読みたいと思ったきっかけ
外回りの途中にふらっと入った本屋で見つけたのがきっかけ。
パラパラと見て面白そうだったので購入した。
内容
目次
目次は以下のとおりとなっている。
はじめに | ||
第1章 | : | 東大金融研究会で学ぶ お金の教養 |
第2章 | : | 東大金融研究会で考える 人生戦略 |
第3章 | : | 東大金融研究会流 仕事とキャリア論 |
第4章 | : | 東大金融研究会で鍛える 思考力と発想力 |
第5章 | : | 東大金融研究会の活動内容 |
おわりに |
内容
わたしの気になった箇所について記載する。
はじめに
・「東大金融研究会」は、東大生を中心とする日本最大の金融・ビジネス系研究会です。その歴史はまだ浅く、設立は2019年12月。
・本書では、お金を増やすためのテクニック・ノウハウには、ほとんど触れていません。
第1章(東大金融研究会で学ぶ お金の教養)
・東大金融研究会では、私が学生に向けて行っている講義があります。そこで伝えている内容のうち、まず最も重要なのは「自分の頭で考える習慣をつける」ことです。
・実体経済を見れば円高が景気に及ぼす影響はほとんどないのに、日経平均株価の構成銘柄に輸出企業が多いがゆえに「株価が下がる」のです。
・大事なのは、「自分が知っていると思いこんでいるだけで、実は知らないこと」に気づき、自分の頭で考えて「定義を見直す」ことです。
・ある企業の損益計算書の販管費の内訳を見ると、「パート費」「給料手当」など人件費が多くを占めています。一方、バランスシートには「人」に紐づくものはほとんど記載されていません。つまり財務諸表上は、人材というのは「コスト」であり、資産とはみなされていないのです。
・しかし株式投資だけでなく人生全般において、「勝つ」ということは「どうすればあと10%、勝率を上げられるか」なのです。
・大事なのは継続性であり、それも「つねにそのことを考え続け、たゆまず改善を続ける」姿勢が求められます。
・情報強者が集まる「誰もが知っている銘柄」で勝負するよりも、時価総額500億円未満、より安全を期すなら200億円未満という基準を設け、そのエリアで丹念に企業を調べて投資すれば個人投資家にも勝機は十分にあります。
・負けたとき、「負けたけれどこういう知識がついて、いい勉強になった」と言えるのが「投資」です。負けて後悔しか残らないなら、それは「投機」なのです。
・しかし運用哲学を貫いて自分の長所で結果を出し続けたいと思うなら、その場の勢いにのまれるべきではありません。ダメに見えるときでも自分の長所をしっかり見ることが大切ですし、逆に調子がいいときに自分の短所を冷静に見ることも重要です。
第2章(東大金融研究会で考える 人生戦略)
・「時間が経つスピードの感じ方は、年齢の逆数」と言われます。10歳の人にとって1年間は「1÷10=0.1」、つまり0.1くらいの長さに感じますが、これが20歳の人になると「1÷20=0.05」、つまり0.05くらいの長さにしか感じないということです。
・まず必要なのは、目標にしている状態といまの状態の間にあるギャップを明確にすること。ギャップを認識できたら、それを埋めるために何が必要なのか、現状で足りないことは何なのかを徹底的に考えさせるのです。
第3章(東大金融研究会流 仕事とキャリア論)
・もちろん、仕事の価値を給料で測るという考え方もあるでしょう。しかし「どれだけの人を巻き込んだか」というのは、間違いなく仕事の価値を測る重要な軸だと思います。
・人生の勝負は、たくさんのオプションをつくる「創造力」と、その中から最適なものを選ぶ「判断力」の掛け算で決まるといってもいいでしょう。この掛け算において、先に立つのは「創造力」です。「毎日忙しいから」「今の業務が大変だから」と言いながらオプションをつくり出すことを放棄している人は、人生の勝負で負けてしまう可能性を意識すべきでしょう。
・近年、ベンチャー投資やエンジェル投資に参入する投資家が増えています。それは、AIの発達を見据えたとき、最後に運用で付加価値を出せるのはここしかないからだというのも理由の1つでしょう。これから投資家を目指す人は、上場株投資がAIの独壇場になる可能性も視野に、未上場株投資についても関心を持っておく必要がありそうです。
