益を知るのは、ずっと後のことである。
・とくにコピーにおいて、「経験した→知っている」の量は、足りないとお話にならないものである。これが足りていないと、ほんとうになにも書けない。なぜなら、コミュニケーションにおける言葉とは、「約束と合意」だからだ。
・経験とは、「イタリアへ行って、なにとなにを見て、なにを買って、なにを食べた」ことではなくて、「イタリアへ行って、なにとなにを見て、なにを買って、なにを食べて」、そして、「どう感じたか、なにに違和感を持ったか、なにに感動したか、それはなぜか、なにを発見して、どんな感想を持ったか」ということである。本書ではそう規定したい。経験を増やそうという本書の提案は、思い出を増やそうということとは違う。
第3章(実経験と疑似経験(リアルとヴァーチャル))
・とにかく、経験量が、知ってる量が、自分量だと信じて、質より量と信じて、経験を増やし続けるしかないのだ。やみくもに。がむしゃらに。貪欲に。
第4章(脳内アングルから見つめてみると)
・課題を見るアングルからの、たくさんの主観も、やはり偏見だ。偏見を増やせば増やすほど、偏見から遠ざかることができる。面白い逆説。
第5章(脳内ツリーから、ユニークな提案へ)
・「選ばれるユニーク」とは、だれも考えないことではなくて、誰もが考えはするが、だれも考えつかなかったことなのだ。
・ここまで書いてきたのは、「提案が通らない」、「それは知らないからだ」、「知らないのは経験がないからだ」、「経験の量こそ、自分の量だ」、「経験には、種類がある」、「経験は、意図的に増やせる」、「極めつけは、脳内経験だ」、「それには、アングルとツリーがある」、「脳内アングルは、いろんな主観を見せて、主観が偏見に過ぎないことを教える」、「課題の全体像も(できる限り)見せる」、「重要な受け手の尺度も、主観のひとつだ」、「経験データベースを拡充することによって、受け手の尺度も所有しよう」、「アングルの中に、想像力が羽ばたくきっかけがある」、「そこからは、脳内ツリーの仕事」、「一気にアイディアまで到達すればよい」、ということだ。
コメント
自分はまったくクリエイティブな仕事をしているわけでもないし、個人的に創作活動をしているわけでもない。
その意味でいうとコピーライターの方が書かれた書籍を読むことは、特に役に立たず、意味がないように思えるのだが、往々にしてコピーライターの方の書籍は参考になることが多い。
本書もご多分に漏れずで、良いアウトプットを出すため重要となるインプットの仕方を教えてくれるので、どんな業種の人でも参考になるはず。
具体的には良いアウトプットのための必須事項である「経験」をどうやって増やすか、そのためのヒントがわかりやすく、かつ面白く書かれている。
自分自身で直接的に経験することでは限界があるので、その物理的な制約を解消するために本書では「脳内経験」を推奨している。
「脳内経験」は「経験をきっかけに、考えた経験」であり、こうすれば一つの経験から無限に「経験」を生み出すことができる。
会社の人や友人を含め、良いアウトプットを出す周りの人は、総じて経験が豊富であるという印象は受ける。
それは物理的に色々な場所に行っていたり、様々なレアな現場に立ち会っていたりと、直接的な経験が多いことも当然あるが、それに加えて色々な視点を持っているように見受けられる。
この色々な視点というのが、本書でいうところの「アングル」と「ツリー」であり、ひとつの出来事から吸収する情報量が圧倒的に異なる。
「なぜ同じものを見ていてここまで得られるものが違うのだろう」と自分も考えることが多々あるのだが、本書にその答えがあったように思う。
結局はどれだけ一つの事象や経験から「脳内経験」をして経験量を増やしているか、それが鍵になってくるということだろう。
その過程で様々な視点から物事を見ることができるようになり、よく大事だ大事だと言われる「相手の気持ちを理解する」ことにもつながっていく。
「相手の気持ちになって考える」という行為の具体的なプロセスを知ることができるという意味でも、本書は非常に参考になる。
当然ながら本書を読んだだけでは経験量が増えるわけでなく、本書に記載の内容を参考にして、自ら経験量を増やすように脳を働かせていくしかない。
ボーッっと何も考えずに生きているだけでは良いアウトプットは出せないわけである・・・言うまでもないだろうけれど。
文章自体も口語調で読みやすいし、具体例もわかりやすい。
これはクリエイティブな活動をしている云々は問わず、誰でも参考になる一冊だと思う。
一言学び
たくさんの主観も、やはり偏見だ。
コメント