読書レビュー:『危ない読書』(佐藤優)

読書

読みたいと思ったきっかけ

佐藤優氏の著作ということで購入。

さすがに出版される本をすべて購入しているわけではないものの、割と買っている方だと思う。

これまで50冊以上は買っているはず。。。ついつい買ってしまう。

内容

目次

目次は以下のとおりとなっている。

 

はじめに    
第1章 独裁者の哲学 彼らはいかにして人を操ったのか?
『わが闘争』 アドルフ・ヒトラー
『レーニン主義の基礎』 スターリン
『書物主義に反対する』 毛沢東
『金正恩著作集』 金正恩
『国体の本義』 文部省教学局
第2章 過激派の知略 彼らはなぜ暴力を用いたのか?
『戦争論』 クラウゼヴィッツ
『クーデターの技術』 クルツィオ・マラパルテ
『プロパガンダ戦史』 池田徳眞
『読書のしかた』 黒田寛一
『パルタイ』 倉橋由美子
第3章 成功者の本性 彼らは何のために富を得たのか?
『カルロス・ゴーン 経営を語る』 カルロス・ゴーン/フィリップ・エリス
『トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ』 ドナルド・J・トランプ/トニー・シュウォーツ
『告白』 井口俊英
『ゼロ』 堀江貴文
『死ぬこと以外かすり傷』 箕輪厚介
第4章 異端者の独白 彼らはタブーを犯して何を見たのか
『わが闘争・猥褻罪ー捜索逮捕歴31回』 大坪利夫
『突破者ー戦後史の陰を駆け抜けた50年』 宮崎学
『邪宗門』 高橋和巳
『カラマーゾフの兄弟』 ドストエフスキー
『地球星人』 村田沙耶香
おわりに    

だいたい1冊につき10ページ強でその本の内容や、書かれたときの時代背景が説明される形式となっている。

内容

わたしの気になった箇所について記載する。

『わが闘争』

・『わが闘争』にはナチスの世界観が凝縮されているが、むしろ『わが闘争』をつくる過程でヒトラーの思考が整理されたと見たほうが自然である。

・ファシズムとは、「このゆびとまれ」方式で敵と味方を分けつつ、国家の強い介入によって国内に存在する諸問題を解決していく政治形態のことをいう。

『レーニン主義の基礎』

・こうした「見えざる線(=タブー)」は、民主的な国家でもいくらでも存在する。たとえば皇族にまつわるスキャンダルがそれである。「見えざる線」を踏み越えたとき、特定の思想を持つ団体から圧力や攻撃がある。それにもかかわらず民主国家の人が自由だと感じているのは、「見えざる線」を無意識に避けているからだ。

『金正恩著作集』

・金正日は、遺訓政治をとっていた。金正恩も遺訓を大切にする素振りをしている。金正恩が発表する政策は、金日成などが残した言行を根拠にして行う体裁になっている。だがその根拠そのものをつくりあげることによって、金正恩はフリーハンドで国家運営を行えるポジションを勝ち取っているのである。

『国体の本義』

・それは結局、人間の読解力は自分の先入観を超えることが難しいからだろう。読む前に無意識の結論があり、パッチワークのように都合のいいところだけを読み取っていくのが多くの人の本の読み方である。客観的にテキストと向き合い、テキストの論理に内在して読む行為ができるのは、特殊な訓練を受けた人に限定されてしまうのだ。

・立派な教育基本法をつくれば立派な日本人をつくることができるとか、マニュアルを使って愛国心を育むことができるといった発想は右翼的のように見えるかもしれないが実は左翼的思想だ。

『戦争論』

・クラウゼヴィッツにしろ、マキャベリにしろ、孫子にしろ、兵法を扱う古典が年々ビジネスパーソンから読まれなくなってきていると私は感じる。しかし、書かれている内容が戦争にまつわるものだったとしても、自分事に抽象化して読める優秀な読者であれば、ビジネスに活かせる新しい発見があるはずである。

『読書のしかた』

・それこそ最近岩波文庫から発売されたヘーゲルの『法の哲学』などは輪読(音読)に最適だ。冒頭の「ミネルバの梟は、夕暮れの訪れとともに、ようやく飛びはじめる」という一文だけでも、「ブームが終わりかけているときが実は一番売れるタイミングであり、先走ることだけが能ではない」といったことを学ぶことができる。

『パルタイ』

・人はそれぞれが所属するコミュニティーで求められる役割を果たそうと必死に毎日を送っている。しかし、その結果、心が折れそうになってしまったら、一度冷静になって、思い切ってそこから降りる選択を下すことも長い人生において重要なことだと思うのだ。いざ降りてみると、なぜ自分がそんなことにこだわっていたのか不思議に思うかもしれない。

『カルロス・ゴーン 経営を語る』

・中長期的に実現したい目標を常に持ち、着々と準備を進めつつ、自分に対して周囲が短期的にどういうことを求めているのか認識して、結果を出していく。このバランス感覚に長けた人物が最終的には一番大きな成果を得られるのではないだろうか。

『トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ』

・そもそもトランプが原因でアメリカが変になったわけではなく、アメリカが変になった結果としてトランプが出てきたと考えるべきなのだ。

『ゼロ』

・知識というものは体系立てて学ぶことだけが方法ではない。スクランブル状態で断片的なものを山ほどインプットする学習方法もある。百科事典読みはその原型ではないだろうか。

・人生で自分の好きなことをするためにはいかに自分の時間を無駄使いせず、効率よくお金に変換できるかという時間配分と仕組みづくりにかかってくる。資産回転率という発想を自己実現の文脈に結びつけて考えるのが堀江氏の特徴である。これは資本家の発想そのものだ。

『突破者ー戦後史の陰を駆け抜けた50年』

・共同体の活動の原動力となるのは「体制を変えられるかもしれない」という期待感である。逆にいえば共同体ないし社会が物事を変えていくという意識が希薄になると、デモは起きづらくなる。

『邪宗門』

・どの宗教も最初は既存の体制に激しく衝突するものだ。キリスト教もイスラム教も仏教もそうだった。しかしいずれの宗教も国家とぶつかることで徐々に角がとれ、体制化の道をたどった。高橋氏はこの宗教の持つ初期のエネルギーを抽出して増幅してみようと試みたわけだ。世なおしの思想を極限化すると武装行動に至る。この部分が全共闘の活動とシンクロしたのである。

『カラマーゾフの兄弟』

・それにドストエフスキーは世界的な文豪のため彼について少しでも語ることができれば、それは知識人・教養人としての入場券を持っていることになる。

『地球星人』

・タブーとは世の中の拒絶反応が起きるところにのみある。よって「気持ち良かったか悪かったか」は重要なことではなく、「読者はどこが気持ち悪いと感じたのか」「なぜ気持ち悪いと感じたのか」がポイントなのだ。

コメント

恥ずかしながら紹介されている全ての書籍を読んだことがなかったので、計20冊の大まかな内容を知ることができただけでも、この本を買った価値はある。

選ばれている書籍も政治的なものから、ビジネス本、小説、ノンフィクションとジャンルも多岐にわたっている。

もっとも佐藤優氏の著作を読んでいる読者であれば、『わが闘争』『国体の本義』『戦争論』などは氏の著作でよく引用されてたりするので、完全に初見ではないはず。

紹介されていた本のなかでいうと、自分としては高橋和巳の『邪宗門』はずっと読みたいとは思っていたのだが、結局読めずじまいで来てしまった。。。

今回なんとなくのあらすじがわかったので、トライしてみたいところ。

一言学び

スクランブル状態で断片的なものを山ほどインプットする学習方法もある。百科事典読みはその原型。


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