第4章(東大金融研究会で鍛える 思考力と発想力)
・しかし、気づけばリーマン・ショックから15年近くが経ち、投資の世界でもリーマン・ショックの後にでてきた若手が主流になりつつあります。今回、コロナ禍の株式市場で起きたことは、プロ投資家の世代交代が進んでいることと切り離せないと思います。
・そもそも、長期的なトレンドがある場合、そこには構造的な要因があるのではないかと考えるべきです。
・根本的な受給構造の問題をふまえれば、たとえば1年で物価が3%ほど上昇する局面はあったとしても、それが持続的なものにはなりえないという基本的な見方が明確になります。逆に言えば、根拠をもって基本的な見方を整理できているからこそ、一時的に物価が上がる局面も認められます。
・東大金融研究会の活動を通じて感じているのは、「ちょっと頭のいい人」ほど自分がわかっていると錯覚し、「その先」を考えることをやめてしまいがちだということです。これは非常にもったいないことだと思います。手を動かし、自分で考え続けることさえできれば、「ちょっと頭のいい人」から抜け出して「トップ5%」に入ることができるでしょう。
・あなたは、日本でAmazonに勝てるところがあると思いますか?…しかし実は、勝てる可能性があるところが1つだけあります。それは「コープ(日本生活協同組合連合会・生協)」です。
第5章(東大金融研究会の活動内容)
・意思決定の数を増やすことが、自分の価値観を大切にし、その価値観にプライドを持って進路を決める学生を増やすと私は思っています。
おわりに
・東大金融研究会のメンバーに私が「強力推奨」する5項目を共有したいと思います。
① | 言葉の定義付けをしっかりする |
② | 自分の頭で考える・自分の言葉で表現する |
③ | 自分の手を動かす |
④ | 発想のダイナミックな展開、転換 |
⑤ | 相互扶助 |
コメント
「本書では、お金を増やすためのテクニック・ノウハウには、ほとんど触れていません」と書かれているとおり、金融関連の話も出てきはするが、基本的には大学生に向けた自己啓発本といえる。
内容的にもそこまで難しくはなく、分量もそこまで多くないので2時間くらいで読むことができた。
自分の頭で考える
本書の中で一番強調されている「自分の頭で考える」ということ文言にハッとさせられた。
世間を見てみれば「今後の世界経済はどうなるのか」「ウクライナ情勢はどうなるのか」「どの企業の株価が伸びそうか」といった事項に対して積極的に有識者の意見を求める人が多い。
かくいう私自身もそういった有識者の意見を鵜呑みにしてしまうことが多い。多いというよりほとんどの自分の意見が有識者のコメントの写しに過ぎない。
また日々の仕事をこなしていても、ややもすれば漫然と過去に行ったとおりに前例主義で仕事を進めていこうとしてしまうことが多い。
考えるのが面倒くさい
これら全ては根本的に「考えるのが面倒くさい」に起因しているのは明らかだ。
自分であれこれ調べて考えるのは負担が掛かるし面倒だからこそ、他人の意見をそのまま鵜呑みにし、過去の前例をそのまま使いたがる。
結局どれだけ「面倒くさい」という気持ちを排除して、丁寧に物事の動きの本質に迫っていく人だけが成功できるとも言えそう。
「面倒くさい」のコントロールこそが人生を左右すると言っても過言でないかもしれない。
本書の中で「自分の頭で考えることが一番重要」と強調されているのを目にして、自分の日々の言動を見直そうと思えた。このことだけでも本書を買って良かった。
その他
その他にも「財務諸表上は人材というのはコストで資産とみなされていない」「Amazonを日本で倒せる可能性があるのはコープ」など、今後の株式投資にも活かせるような視点を得ることができる。
それにしても今は東大生だけでなく、他大学や若手社会人も入会しているようだが、東大金融研究会という組織があることを知らなかった・・・。
他大学でも同じような取り組みもあるのかもしれないが、やはりそこは東大の持つブランド力・有能な人材の多さゆえに他よりも抜きん出ているのだろう。
一言学び
最も重要なのは「自分の頭で考える習慣をつける」こと。
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